炭酸飲料には果汁1%が多い。果物もイラストっぽい絵だ

コンビニなどの飲料コーナーに行くと多くの商品が並んでいますが、よくあるのが「果汁○%」という商品。その中でも「果汁1%」というものがありますが、これは炭酸飲料に多いようです。食品表記から分かる、果汁飲料の違いを紹介します。

果汁1%なら、リアルな果物は表記できない

「原材料名」は、その食品に含まれている割合が高いものから表記されています。「三ツ矢サイダー 日本の果実 長野県産巨峰」を例に挙げると、砂糖類、ぶどう果汁、香料という順で、多く含まれていることが分かります。炭酸飲料で一番多いのは糖類なのです。なお、ミネラルウォーターなどの水商品を除いては、原材料としての「水」は省略できます。

ちなみにパッケージのぶどうの絵。これを見た時にどういう印象を持ちますか? いかにもイラストっぽい絵ですよね? リアルじゃないですよね? これにもちゃんと理由があります。ルール上の規制(公正競争規約および景品表示法)があり、「果汁1%」ではリアルな絵は使えないというわけです。

次に、ブラッドオレンジをよりリアルにデザインした飲料ですが、よく見ると果汁は10%。食品表示部分を見ると、ブラッドオレンジ、砂糖・果糖ぶどう糖液糖、酸味料。糖類の割合は比較的高いことが分かります。

果汁が10%にアップしても、輪切りの絵は使えない

果汁100%でなければジュースではない?

最後はいわゆる「100%ジュース」です。食品表示部分を見ると、とてもシンプル! グレープフルーツ、香料のみです。

食品表示上は「100%ジュース」という名称は存在せず、「ジュース」という定義が存在するのみです。ですが、「食品表示上のジュース=100%ジュース」と考えていただいていいでしょう。従って、世間では「ジュース」というとお茶以外の広い範囲を指すことが多いですが、食品表示上は「100%ジュース」でなければ「ジュース」ではないということになります。

パッケージに関して言うと、果物の輪切りの絵は「100%ジュース」でないと使えないようになっています。

100%なら原材料はシンプルで、イラストもリアルに表記できる

食品表示上のジュースの基本的な定義は、「果実の搾汁若しくは還元果汁又はこれらに砂糖類、はちみつ等を加えたもの」です。そのため、あまり店頭では見かけませんが、名称として「○○ジュース(濃縮還元・加糖)」と記したものもあります。

このように、表示からはいろいろな情報が得られるというわけです。

筆者プロフィール : 梶原 茂(かじはら しげる)

食品表示コンサルタントとして「食品表示情報ネット神戸」を主宰。「無果汁と書いてあるのになぜキリンレモンはOKなのか?」という疑問から、商品表示に関心を持ち始め、法令知識を深めるために行政書士の資格を取得。有料通信講座「食品表示関連業務担当者の為の知っておくべき法規制とQ&A講座」(技術情報協会)の講師を務める。現在はホームページ「食品表示情報局」で食品表示関連情報を発信するとともに、個人・法人問わず食品表示に関する質問に無料で答えている。

「食品表示情報局」