クルマのタイヤには、メーカー名やブランド名などのほかに何やら記号のような表記があります。数字とアルファベットの組み合わせで、おそらくサイズなどの情報だろうとは思うのですが、読み方がよくわかりません。ここには何が書かれているのでしょうか? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。

  • ベントレー「ベンテイガハイブリッド」のタイヤ

    情報の宝庫? クルマのタイヤの読み方とは(写真はベントレー「ベンテイガハイブリッド」のタイヤ)

製造された週までわかる!

タイヤをよく見ると、サイド部分(サイドウォール)にはメーカー名や商品(ブランド)名のほかにも、さまざまな表示がある。そこには大変重要なことも書かれているので、この機会にぜひ知っておいてもらいたい。タイヤメーカーのブリヂストンに詳細を聞いたので、タイヤの“読み方”を以下でご紹介しよう。

  • ベントレー「ベンテイガハイブリッド」のタイヤ

    クルマのサイドウォールに数字とアルファベットの組み合わせが。どういう意味?(写真はベントレー「ベンテイガハイブリッド」のタイヤ)

上の写真のように、タイヤには数字とアルファベットの組み合わせで大切な情報が記載されている。例えばここに2本のタイヤがあり、それぞれに「195/55R18 93W」と「235/40ZR17」と書かれていた場合、それは何を意味するのか。文字を分解すると、

●「195」と「235」はタイヤ幅(mm)
●「55」と「40」は扁平率(%)
●「R」はラジアル構造
●「ZR」は速度カテゴリー
●「18」と「17」はホイールの直径=リム径(インチ)
●「93」はロードインデックス(LI)
●「W」は速度記号

ざっとこれだけの情報が記載されている。少し細かく見てみよう。

タイヤ幅はまさに、タイヤの横幅を表している。「断面幅」と呼ばれるもので、タイヤ側面の模様や文字などを除いた幅だ。扁平率はタイヤ幅に対する高さの比率で、断面の高さを断面の幅で割り、そこに100を掛けたパーセンテージである。リム径はタイヤがホイールと組み合わされている部分を指し、タイヤの内径ともいえる。

「R」はタイヤがラジアル構造であることを示している。「ロードインデックス」(LI)は聞きなれない言葉かもしれないが、タイヤに負荷することが許される最大の質量を表す指数だ。例えば93は負荷能力650kgを表し、62から121まである。

速度記号は、ロードインデックスにより示された質量の規定の条件で負荷された状態において、走行可能な最高速度を示す記号だ。“L”であれば120km/h、“R”であれば170km/h、ZRは速度カテゴリーで240km/h以上で、LからYまで12カテゴリーある。

さらにタイヤをよく見ると、製造年はおろか作られた週までわかってしまう。

サイドウォールのホイールとの継ぎ目あたりを探してみると、少しへこんだ形状のところに4桁の数字が書いてある。最初の2桁の数字は製造週(1~53までの数字)を、後の2桁は製造年を示している。例えば「3520」であれば、2020年の35週目に作られたタイヤであることがわかるのだ。

  • BMW「iX」のタイヤ

    4桁の数字を見れば、いつ作られたタイヤかが週単位でわかる。この写真には「2721」とあるので、2021年の27週目に製造されたタイヤということになる(写真はBMW「iX」のタイヤ)

そのほかにも、製造された国やタイヤの表裏、方向、タイヤの溝がすり減ったときに出るスリップサインなど、さまざまな情報が満載だ。まずは今履いているタイヤがどういうものなのかを確認し、定期的に空気圧やスリップサインのチェックを行ってもらいたい。

ブリヂストンは「タイヤは生命を乗せている」を開発モットーに掲げている。どんなに運転テクニックがあっても、そして、どんなに性能の高いクルマに乗っていても、クルマと路面をつないでいるものは、タイヤしかないことをお忘れなく。