オトイズム……2,980円
たまごっち……購入後早々に放置。ときめきメモリアル……なぜか妻がゲームクリア。ポケットピカチュウ……ここ1年ほど行方不明、朝7時にどこからともなく鳴き声。筆者にとって"育成ゲー"は鬼門、満足に育て上げた例は無し。RPGも熱中するのは序盤のみ、仕事の合間を縫って勤しんだFF XIIも、どこぞの浜辺で経験値稼ぎをしたのを最後に1年の月日が流れた。折角のKOMONOを味わい尽くさぬとは、この道に生きる者にあるまじき行為と恥じ入るばかりだ。
一方で、長続きしている趣味もある。その筆頭に挙げられるのが、プログレッシブ・ロック、通称"プログレ"のコレクション。十二歳のとき千葉テレビの「テレジオ7」(知ってます?)で偶然見たKing Crimsonのビデオクリップに衝撃を受け、以降プログレ4大バンド -- Pink Floyd / EL&P(Emerson, Lake & Palmer) / King Crimson / Yes -- を皮切りに、少年時代は伊仏など欧州諸国のプログレLP / CDを聴きまくった。ふと気付けば齢三十七、四半世紀をプログレとともに過ごした計算だ。さすがに現在ではスムース・ジャズなど毒気のない音楽も聴くが、徹夜で原稿を書くときのBGMはプログレと決めている。
そんなとき、車で10分ほどの距離にあるヤマダ電機で出会ったKOMONOが「KONAMI オトイズム」。ステレオミニプラグでポータブルオーディオに接続、聴く音楽の成分によってペットが変化/成長するという仕掛け。キャッチコピーが"ぼくらは音楽から生まれた"、パッケージにTV番組の声紋分析でお馴染み日本音響研究所・鈴木博士の微笑む姿があるとくれば、金2,980円也の出費など惜しむべからず、とりもなおさず購入した次第。
「東京おもちゃショー2006」で見かけてから欲しかったんですヨ |
このようにヘッドフォンとポータブルオーディオの"間にかませる"ことで機能する |
セレクトボタン(突起が2つ)でモードを切り替え、決定ボタンで動作を決める |
電気代……3円(たぶん)
帰宅して届いた箱を開けてみると、現れたのは丸くて分厚い、上部が透明なプラスチックに覆われた小物体。同梱された接続ケーブルでポータブルオーディオとの間をつなぎ、ボディ上部に配されたステレオアウトに自前のヘッドフォンを接続すれば準備は完了。日付や生年月日などの情報を入力した後、音楽の再生を始めればペット(オトイズム)の誕生だ。
パッケージの宣伝文句によれば、『「日本音響研究所」が開発した音響分析手法をもとにコナミ独自のアルゴリズムにより、曲を分類・判定しています』との由、後は聴くべし、聴くべし、聴くべし。筆者が"プログレマスター"を育てるべく用意したプレイリストはこちら、知る人ぞ知るジャンルの楽曲ゆえ、どのような調子かは各々で想像していただきたい。
- Trilogy / Emerson, Lake and Palmer
- Cogs In Cogs / Gentle Giant
- Los Endos / Genesis
- Crosscurrents / Gong
- Metamorphosis / Curved Air
- La Luna Nuova / P.F.M.(Premiata Forneria Marconi)
- All White / Soft Machine
- Five G / Bruford
- Strutture / Latte E Miele
- A Saucerful Of Secrets / Pink Floyd
- C'e Un Paese Al Mondo / Maxophone
- Starless / King Crimson
- Il Bandito Del Deserto / Area
- The Only Thing She Needs / UK
- De Futura / Magma
- Slogan / Banco Del Mutuo Soccorso
- Siberian Khatru / Yes
- Gravita / Arti + Mestieri
- 鬼 / 新月
どのように育つかはリスナーの音楽性次第だが、説明書によれば、ペットは楽曲の中にある成分(オトソース)を栄養源として成長するらしい。オトソースの種類は19種類、傾向としてはスロー系(エレガント / チル / R&B / ヒップホップ)、ハード系(ギター / コア / テクノ / トロピカル)、ミディアム(ファンキー / ジャジー / フォーク / ダンス)、その他色々(ポップ / バラード / スカ / ヒーリング / アニメ / ゲーム / エンカ)があるとのこと。アルゴリズムは明かされていないため、試す以外に道はない。
オトイズムの成長過程は大きく分けて2段階、「ジュニア」と「アダルト」。たまごっちのように、不可逆的に成長するわけではないようで、筆者のプレイリストの場合「チビトガリズム」と「フライズム」の間を幾たびか行き来した。とはいえ、曲やアーティストによってクラシックもジャズも前衛音楽の要素も入るうえ、変拍子は当たり前、曲展開もニギニギしいプログレのこと、変わらなければいけないような気もする。ここがこのKOMONOの面白さと思うが、如何に。
オトイズムとの思い出……プライスレス
全19曲/2時間22分のプレイリストを再生すること7回、延べ16時間半かけて育てた我が「ユーロ」は、いまのところ「トンガリズム」で落ち着いている。ジュニア時代には、ふらふらした時期(フライズム)もあるが、メリハリの効いたキャラに育ってくれたことに父は満足だ。もちろん、トンガリズムといっても、南洋の島国の楽器を叩くトロピカルなキャラではないので念のため。
面白いのは、KONAMIのWebサイトで確認できる我が子のプロフィール。パスワードモード画面の「マイイズム」に表示されるキャラ文字列を、Password欄に入力すればOK。そのときどきのキャラにあった壁紙や待ち受け画面を無料で頂戴できてしまうのだから、有り難い話だ。我が子との思い出がつまったプレゼント……まさにプライスレス、出かけるときは忘れずに(そりゃAMEXですな)。
○KONAMI 「オトイズム」 | ||
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機能 | ★ | |
価格 | ★★★★ | |
楽しさ | ★★★ | |
怪しさ | ★★★ | |
衝動買い | ★★★★★ | |
TOTAL | ★★★ |