星川とNRIとオープンソース

好評のうち幕を下ろした「LinuxWorld Expo/Tokyo 2008」。すでにLinuxは日常語、デスクトップOSとしては採算があわないと某大手Linuxベンダーも切って捨てるこの御時世、「オープンソース」を前面に押し出すのも致し方ないところか。

話はうって変わって「星川」。移動はほぼ100%車という筆者だが、相模鉄道星川駅から徒歩数分に位置するやきとり店「とりQ」を訪ねるときには、大量のアルコール摂取に備え電車を利用する。甘口のタレが癖になるこの店、近所の会社に勤めていたらさぞ足繁く通っていただろうよ、とそばに佇む横浜ビジネスパーク (YBP) をチラリ横目で眺めたことも。筆者の脳内では、星川といえばソース (タレ)、そしてNRI (野村総合研究所) なのだ。

あの「オープンソース焼きそば」をベンチマーク

だから、YBPに居を構えるNRIが「オープンソース焼きそば」をリリースしたとの一報を受けたとき、筆者はその奇妙な符合に慄然とした。星川とNRIとオープンソース……ソダーバーグ監督の映画のような響きもなんだかステキだ。

そのような筆者の熱い思いを知ってか知らずか、担当編集者がオープンソース焼きそば9セットを送ってくれた。ならば期待に応えようと、競合製品数セットを近所のスーパーで購入、ベンチマーク測定に臨んだ次第。

あの「オープンソース焼きそば」が我が家へやってきた! 読者プレゼントも行っているようなので、ほしい方は応募してみては?

他の焼きそばとのベンチマーク比較もやります (袋入りの「サッポロ一番」は諸事情により割愛しました)

オープンソース焼きそばは「make一発」

このオープンソース焼きそば、NRIがリリースしたとはいっても製造したわけではない。製造元は栃木県足利市の新栄食品、その製品「しんちゃん焼きそば」を元にしたノベルティ商品だ。ニュース記事風に書けば、コードベースにしんちゃん焼きそばを採用、NRIがオープンソース焼きそばとして公開した、といったところか。

開封すると目に入るのは、ソースとふりかけの小袋。乾燥した野菜などの具材が入った「かやく」は同梱されない、いわばGUIなしのシンプルな体裁をとる。GUIの華々しさはないが、シェル (容器) は湯切り口を装備したシンプルながら使い勝手のいいものだ。

肝心のパフォーマンス (風味) は、十分に合格点。ちょっと辛めのソースは、35gと少なめの麺とのバランスがよく飽きにくい。小腹が空いたときにちょうどいい刺激と分量だ。正直に言えば、キャベツの食感も欲しかったが、かやくの追加は負荷の増大 (コスト増) につながるためやむを得ない。

気になるビルドの手順だが、ほとんど「make一発」でOK。configure (開封) 後に熱湯を注ぎ (make)、3分経ったところでmake test (湯切り) 、make install (ソースを絡める) で完成だ。make install doc (ふりかけ) はお好みでどうぞ。

オープンソース焼きそばのスペックシート (拡大図)

ペヤングソース焼きそば (下) と比較した湯切り口。シンプルだが、説教臭くないところがいい

決め手は「ソースコード」

今回オープンソース焼きそばの対抗馬に選んだのは、まるか食品「ペヤングソースやきそば」とエースコック「大盛り いか焼きそば」、日清食品「焼きそば U.F.O.」の3製品。味の比較は難しいが、かやくの内容やソースの味といった項目に分類することにより、それぞれの味の傾向が浮き彫りになってくると思う。

4製品に共通していえることは、ソース味を基調に (そりゃそうですな) しつつも、独自の"うま味"を出していること。いか焼きそばは魚介類系の、ペヤングはCMどおりまろやかな、U.F.Oはしっかりとした、それぞれの個性がある。オープンソース焼きそばは、かやくがない分個性を出しにくくはあるが、ハッキリとしたスパイス強めのソースにより、凡庸な味となることを免れている。要するにソースの出来が高度……ソースコード。これが書きたかっただけなのだが。

焼きそば愛好家としては、湯切り口についても語らずにいられない。現在、市販のカップ型インスタント焼きそばの湯切り口は大きく2種類あり、1つは上蓋の端に3~4つほどの切り込みを押し下げ / 引き上げて穴を確保するもの、もう1つはシール状のフタをめくると複数の穴が出てくるもの。オープンソース焼きそばの湯切り口は前者であり、インスタント焼きそば分類学 (今考えました) 的には旧型に属すことになる。湯切りの良し悪しがソースの絡み具合を、ひいては焼きそばとしての味を左右するため、ゆめゆめ侮ることなかれ。

オープンソース焼きそば (左) とペヤングソース焼きそば (右)

大盛り いか焼きそば (左) と焼きそばU.F.O (右)

ふりかけも見逃すべからず。下の写真を見ればわかるが、オープンソース焼きそばはゴマ主体、ペヤングは青海苔主体。青海苔は香り高いが歯につきやすいため、笑顔の爽やかなナイスガイを目指すならば、断然ゴマが有利なのだ。口許にまで配慮したオープンソース焼きそば、ううむ、奥深い。

ペヤング (上) とオープンソース焼きそば (下) のふりかけ

表: カップ焼きそばベンチマーク v0.1

種別 OpenSource ペヤング いか UFO
1食分 (g) 48 120 169 129
カロリー (kcal) N/A 518 668 553
かやく ×
ふりかけ
スパイス × ×
湯切り口
完成まで 3分 3分 3分 3分
ソースの味 ハッキリ まろやか 魚介類系 しっかり
めんの味(5段階) 3 4 3 4
かやくの味(5段階) N/A 3 4 3