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仕事のアイデアを提案するも、あえなく却下。しかし、別の機会に立場の強い人が同じことを言ったら採用に……。同じことを提案しているのに立場の強い人物や責任の大きい人の意見が通りやすい。「何を言うか(その提案の内容が役に立つか)」ではなく、「誰が言うか」で仕事が動くような出来事に納得のいかない思いをする機会もあるかもしれません。

労働基準法をろくに守ってもいない会社が、社員に「時間を守れ」とか「社内のルールを守れ」と言ってもまるで説得力がないように、人が人の意見を聞く際に「どのような人物が言っているか」が重要な判断材料となることも事実です。その人が今までの仕事で積み重ねてきた成果や信頼が、発言に説得力を持たせる場合もあるでしょう。

とはいえ、建設的な提案をしただけに、自分と他人とで発言の受け入れられ方が露骨に異なるというのはあまり気分のいいものではありませんよね。そんな中でも、「言う人が言えば採用されるアイデアと同じことを自分も考えられた」ということには自信を持っていいのではないでしょうか。

プラスに捉えられる部分はプラスに捉え、これを励みにアイデアや判断のセンスを磨き続け、良い仕事を積み重ねていきましょう(できれば良い仕事をしたいと思える環境で)。それがあなたの発言により強い説得力を持たせることにもつながっていくはずです。

一方で仕事を動かすにあたり、諸々の提案を「誰が言うか」の重みが大きすぎるのも考えものです。偉い人物の一言で現場のことを無視した現実性のない提案が通ってしまうといったことが起こりかねません。内容をろくに検証せず、「この人の言うことだから間違いない」というのではただの思考停止ですよね。

「何を言うか」と「誰が言うか」……。 日々、自分がどちらを重視して人の意見を聞いているか。仕事やその議論がどちらを重視して動いているか。どちらかに偏りすぎていないか……。そのバランスを注意深く観察してみてはいかがでしょう。