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ただでさえ手一杯な状況に、営業を担当する人や上司が顧客の無茶な注文を通してしまい、さらに忙しくなってしまう……。仕事を多く受注して売上を伸ばさなければという事情はあるにせよ、「さすがに断って!」と言いたくなるような場面に遭遇することがあるかもしれません。

「要望を叶えるのがプロの仕事」「お客様は神様」的な考えが誤った方向で共有されていたり、立場が上の人物からのプレッシャーにより、「できない」ことを「できない」と言えない空気ができあがったりしていることも。

仕事を与えお金を払う側が優位というイメージが持たれがちですが、部下に仕事を振る上司の要求や、お金を払ってくれる顧客の要求には、たとえそれが無茶な内容であったとしても応えなければならないような関係性のうえで仕事をする必要はあるのでしょうか?

上司もお客様も、働く人も皆ただの人間です。何もかもができるわけではありませんし、人の時間や健康を犠牲に過剰な要求を押しつけてよいなどということもありません。

無理をして「できます」と言えば、仕事を振る側は「この水準の仕事をこれからも頼んでよいのだな」となりますし、「できます」と伝えたのにやはり無理だったとなると、かえって大きなトラブルや損失が発生してしまいます。

できないことは「できない」と伝え、どの範囲の要求なら実現可能かを話し合っていった方が誠実と言える状況も多々あるはずです。

仕事を頼む側・サービスを受ける側の高水準な要求や、無理をしてそれを通してしまう体制が過剰な労働を生み出している側面もあります。自分にも他人にも限界があることを認めなければ、過剰な労働は蔓延していくでしょう。

24時間対応してもらえることは当たり前でしょうか。どのような状況下でも必要な商品がある・必要なサービスを受けられることは当たり前でしょうか。自分が取引先やお店の人などに対し高すぎる要求を持っていないかということにも気をつけていきたいですね。