「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

  • ママ自身の"自己肯定感"はどうやって育てられるのか(写真:マイナビニュース)

    ママ自身の"自己肯定感"はどうやって育てられるのか


子育ての知識やスキルを学ぶ機会がないまま、ある日突然親になる私たちが、どうしたらいいのかと不安になるのは当たり前です。

今回は、「子どもの自己肯定感を育てる大切さはよくわかったのですが、自己肯定感の低い私でも育てることはできるでしょうか」というお母さんからのご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

小さい頃の経験が「自己肯定感」へ大きく影響する

自己肯定感というネーミングで誤解されている方もいるかもしれませんが、自信満々で何事にも積極的な人、という意味ではありません。自分の器以上に自分を過信したり、よく見せようとしたりする人は、逆に高くないことの表れではないかと思っています。

欠点や足りない部分を自分で認めることができて初めて、自己肯定感が育っている人なのです。自分のダメな部分をちゃんと許して認めることができるかどうかが大切なのですが、これは、小さいころ親から言われた言葉が大人になっても影響しているのだなあと感じます。

小さい頃から「お母さんの言うことをよく聞いて、えらいわね!」と褒められ、自分のやりたいことよりもお母さんの喜ぶことを優先させて、悲しませないようにしてきた人に多いように思うのです。

このように、自分で自分のやりたいことを考えて決めるよりも、親が望んでいることを考えて行動してきた結果、親になって初めて「自分の人生を歩んでこなかったのでは?」と気づいて不安になってしまうようです。

周りから見てとても素敵な人なのですが、本人はいつも本当の自分を認めることができず"自己肯定感が低い"と感じている人も多いようです。

そのように自分のことを考えているお母さんたちは、自分の経験を反面教師に、子どもをそのまま認めることで自己肯定感を育てようと強く思うようです。ただ、その一方で、親(おばあちゃん)に対して複雑な思いも芽生えるようです。

「親にこの思いをぶつけてもいいのだろうか」という疑問も出てきます。もちろんいいと思います。ただ親を否定する言い方をしてしまうと、それはそのまま自分の人生を否定することになってしまうので、親も一生懸命だったことを認めるよう気をつけましょう。自分の思いを話せる信頼関係が築けていけるのであれば、思いを伝えて分かり合えるとすっきりして、前に進めるでしょう。

親の時代は、それが一番よかれと思われていた時代だったのかもしれません。子育てのコミュニケーションと同じです。まずは、相手を認める。次に、目的を共有して、自分の意見を言う、です。

自己肯定感を育てるためのポイントとは

本題に戻りますが、ではこのお母さんたちは、自身の自己肯定感をどうやって育てられるのでしょうか。

ひとつには、前述した、親に今の自分の思いを話してみることです。言葉にすることで自分の中の許せない部分が明確になり、解決方法も見つかるからです。親に言えなくても、夫や友人に話すことで少し楽になることもあるでしょう。アドバイスをくれる人より、「うん、うん」と話を聞いてくれる人が良いと思います。

そしてさらに、自己肯定感を育てるために、自分のダメだと思っている点を自分で許すようにしましょう。親に言われて「これができないダメな私」とか、自分が「自分でダメだと思い込んでいる点」を客観的に見てみてみたら、大したことではないことがわかったりするのではないでしょうか。

そして、だめな部分を許せるようになると、いい面をみることができるようになります。テストで「あと1点とれなかったダメな私」ではなく、「99点取った私」でいいのです。当たり前のことを認めること、これが子育てにも生きてきます。

最後は、そのままのわたしを認めること。これは、今書いたダメだと思っている点を許すことも含めてですが、そのままの私を受け入れることです。

これって、自分では無理……と思う人もいるかもしれませんが、なんといっても、子どもは、どんなだめなお母さんでも全力で愛してくれるのです。怒鳴ったり、イライラしたり、おちこんだり、情けなかったりした自分なのに、子どもはお母さんが大好きです。子どもに認めてもらうことで、お母さん自身の自己肯定感は育てられるのです。これが子育ての素晴らしいところではないでしょうか。