iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とは、現役世代の皆さまが、原則、毎月一定額を積み立てながら運用し、60歳以降に年金資産を受け取る制度です。公務員がiDeCoを利用できるようになって、早くも3年が経ちました。今回は、その利用状況を数字(※1)で確認してみましょう。

  • 公務員とiDeCo/数字で確認する利用状況

まずはiDeCoの加入者数。2019年12月で31.7万人の公務員がiDeCoを利用しています。職業別では、お勤め先に企業年金のない会社員の76.4万人に次いで、iDeCo利用者が多い職業です。公務員の数は448万人(※2)ですから、利用率は7.1%、14人に1人の公務員が老後資金準備をiDeCoで始めています。ちなみに、企業年金のない会社員の数は2,336万人(※2)で、iDeCo利用率は3.3%にしかなりません。現時点で公務員は、iDeCo利用が一番普及している職業とも言えるのです。

次に、iDeCo加入者が多い月を確認してみましょう。公務員にiDeCoが解禁された2017年は、マーケティング理論で言うところのイノベーター(新商品や新サービスの利用に積極的な人)が多かったと思いますので、2018年~19年の2年間で月別の加入者をチェックしてみました。

面白いのは、iDeCo加入者のピーク月が、公務員と公務員以外で違っている点です。iDeCoに加入する公務員が一番多いのは"8月"です。今年はオリンピックがありますので同じ傾向が続くとは限りませんが、5月がボトムになることも踏まえると、公務員がご自身のライフプランを見つめ直すのはGWよりも夏休みということでしょう。

一方、公務員以外の人は、"4月"の年度替りにiDeCoの加入がピークを迎えます。共通点は年末からの盛り上がり。公務員も公務員以外の人も、年末調整や確定申告で、iDeCoの税制メリットを、"自分事(じぶんごと)"として考える人が増えるのだと思います。

iDeCo加入者の月別推移を見ると、金融マーケティングの定石、ボーナスキャンペーンは有効だとは言い切れませんね。そもそもiDeCoは、給料の一部を積み立てる制度ですから当然でしょう。iDeCoの普及には、金融の常識に囚われず、もっと考えられることがあるかも知れません。

※1 出所:国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」
※2 出所:厚生労働省 第10回社会保障審議会企業年金・個人年金部会(2019/12/25)「参考資料2」