寝転がりつつ秋の夜を過ごす
スポーツの秋、芸術の秋、秋にもいろいろあるけれど、この世で一匹、もとい、読者諸兄がもっとも親しみを感じるのは「読書の秋」ではなかろうか。スポーツは疲れる。芸術は敷居が高い。読書ならば手も出しやすく、秋の夜長を過ごすには最良の友となる。
そして読書といえば「紙」。Webが媒体としての存在感を急速に増している昨今だが、世界中どこへでも持ち運べる携帯性、文字ばかりの小説でも苦なく読める紙+インクという素材の性質は、Webにはないもの。紙/本は有償だが、図書館という公共のストックを利用する手もある。秋にかこつける必要はないが、この普遍的な媒体の長所をときには見直すべきと思うのだ。
しかし実際には不便なことも。ソファに寝転がり読書しようとすると、本が天井にある照明器具の光を遮り目が疲れてしまうのだ。ベッドライトを使うという手もあるが、ソファでゴロ寝しているところへ持ってくるわけにもいかない。これ以上視力を低下させないためにも、紙面を照らす補助ライトはあったほうがいい。
方々探したところ目に留まったのが、I.D.E.A internationalが輸入販売する「LED コンパクトブックライト」。Amazon.co.jpで支払ったお代は、送料込みで金2,100円也。実物を手に取りもせず勘で購入したKOMONOなれど、この金額であれば失敗しても痛みは少ない。ズボラ読書の伴侶として相応しいかどうか、試してみようと考えた次第。
電球ではない、LEDです
この製品最大の特徴は、照明部分に2基の白色LEDライトを採用していることだ。LEDすなわち発光ダイオードは、電球に比べてはるかに消費電力量が低く熱の発生も少ない。しかも発光素子の耐久期間は一般的に3万時間といわれるほど長寿命、毎晩のように使っても10年はもつ計算。特に熱発生量が少ないことは、寝転がったときの顔からの近さを考えると、重要なポイントだといえる。
電源には単四電池×2本を使用する。電池込みの重量は約55g、500円硬貨8枚分に相当する。サイズは折り畳み時でW125×H29×D22mm、形状からしても小型の懐中電灯を連想すればいいだろう。あまり軽いとも小さいとも言い難いが、邪魔になることもない。ソファ近くのリモコンケースに入れておくぶんには、ちょうどいい感じだ。
点灯するときには、OPENと記された位置にある突起を使い支持部を引き起こし、反対側にあるスイッチをON方向へスライドすればOK。ライト部は360度回転するため、照らす位置を調整しやすい。支持部とライト部の関係は、鉄棒の大車輪を想像してほしい。なお、支持部を起こさずにスイッチ付近を持てば、PCケース内のように狭い箇所を照らす懐中電灯としても利用可能だ。
本体の素材はABS樹脂製、ホワイトとシルバーの2色が用意されている。筆者は特に理由もなくホワイトを選択したが、シルバーのほうが汚れは目立ちにくいかもしれない。
文庫本にはイイ感じ
読書灯としての「LED コンパクトブックライト」の使い方だが、支持部を引き起こすと現れるクリップ部分を本のカバー部分に差し込めばOK。あとはライト部を回転させ、ページを照らすよう調整すればいい。
しかし実際に差して使ってみると、いろいろ問題点も見えてくる。55gという本体重量はやはりそれなりで、文庫本の表/裏表紙のように薄いカバーでは"へにゃり"となるのだ。拙著「【改訂版】Mac OS X ターミナルコマンドポケットリファレンス」(是非ご購入のほどを)はカバー付きなのでさほどでもなかったが、文庫本では差した側のページをしっかり持たないと安定感に欠ける。
ライトの照らす範囲が狭いことにも留意すべき。筆者が連載を持っているMac Fanのように(こちらもご購入のほどを)、判型が大きい雑誌に差すと、ページ下部はあまり明るくならない。ページ中ほどに差すという手もあるのだが、そうするとライト部が視界に入ってしまうので、どうにも読み辛い。照らす範囲だけで判断すると、ストレスなく使える判型は新書判かA6判(文庫本)で、せいぜい四六判(ポケットリファレンスの判型)までと思えた。360度回転するライト部分も、左右へ振ることができないという点で惜しまれる。
使い方のコツだが、ふらつきを防ぐため、背(本の綴じ側)に近い部分へ差すといい。そうすれば、少々アンバランスではあるものの、左右両ページを照らすことができる。また、10ページほど読み進めてから表紙とカバーとともに差したほうが安定度は増す。ライト部もそのまま利用するのではなく、トレーシングペーパー、もしくはマット加工のメンディングテープを貼ると、光が柔らかくなってイイ感じ。意外に効果的なので、購入した暁には試してみてほしい。
○I.D.E.A international 「LED コンパクトブックライト」 |
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機能 | ★★ | |
価格 | ★★★★ | |
楽しさ | ★★ | |
怪しさ | ★★ | |
衝動買い | ★★★ | |
TOTAL | ★★ |