夏が来れば思い出す、「使える防水」機能
電化製品でいうところの防水機能は、水洗いできる程度の防水機能が付加された「生活防水」と、水中での使用が可能な「完全防水」に大別される。しかし、水洗いできるかどうか、水に浸すことができるかどうかといった基準は機種ごとにさまざま。どの程度までOKなのかは、メーカーが主張するスペック表で判断せざるをえない。海辺やプールでの水遊びが好きな筆者、遠慮会釈なく水に浸せるデジタルカメラ / ビデオカメラを物色していたのだが、具体的な機種選定に際しこの点が気になった。
防水性能の客観的な基準には、「電気機械器具の外郭による保護等級」というJIS規格 (JIS C 0920)、およびIECが定めた国際基準 (IEC 60529) がある。両規格では水への耐性レベルを8段階設け、4~8級を「防水機能あり」に分類している。そのうち4級は、にわか雨や水しぶきによる悪影響を受けない程度の生活防水機能で、筆者がいう水遊びには耐えられそうにない。水に浸せて、シュノーケリングにも使える防水機能となれば、やはり8級 (JIS IPX 8) は欲しいところだ。
表:電気機械器具の外郭による保護等級 (JIS C 0920)
0級 | 水分からの保護機能を備えていない | |
---|---|---|
4級 | 防沫型 | あらゆる方向からの飛沫に対応できる、いわゆる「生活防水」機能 |
5級 | 防噴流型 | あらゆる方向からの噴流水に対応できる |
6級 | 耐水型 | あらゆる方向からの噴流水に対応でき、水の侵入を防止できる |
7級 | 防侵型 | ある水圧化に一時的に水没させても内部に浸水しない |
8級 | 水中型 | 継続的に水没させても内部に浸水しない |
昨年9月に沖縄へ行ったときには、SONYのコンパクトカメラ「DSC-T10」と防水機能付きスポーツパック「SPK-THC」を利用した。水深3mでの使用に耐えうるこの組み合わせ、決して悪くはないのだが、いかんせんハウジング部分が大きく持ち運びに不便。パッキング部分にグリースを塗るなど、メンテナンスも必要だ。
夏を目前にして、他の可能性が気になりだした筆者。新製品のスペック表でJIS IPX 8を満たす機種を選別、OLYMPUSのコンパクトデジタルカメラ「μ1030 SW」と、SANYOのハンディビデオカメラ「Xacti DMX-CA8」の2台に候補を絞り込んだ。この度メーカーのご厚意により借りることができたため、本州より一足早く夏本番を迎えた沖縄の地にて、防水ならぬ「水中性能」を検証しようという次第。
防水 & 防じんのデジタルカメラ、OLYMPUS「μ1030 SW」
沖縄でのレビューに臨む前に、各機種の主要スペックを紹介しておこう。
まずはOLYMPUS「μ1030 SW」から。2008年3月発売のこのモデル、防水性能はJIS/IPX 8相当、水深約10mでの撮影が可能。シュノーケリング程度であれば問題なく使えそうだが、さらにオプションの専用防水プロテクター「PT-043」を装着すれば、水深約40mまで対応可能という。
注目したいのは、そのタフなボディ。新開発の衝撃吸収機構を採用、2.0mの落下テストをクリアしているとのことなので、手が滑りやすい水辺でも安心して使える。防じん性能は最高レベルのJIS/IPX 6相当、浜辺の砂も心配しなくてよさそう。
撮影性能は、有効画素数1,010万の1/2.33型CCDを搭載、新画像処理エンジン「TruePicIII」の採用により、広いダイナミックレンジを確保。28~102mm相当の光学3.6倍ズームに対応するなど、幅広く使えそうなスペックだ。
<<< CHECK POINT >>>
- 水深10mに対応、水遊びはもちろんシュノーケリングもOK
- 新開発の衝撃吸収機構と、衝撃やキズに強い外装フレームを採用
- 砂やホコリを寄せ付けない防じん設計
1時間の連続撮影が可能なビデオカメラ、SANYO「Xacti DMX-CA8」
JIS/IPX 8相当の防水機能を備えるデジタルカメラはいくつかあるが、ビデオカメラとなると数はかなり絞り込まれる。しかも、シュノーケリングに参加するとなると、できるかぎり長時間の録画に対応することが望ましく、かつ小型でなければ務まらない。候補はPanasonic「SDR-SW20」とSANYO「Xacti DMX-CA8」に絞り込まれたが、一般向けの販売がスタートしているということで後者を選択した。
このDMX-CA8、有効画素数約812万の1/2.5型CMOSセンサーを搭載、光学5倍 / デジタル12倍のズーム、撮影可能なムービーは最大640×480ピクセル / 60fps / 6Mbpsと、機能的にはライト級。しかし、水深約1.5mの水中を最長60分使用でき、最大32GBのSDHCメモリーカードに対応するメリットは大きい。285度回転する2.5インチ液晶モニタも、水中での撮影で活躍しそう。さて、その実力やいかに?
<<< CHECK POINT >>>
- JIS/IPX 8相当 / 水深約1.5mの防水機能
- 動画コーデックはMPEG-4 AVC / H.264、最大640×480ピクセル / 60fps / 6Mbps
- 285度回転する2.5インチ液晶モニタを搭載
今回はグラフはお休みです