2010年6月、FXオンライン・ジャパンの代表取締役社長 CEOに、新しくアンドリュー・マッケイ氏が就任しました。今回は、マッケイ氏にCFDにおけるイギリスと日本の違いについてお話を伺いました。
聞き手 : 日本でもCFDは拡大していくと考えていらっしゃいますか?
マッケイ : ええ。イギリスではかつて、自分が持っている全資産を、投資信託やヘッジファンドなどプロの投資家に運用委託するというスタイルが、個人の資産運用の中心でした。
でも、最近の流れは、自分の資産の全額をプロに運用委託するのではなく、その一部だけでも自分で運用する、自分のコントロール下におけるマネーを持つ、という風潮が強まってきました。そのなかでCFDの人気も高まってきたのですが、同じことは日本にも当てはまると思います。
これまで日本の個人は、預貯金に偏重した運用を行ってきました。預貯金というのは、いうなれば銀行などの金融機関に運用を任せてしまうという方法です。でも、さすがに超低金利が長引いているだけに、多くの個人が預貯金に対して懐疑的な気持ちを持つようになってきました。したがって、いずれは徐々に、自分のコントロール下におけるマネーを、自分の力で運用するという風潮が強まっていくでしょう。そのなかで、CFDが活躍する場が増えてくると思うのです。
実は日本の投資家は、イギリスの投資家との共通点があります。
ひとつは、自分の身近なマーケットでトレードする傾向が強いこと。イギリスの場合は、自国の個別銘柄やFTのインデックス運用がこれに該当しますが、日本でも個別銘柄や日本225種株価指数の取引が活発に行われています。
二つ目の共通点は、値動きが出てきたものに積極投資を行う傾向が強いこと。最近のイギリスにおける事例を挙げると、昨年はWTIという原油の取引が活発に行われており、今年に入ってからは金が注目を集めています。時期的に面白いタイミングを狙って積極投資を行うという傾向は、イギリスだけでなく日本の投資家にも見られる傾向です。
こうした共通点が見られるので、日本でもCFDは徐々に人気が高まっていくのではないでしょうか。
聞き手 : イギリスでは、どういう人がCFDのトレードを行っているのですか?
マッケイ : かなり幅広い方が取引していらっしゃいます。以前は、ある程度の富裕層が中心かと思っており、広告戦略、IRなども、富裕層にターゲットを絞った展開をしていたのですが、いろいろリサーチしてみると、実は非常に幅広い方がCFDに興味を示され、実際に口座を開いて取引していらっしゃいます。年齢層も、20代から60代までと、非常に幅広いのが特徴です。
聞き手 : 日本人はリスクを怖がる傾向があるといわれています。そのなかでCFDは普及していくのでしょうか。
マッケイ : 確かに、日本の個人投資家はとても慎重です。でも、それは決して悪いことではありません。CFDという投資対象は、そもそも投資リスクが高いので、慎重にスタートさせるというのは、いうなれば「理由のある注意深さ」だと思います。
ただ、ひとつだけ日本の個人投資家の傾向で注意した方が良いのではないかと思われる点がひとつだけあります。
それは、一度トレードに自信をつけると、恐れを知らない、非常に大胆なトレーダーに変貌する傾向が顕著に見受けられるということです。これは、とても怖いことだと思います。あまり大胆なポジションを持ってしまうと、マーケットが急変した時、大きな損失を被る恐れがあります。
投資スタイルを確立していくためには、自分自身で決めたものをきちっと貫徹していくための強い意思が必要です。ちょっと儲かったからといって、いきなり大胆なポジションを取るというのは、お勧めできません。この点に注意していけば、日本の個人投資家は、とても良いトレーダーになるのではないでしょうか。
聞き手 : 8月から、日本ではFXのレバレッジ規制が始まりましたが、市場の健全化につながるのでしょうか。
マッケイ : イギリスでもかつては悪徳業者が存在していましたが、CFDについては長い歴史があること、そのなかできちっと悪徳業者を排除するような体制が整っていることから、今では悪徳業者は存在していません。
日本の場合、FXに見られるように、レバレッジ規制を用いてマーケットの健全化を目指しているようですが、実はイギリスの場合、レバレッジ規制は設けておりません。その代わり、業者には厳しい自己資本規制比率が適用されるようになっています。
これはとても効果的な方法で、自己資本規制比率を導入することによって、過小資本の業者は参入しにくくなります。その分、変な業者が参入してこなくなります。来年1月からはCFDにもレバレッジ規制が導入されるようですが、その前に自己資本規制比率を厳しくする方が効果的ではないかと思います。
聞き手 : 今後、日本でビジネス展開をしていくうえでの戦略は?
マッケイ やはり、今、お客様向けに提供させていただいているトレーディングシステムの質的向上を目指すということです。チャートパッケージの充実化もそのひとつですし、市場分析の情報も充実させていきたいと考えています。
トレーディングシステムの充実化は、実に絶え間のない努力が必要とされますが、この部分で当社のサービスを評価してくださっている個人投資家の方も多いので、質的向上に向けて努力を続けていきたいと思います。