那覇空港にLCCターミナルができた10日後の10月28日、関西空港にも"LCC専用ターミナル"がオープンした。"LCC専用ターミナル"と、""をつけたのは、正式名称が「関西国際空港 第2ターミナルビル」だからだが、その正式名称は「誇大表現」というのが実際に使ったときの偽らざる印象だ。
バブル経済がはじける前に設計された関西空港の第1ターミナルはイタリア人のデザイナーを採用し、国内で最も豪華なターミナルビルである。一方、今回オープンした第2ターミナルは、ほとんどがプレハブの「簡素」を絵に描いたような造り。使用する航空会社の数も第1ターミナルが50社近いのに対し、第2ターミナルはピーチ・アビエーションのLCC1社のみ。あまりにも大きな違いがあるのだ。とはいえ、海外ではこれがLCC専用ターミナルのスタンダード。そういう意味では違和感はない。
タラップを降りてターンテーブルまで急ぎ足で5分以上歩く。通路も曲がりくねっている。狭いLCCターミナルにしては長い移動距離だ |
第2ターミナルビル(LCC専用ターミナル)の外観。内部と同じく鉄骨むき出し |
空調のきかなさそうな長いコンコース…これぞ世界基準
さて、今回の覆面調査では那覇空港から関空までピーチで飛んだ。着陸してドアが開くと、ボーディングブリッジ(搭乗橋)もなければ、送迎バスも見えない。しかし那覇空港で同じ経験をしているので、もはや違和感はない。タラップを降り、歩いてターミナルへ向かった。幸い天気が良く、雨に降られることはなかったが、関空は海上空港だから風や雨の強い日は大変だろう。
ターミナルに入ると長いコンコース(通路)を歩いて手荷物受取所へ。通路は明らかに空調がきかなさそう。夏は暑く、冬は寒いはず。これもLCCターミナルの世界基準ではある。
手荷物は、ちゃんとターンテーブルで受け取れた。貨物用を改装した那覇空港のLCCターミナルに比べると全体的に設備は上だろう。国内には那覇と関空にしかLCC専用ターミナルはないし、大手が使うターミナルに比べると低レベルの争いではあるが……。
関空LCCターミナルの手荷物受取所。がらんとしておりLCCターミナルっぽいが、ターンテーブルでの受け取り |
こちらは那覇空港LCCターミナルの手荷物受取所。ベルトコンベアーもなく、係員が手作業で運んでくる |
荷物を受け取ったら、出発・到着兼用のロビーを抜けてメインターミナル行きのシャトルバスで第1ターミナルへ移動した。所要時間は約7分だった。運行間隔は、5時から23時46分までは3分~8分。それ以外の時間帯も毎時1本を運行している。また、タクシーやリムジンバスを使えば、第2ターミナルから大阪市内へ直接アクセスできる。電車を使うなら第1ターミナルで乗り換えるしかない。
第2ターミナルの出発フロアは、だだっ広く鉄骨がむき出しの典型的なLCC専用ターミナル。書籍・薬類・土産品を売るスーベニアショップ、セブンイレブン、銀座ライオン、プロント、それに銀行、携帯電話レンタル、海外旅行保険の販売カウンターと、施設やショップは必要最小限。ただ、ピーチの国際線を兼ねたターミナルのため、那覇のLCCターミナルよりは充実しており、国際線の搭乗ゲート内には免税店もある。
搭乗橋使用のジェットスター
ところで関空に就航しているLCCは、もう1社ある。関空から成田、札幌、福岡、沖縄に就航しているジェットスター・ジャパンで、使用しいるのは第1ターミナル。ということは、便利さではジェットスターが有利ということになる。
今回搭乗したジェットスターの成田行きの便はなんとボーディングブリッジを使っており、そのまま機内にアクセスできた。大手航空会社なら当たり前なのだが、今回の覆面調査では初の体験だった。また、第1ターミナルは大阪市内から電車でのアクセスが可能で、ポートターミナルからの高速船もある。ショップや施設も、第2ターミナルに比べれば圧倒的に充実している。
さて、次回はLCCの機内サービスを徹底比較。結構違いがあるものなのだ。