京都の夏は暑い。訪れたことがある人ならみんなそう思っているのではないだろうか。だが、京都だからこそ楽しめる「涼」もあるらしい。京都の観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」でおなじみのJR東海さんの案内で「京の涼さがし」をテーマにした旅行商品プランを体験してきた。
心が洗われる名庭鑑賞
まずは今年の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンポスターや2年半ぶりに放映されたCMの舞台となった臨済宗建仁寺派の大本山「建仁寺(けんにんじ)」へ。1202年に開創された京都最古の禅寺だ。
本坊中庭にある禅庭「潮音庭(ちょうおんてい)—三連の庭—」は、四方正面で360°どこから見ても美しく見えるようにつくられている。
「きれいだなと思って見ていると、自分以外のなにかを大切に思う慈悲の心が生まれます。生活していると心は煩悩や欲望で汚れてしまう。ぐるぐるまわりながら、きれいだなと思うところで座ってみて心の洗濯をしてください」(内務部長 浅野俊道さん)。
風通しのいいお部屋や廊下をぐるぐる歩いて、いい角度を探す。きれいだなと思うところで立ち止まって座ってみる。部屋影から眺める光の差す庭は、なんとも涼やかだ。この日は途中で雨が降ってきたが、それもまたよかった。
こちらは「大雄苑(だいおうえん)」と称される枯山水の庭。
水がない場所に水を表現した枯山水庭園では、水がどこから流れ始めどこへいくのか流れを読み解く楽しみがある。一粒の雨が降って一筋の川に、そして大海へ。雨粒は志にもたとえられ「どんな志でもいずれは大海に出て悟りにたどり着く」と読むことができるそうだ。
「○△□乃庭」で見られる単純な三つの図形は、宇宙の根源的形態を示し、禅宗の四大思想(地水火風)を、地(□)水(○)火(△)で象徴したものともいわれるそう。
名庭をただ見るだけでも美しいが、一つひとつの意味を知ることでより深い美しさを感じた。
誰もが知る文化財をいつもと違う楽しみ方で
たくさんの文化財もこのお寺の見どころ。俵屋宗達の晩年の最高傑作とされる、国宝「風神雷神図屏風」(高精度デジタル複製)を特別室で鑑賞できる。
この風神雷神図のミニ屏風づくりを体験。ミニサイズだが実際の屏風をつくるのと同じ工程で行うためなかなか手間がかかる。日本文化を知る機会にもなる。
お土産には、風神雷神図のオリジナル京うちわも。
法堂には、天井いっぱいに畳108畳分にも及ぶ「双龍図」が描かれている。2002年に建仁寺創建800年を記念して制作されたもの。
一般参観では立ち入りできない内陣に、リクライニングチェアと畳を設置。寝転んで天井の龍を見上げた。
"お茶の寺"ならではの抹茶&スイーツ
このお寺を開山した栄西(えいさい)禅師は、中国から茶種を持ち帰って日本で栽培することを奨励し喫茶の法を普及した「茶祖」としても知られる。お寺の茶苑で栽培された特別なお茶をいただく。
さらに京都・宇治のお茶屋「伊藤久右衛門」の「抹茶パフェアイスバー」も味わった。こちらは取材のために特別に用意していただいたもの。近くの店舗(伊藤久右衛門 祇園四条店・茶房など)でどうぞ。