「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

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  • 祖父母に「孫がかわいそう」って言われたら?」


年末年始に帰省したママ達を苦しめる、おじいちゃんおばあちゃんからの言葉で、ご相談が最も多いのは「これじゃ孫がかわいそう」です。

「こんなに小さいときからメガネをかけさせてかわいそう」「こんなに好き嫌いがあったら、大きくなれなくてかわいそう」「仕事のために預けるなんてかわいそう」など、おじいちゃんおばあちゃんからすれば、若い娘息子夫婦のことが心配なのだと思いますが、言われたママパパは、「自分が間違っているのかしら」ととても不安になる言葉ですね。

では、もしこのような言葉を言われた時、どのように対応するべきか、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

変化する常識を受け入れ、我が子を最優先にする

最近のおじいちゃんおばあちゃんも、子育ての常識が自分たちの時代とは変化してることをよくご存知だと思います。

例えば、「抱っこ」は、昔は抱き癖がつくからよくないと言われていましたが、今は心の成長のために大切なので、抱き癖は気にしなくていいと言われています。また「卒乳」は、昔は1歳までの断乳が推奨されていましたが、今は自然と離れるまで授乳しても大丈夫とされています。

ほかにも、昔は「日光浴」は推奨されましたが、今ではオゾン層の破壊で紫外線量が増加したので避けた方がよいとされたり、精神力を鍛えるために我慢させていた「水分補給」も、熱中症予防で必要なことと認識されたりと、多くの場面で考え方が変わってきています。

そして、今のママパパの世代がよいとしていることも、最新の研究によれば、少しずつ変化してきていることも頭の片隅に入れられるといいですね。

例えば、虫歯予防によくないとされた食べ物を咀嚼して子どもに与えることが、実は免疫力がつくのでよいという最新の研究報告もあります。30年後はまた変わっているかもしれません。つまり、常識は知識として必要だけれど、我が子にとって正解かどうかはわからないのです。

では、どうしたらいいのでしょうか。答えは、我が子の中にあります。常識にとらわれず、自分のお子さん(お孫さん)が幸せそうかどうかで判断することが大切です。

ママパパも、いろいろ言われるとドキッとして不安になることもあるかと思いますが、どうぞ心配せずに、我が子の様子をみることを最優先にしてください。

我が子を「かわいそう」と言われた時の対応は?

自分たちは我が子を思ってしていることも、おじいちゃんおばあちゃんからはすぐには理解されないかもしれません。もし「かわいそう」と言われた時にどうしたらいいのか、具体的な場面で考えてみましょう。

例えば、「まだ小さいのに、メガネをかけさせてかわいそう」と言われたら、非難されているのだと受け取らずに、「孫を愛しているからだ」と受け止めましょう。

祖父母「こんなに小さいうちからメガネなんて、かわいそう」
パパママ「孫をいつも気遣ってくれてありがとう」
祖父母「心配よ! メガネをかけなきゃいけないの?」 パパママ「心配してくれて、孫のこと1番に考えてくれて嬉しいです」

このように、心配してくれていることを素直に喜べるといいですね。相手(祖父母)の思いを認めましょう。

祖父母「可愛い孫がメガネなんて……」
パパママ「メガネをかける前はぼーっとしてたのですが、メガネでよく見えるようになってからはとても積極的になって、本人も喜んでいます」
祖父母「見えてなかったのね……」
パパママ「私も気付かなくて、かわいそうなことをしました。でも眼科検診で理由がわかってホッとしたんです。メガネをかければ変わるって」
祖父母「そう、……メガネをしない方がかわいそうなのね」
パパママ「はい! 今は集中力もあって、早めにわかってよかったです」

子(孫)にとって何が1番良いことなのかを明確にしてください。それをお互いに共有できれば、理解し合えるはずです。

祖父母「そうね。似合ってるわね」
子「うん、じいじとばあばの顔もよく見えるよ」
祖父母「おお! じゃあカルタでもしようか」
子「うん! ぼく字も読めるよ」
祖父母「すごいなあ」

変な遠慮や、言われるがままにして、不満を残さないためにも、しっかりと話し合ういましょう。その時に、大切なのは話す順番です。

1.相手を認める(愛情だと受け止める)
2.目的を明確にする(子にとって1番良いことは何か)
3.わかり合って、解決法を考える(子どもが健やかに育つ方法)

この順序で会話を重ねることは、子育てのコミュニケーションと同じです。

おじいちゃんおばあちゃんに子どものメガネについて言われた時に、最初から「メガネをかけることはかわいそうではありません! 見えるために必要なことなんです」と正論を言っても、分かり合えず、いつも反抗する娘(嫁)と受け取られてしまうかもしれません。

目的は、相手に分からせることではなく、子(孫)にとって、1番の味方である家族を作っていくことです。そのためのコミュニケーションを忘れずに、あざと可愛くいきましょう。

お互いに分かり合っていく姿を目にした子(孫)は、健やかに育っていくと思います。