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体調を崩す人が多い季節。風邪をひいて熱があるのに忙しくて人手が必要だからと出勤させられたり、そこまででなくとも怒られたり……といったことが、場所によってはあると聞きます。そうした体調不良でも休めないという風潮からか、無理して出勤してしまう人も。

「体調管理も仕事のうち」「体調を崩すのは自己管理ができていないせい」という考えを押し付けられることもあるようです。確かに、次の日に大切な仕事があるのに意味もなく夜更かしをしすぎたり、お酒を飲みすぎたりした……などということをしていれば自己管理ができていないとも言えるでしょう。

しかし、「風邪をひく」「何かの病気のウイルスに感染する」といったことは、可能な限りの予防はすべきといっても、個人の意思で完全にコントロールできるようなものではありません。普段から体調を崩さざるをえないような量の仕事をこなさなければいけないような現場なら、なおさらです。

「思いのままにならないこと」の代表格である「病む」という出来事について、何もかもをその人の責任にするのはやりすぎではないでしょうか(自分が体調を崩したらどうするつもりなのでしょう)。

実利的な面から見ても、体調の悪い人を無理やり働かせても普段のパフォーマンスは発揮できず、ミスが生じる可能性も高まるため、理にかなった選択とは言えません。その人の状態が悪化することにもつながりますし、周囲に感染してさらにパフォーマンスが下がるリスクも生じるでしょう。それよりは、万全な状態に戻ってから集中して働いてもらった方が仕事は進むはずです。

組織に体調を崩した人がいたらするべきことは「その人に休んでもらうこと」であり、休みにくい風潮があったとしても、自分が体調を崩したらするべきことは、仕事の心配ではなく、周囲に感染する可能性もあるのに無理して働くことでもなく、「まず休んで治すこと」です。目先のことにとらわれて本来するべきことを忘れないようにしたいですし、そうさせてくれる仕事場を選びたいですよね。