新型コロナウィルス感染症が世界的に広がっています。日本とアメリカの代表的な株価指数、TOPIXとS&P500も今年の高値から20%下落しました(※)。感染収束や景気への影響度合いはまだ見通せませんが、後世に新型コロナショックとして語り継がれることは間違いないでしょう。
もしかしたら、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やつみたてNISAを始めている人は、不安な毎日を過ごしているかも知れません。ただ、株価急落を目の当たりにし、これまで積み立ててきた投資信託を売ったり、積立を止めようと考えているなら、ちょっと待ってください。なぜなら、株価が大きく下がっている時に売ったり、積立を止めることが、長期・積立・分散投資の資産形成で一番やってはいけないことだからです。
過去、数多くの金融危機が起こり、株価も大きく下落しましたが、やがて危機は収束し、株価は回復しています。今回の新型コロナショックも、やがて感染が収束し、株価は回復するでしょう。現時点での損失も、売却しない限り一時的なものに留まるはずです。
過去の事例として、リーマン・ショック時の様子を積立投資の立場から振り返ってみます。先進国株式を対象としたMSCIコクサイ指数を確認すると、リーマン・ショック前の高値は2007年6月。この高値を100として、ある意味、最悪のタイミングで積立投資を始めた人の資産評価額をシミュレーションした結果、株価が元に戻るまで78カ月、最悪期は株価が39と高値から6割も下落しました。
パニックに陥る気持ちも分かります。でも、積立投資は違いました。株価ほど評価額がブレず、さらに株価より早く元本(=累計積立額)を回復したのです。これは株価が下がった時、つまり、安い時にも買い続けるので買付単価が下がり、株価が元に戻らなくてもプラスになるからです。これが、「積立投資とは回復力のある投資手法」と言われる所以です。
ですから、新型コロナショックで「いま、できる、こと」とは、積立投資を続けることにほかなりません。そして、一人ひとりが「手洗い、うがい、健康管理」を心掛け、新型コロナウィルス感染症の危機をみんなで乗り切りましょう!
※2020年3月11日時点。今年に入ってからの高値は、TOPIXが1744.16 (1月22日)、S&P500が3386.15 (2月19日)。3月11日の終値はそれぞれ1385.11、2741.38で、高値からの下落率は-21%、-19%。