四十二の巻: A2DPに対応したLeopardで試す「EG-BT1390」A2DPに対応したLeopardで試す「EG-BT1390」

目指すは「オールワイヤレス」

先日購入したノートPCスタンド「iFold」。ノートPCを上に載せて外部キーボードとマウスを接続すれば、さながらデスクトップマシンの如し、パームレストの熱も気にせず利用できるという便利グッズだ。

このiFold、1つ気になる点がある。机の表面近くに置く場合とは異なり、垂れ下がるケーブルが目にうるさいのだ。電源ケーブルは仕方ないとして、USBやら何やらのケーブルは必要なときだけにしておきたいもの。キーボードとマウスはBluetoothにすればOK。もちろん、LANはIEEE 802.11n。これで、かなりスッキリと使うことができる。

けれど1つ難題が。ノートPC備え付けのスピーカーでは、音質に満足できないのだ。USBやデジタルアウト経由で外部スピーカーを接続するという方法もあるが、iFold使用時には前述の"ケーブルだらり"が問題となる。スピーカーをワイヤレス化できれば……と方々を物色したところ発見したのが、今回購入したBluetoothオーディオレシーバー「EG-BT1390」という次第。

Leopardならば使えます

「EG-BT1390」は、数々のPC用KOMONOを手がけているエバーグリーンが、2007年夏に発売した製品。すでに利用者も少なくないはずだが、Macユーザは事情が異なる。この製品が対応するBluetoothプロファイル「A2DP (Advanced Audio Distribution Profile、音楽をヘッドフォンなどのデバイスに転送するためのプロファイル)」は、Mac OS Xではサポートされていなかったのだ。

しかし11月発売のMac OS X 10.5 (Leopard)で事態は好転。ようやくA2DP対応となり、EG-BT1390などのBluetoothオーディオデバイスを利用できる環境が整った。Bluetoothは、通信する双方が同じプロトコルされサポートしていれば、基本的にプラットフォームの違いには影響されないため、Mac OS XもWindowsと変わらず利用できる。

EG-BT1390側の準備は、特に必要なし。12V/0.6AのACアダプタを接続するだけでOKだ。Bluetooth (class2) の通信可能距離は約10mだが、障害物に強いため、離れた部屋に設置していても利用可能なことが多いはず。筆者も、書斎にあるMacBook Proで音楽を再生し、5mほど離れたリビングで聴けるよう、EG-BT1390をミニコンポに接続した。

MacBook Pro側での準備は、EG-BT1390を認識させるだけでいい。システム環境設定の「Bluetooth」ペインからセットアップを開始すれば、通信可能距離に問題がないかぎり、すぐに検出されるはず。するとパスキーの入力を求められるので、付属の説明書(A4用紙1枚だが)にある数値を入力すればセットアップは完了。最後に、「サウンド」ペインで出力先にEG-BT1390を指定すればOKだ。

音質はともかく、機動性が欲しい

EG-BT1390は、音源と他のオーディオ機器との"つなぎ"の役割を果たすデバイス。音質はRCA端子で接続したスピーカー、あるいはアンプに左右されるため、EG-BT1390固有の性能は音質に大きく影響を与えていないはず。

それを踏まえたうえで、ミニコンポから聞こえた音をCDと比較すると、"そこそこ"な印象。これは音がいいですよ明日からはBluetoothですよというわけではなく、まあ聞けるかな、といったところ。重複するが、これはEG-BT1390の性能云々というよりは、Bluetooh 1.2およびA2DPの仕様によるところが大きい。ソースと出力装置次第で音も変わるので、音質に満足できなければ改善の余地はある。

EG-BT1390でむしろ注目すべきは、ワイヤレスでいろいろなスピーカーに出力できること。Bluetooth / A2DPの場合、ついついヘッドフォンや携帯電話 (試したことはないが) に目が向いてしまうが、出力先のバリエーションは確実に増加する。大半のテレビにはRCA入力端子が装備されているので、テレビをスピーカー代わりに利用すると便利な場面もあるはずだ。筆者のように、周辺機器は可能なかぎりワイヤレス化したい、という目的にも適う。

惜しまれるのは、出力先がRCA端子しかないことと、ACアダプタが必要なこと。ヘッドフォン端子があれば、ヘッドフォンで音を聴くことができるだけでなく、ステレオミニケーブルを接続できる。電池で動けば、コンセントの確保で悩まずにすむ。Bluetoothデバイスであるだけに、機動性が今ひとつなところが惜しまれる点だ。