「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。
ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。
親は、困難なことにぶつかったときでも子ども自ら努力して乗り越えていける子になって欲しいと願っています。そこで今回は、「うちの子は自分の苦手なことをやりたがらず、避けようとしてしまいます。このままだと努力できない子になってしまうのではと心配です」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
努力できる子になるために親がすべき3つのポイント
「努力して乗り越えていける力」は自立していくために必要な力です。ゆっくりじっくり身につけていけるよう、親としてできることはなんでしょうか。ポイントは3つあると思っています。
1.子どもの良い面も悪い面も認める
1つ目は「良い面も悪い面も認めること」です。大人は、苦手なことや課題を見つけてそれを克服するのが"努力"だと思い、子どもにもやらせようとしてしまいますが、それができるようになるのはもう少し先です。
まずは、子どもの良い面を見つけてそこを伸ばし、自信をつけるようにしましょう。自信をつける過程で、辛いと思わずに努力する方法を学ぶことができるといいですね。
ご相談者さんの、「苦手なことをやりたがらず」といったような、マイナスな面を親としては注目してしまいがちですが、実は、ここばかりに目を向けていてもなかなか成長はありません。まずはいい面をみるようにしてみましょう。
苦手なことをせずに、お子さんが取り組んでいることや、得意なことはなんでしょうか? こう聞くと、考えたこともなかった、というお母さんは意外にも多いのです。どうぞ、できなかったことは少し忘れて、できたことや得意なことを探し、言葉で認めてあげましょう。黙認はダメですよ。
得意なことはゲームですが、認めることはできません! というお母さんもいらっしゃると思いますが、ゲームを推奨するのではなく、集中力や最後までやり遂げる力、努力や工夫する力を認めましょう。
「ゲームに集中する力すごいね」「最後まで工夫してクリアするなんてすごいね」 といった具合に、こうした力を身につけるための手段が、たまたまゲームだったと考えると、お子さんは認められたと感じ努力する力をしっかり身につけていくはずです。
そしてしばらくしてゲームを卒業する日が来れば、あっという間に、別のことでも努力できるはずです。
2.子どもがうまくいかなかった時は支える
2つ目は、「うまくいかなかった時に支える」ことが重要です。苦手なことやできなかったことに挑戦して頑張ったのに、うまくいかないこともあるはずです。
親としては、「やり方を変えたらいいのに」「無駄が多いのでは」など効率の良いやり方を教えたくなりますが、本人が気付いて直し工夫していかなければ意味がありませんね。歯がゆいかもしれませんが、そこは口出しせずに、子どもの気持ちに寄り添うことに徹しましょう。
子どもが落ち込んでいれば「悔しいね。でも努力は裏切らないから無駄じゃないと思うよ」と、逆にけろっとしていれば、「もう立ち直っていてすごいね。あなたの努力をママは知ってるからね!」などと言葉にして、一緒に立ち直れるといいですね。
「一緒に」が大切です。けして「この問題なんでできなかったの?」などと、教えてやり直しさせないように気をつけてください。
親に寄り添ってもらう中で、子どもは、もう一度挑戦する気持ちを奮い立たせられるのです。それが努力として力になるはずです。
3.親が成功への手本を見せる
最後の3つ目のポイントは「親が手本を見せる」ことです。子どもが努力して乗り越えるようになるためには、成功している姿を見ることが一番有効です。身近な存在のお母さんお父さんが日頃から何かに真剣に取り組み、努力してそれを乗り越える姿を見て育つことが重要となってきます。
途中で諦めたり投げ出したりするのではなく、ここぞという時に、なりふりかまわず頑張る姿を見て、子どもも何かを感じるはずです。できれば、うまくいかなかった時に、その乗り越え方を子どもにも相談して、一緒に考えてもう一度努力する姿を応援してもらいながら成功できるといいですね。子どもは親と一緒に実体験をしながら、たくさんのことを学ぶはずです。
子どもに弱みを見せたくない、というお母さんお父さんもいらっしゃると思いますが、弱みを見せたからといって、親を馬鹿にする子どもはいません。むしろ、親の味方となって応援することで、子どもはぐんっと成長するはずです。 そして、いざとなった時、子ども自身の力になると思います。