拭き跡の残らない乾式クリーニングクロスを求めて

3種類の乾式クリーニングクロスを拭き比べしてみました

それにつけても、液晶パネルを利用した製品の多さよ。ノートPCに薄型テレビ、携帯電話などなど、筆者の書斎を埋め尽くさんばかりの勢いだ。

そこで浮上するのが、液晶パネル表面の汚れをどうするかという問題。以前はもっぱら表示装置として利用していたため気にならなかったが、近頃ではiPhone / iPod touchのように入力装置を兼ねたものも増加、汚れ対策は急務となった。徹底的かつ効率的に汚れを落とす清掃グッズが必要だ。

しばらく使い捨てのウェットティッシュ風不織布を利用していた筆者だが、湿式はどうしても拭き跡が残る。そこで乾式のクリーニングクロスを購入すべく量販店へと足を運び、品定めを始めたところ、製品により布地の繊維に違いがあることを発見。どれがいいかわからないため目に留まった3製品を購入、iPhoneに付いた指紋汚れと液晶テレビ表面のホコリ汚れを落とすという2つのテストで、その実力を試してみた。

右から順にKOKUYO「クリーニングクロス」、日立マクセル「大画面テレビクリーニングクロス」、日本ビクター「TV/PCモニター クリーニングクロス」

ベリーマX採用 - KOKUYO「クリーニングクロス」

最初に試したのは、KBセーレンの「ベリーマX」を使用したコクヨの製品「クリーニングクロス」。ベリーマXの材質はポリエステル70%にナイロン30%、0.1デニール / 太さ1~5μmという超極細繊維だ。話に聞けば、くさび状の断面が汚れ粒子の表面にぴったりフィット、捕らえたものを離さないということらしい。

収納に便利なプラスチックケースが付いた、KOKUYO「クリーニングクロス」

太さ1~5μmという超極細繊維「ベリーマX」を採用している

その手触りは、ビロードをさらにきめ細かくしたような印象。見た目もちょっと光沢があり、超極細繊維かくの如しといったところだ。

まずはiPhone表面の指紋汚れに挑戦。軽く撫でた程度では効果なし、上下に2~3回往復させたあたりでようやく汚れが落ち始める。息を吹きかけたあとに拭くと、汚れはほぼ完璧に落ちた。拭き跡もほとんど残らない。

続いては、液晶パネル表面に付着したホコリ。おそらくは静電気が原因のため、乾いたクロスで拭いても……と考えていたが、それなりに落ちた。ホコリそのものは、静電気の力で吸着させるブラシタイプの製品のほうがよく取れるため、仕上げのひと拭きに使うと効果的だろう。

ミューフェス採用 - 日立マクセル「大画面テレビクリーニングクロス」

ふんわり柔らかな手触りが心地よい、日立マクセル「大画面テレビクリーニングクロス」

続いて試したのは、ユニチカの「ミューフェス」を採用した日立マクセルの製品「大画面テレビクリーニングクロス」。こちらもベルベット風の手触りだが、起毛処理によりベリーマXに比べふんわりとした感じ。ちなみに材質はポリエステル100%。太さについては記載がなかったが、調べたところミューフェスの繊維径は約11μmということで、ベリーマXに比べると太めだ。

iPhoneの指紋汚れを拭いたときの印象だが、落ち加減はベリーマXと大差ないものの、クロスを手にしたときの感触がだいぶ違う。ベリーマXは薄いので2枚重ねにして使いたくなるが、こちらは1枚ペラの状態でイケる感じ。どちらかといえば、iPhoneなどKOMONOにはベリーマXのほうが適していて、大型液晶テレビには広げて使っても頼りなさがない (「布」としての主張がある?) ミューフェスのほうがしっくりくる、といったところ。

液晶テレビについたホコリの取れぐあいも大差ない感じだが、起毛処理されているためか、滑り具合はこちらのほうが好印象。繊維表面へのプラズマ加工による帯電防止効果もあるとのこと、やはり液晶テレビなど大型の製品を拭く場合にはこちらのほうがよさそうだ。

トレシー採用 - 日本ビクター「TV/PCモニター クリーニングクロス」

メガネ拭きで一世を風靡したトレシーを採用の「日本ビクター TV/PCモニター クリーニングクロス」

最後は、東レの「トレシー」を採用した日本ビクターの製品「TV/PCモニター クリーニングクロス」。トレシーといえばメガネ拭きというほどの高い知名度を持つ、極細繊維界のセレブリティなだけに、液晶パネルに対する効果も期待が高まろうというもの。ちなみに材質はポリエステル100%、繊維径は15μm。

手にした感触は、今回テストした3製品のうち、もっともヘビー。布地の固さも相まって、薄手のカーテンといった風情だ。この製品にはクッション性の高い厚手生地を使用しているとのことで、その影響もあるのだろう。

iPhoneの指紋汚れだが、先にテストしたベリーマXとミューフェスに比べると、ごくわずかながら拭き跡が残る感じ。ハアッと息を吹きかけてから拭けば差は感じられないが、なにもしない乾いた状態から拭いたときには、拭く回数を若干増やさないことには吹き跡が完全には消えなかった。

厚手のため持ちやすいこともあってか、液晶テレビの広い範囲を拭くにはいい感じ。滑り具合も適度で、誤って指が液晶表面に触れてしまう (滑りが今ひとつのベリーマXではこのミスを犯しやすい) ことも少ない。湿式のクリーナーで拭いたあとに使えば、仕上げ役としてピッタリだといえる。