外付けHDDは面倒くさい

HDDの着脱が超簡単なリムーバブルケース「3ステップケース ガチャポンパッ!」

外付けHDDは、一言でいうと「面倒くさい」。ケーブルで接続することはまだしも、内蔵HDDを交換するのが一苦労、取り外しと取り付けの往復でネジを計10箇所以上回すとなると、作業を躊躇してしまう。筆者の書斎には計6台のHDDケースがあるが、いずれも固定しているHDD専用のケースと成り果て、HDDを交換できることがウリのHDDケースとして用をなしていない。

そんなとき目についたのが、オウルテックの「3ステップケース ガチャポンパッ!」。シリーズ第3弾となる7月発売のモデルでは、従来のSATAに加えIDEに対応、古いHDDの有効活用も可能となった。黒とシルバーの2色のうち、無難そうな配色のシルバー(OWL-EGP35/CEU)を量販店で見かけたため、当コラムにて取り上げるべく購入した次第。

箱には"ドライバー不要"をアピールするイラストが

緑のアクセントからXBOXを連想するのは筆者だけ?

付属品一式。IDEケーブルやeSATA変換用PCIブラケットもある

「ポン」に落とし穴が

まず試したのは、リムーバブルケースとしての扱いやすさ。カバーを開け(ガチャ)、レバーを引いてHDDを交換(ポン)、そしてカバーを閉じれば(パッ!)の3ステップでHDDを換装できるのかどうかが、筆者にとって最大の関心事だからだ。

最初の「ガチャ」だが、ケース背面にあるReleaseレバーを右へスライドさせながら押し出せばOK。人差し指で軽く押す程度でよく、ムダに力む必要はない。ストッパーが外れるときの音もまさに「ガチャ」で、この点についてはまさにキャッチコピーどおりといえる。最後の「パッ!」も、HDDの換装を終えケースに戻すだけなので、こちらにも同意だ。

背面のパネル。左にはリリースレバー、右にはUSB 2.0ポートとeSATAポートが見える

しかし、途中の「ポン」には異議あり。HDDを固定する緑色をした2本のバーは、上方へ引き上げればパキッと外れるため、HDDを取り出すことは簡単だが、取り付けには多少のコツを要する。バー1本につき2つの計4つが用意されたネジに相当する突起を、側面にあるネジ穴に入るようHDDの置き位置を微調整しなければならないからだ。慣れてしまえばどうということはないが、ドライバーで固定する手間と大差ない、という辛口の評価が聞こえても不思議ではない。

この突起物をHDD側面の穴にあわせるのが、少し面倒

外部との接続方式を変更する場合は、さらなる困難が。本体の基盤には、CN5とCN6の2つのコネクタがあり、SATA HDDにつないだケーブルをCN5に差し込めばUSB 2.0、CN6に差し込めばeSATAとして動作する仕組み(工場出荷時点ではCN6に差し込まれている)だが、このCN5 / CN6に差し込むプラグがかなり"硬い"のだ。左右に揺らしながら引き抜こうとしてもダメ、かといって力任せに引き上げると基盤ごと破壊してしまいそうだし……いっそのことeSATA接続専用HDDケースとして天寿を全うさせるか、とも考えてしまった。数分間の格闘の末コネクタの引き抜きには成功したものの、もう2度とゴメンというのが正直な感想だ。

この赤いケーブルのコネクタがとても固く、抜くのは一苦労

取り外すとき、勢い余って指先を負傷しました

ところで、今回購入した3代目ガチャポンパッ! (OWL-EGP35/CEU)は、IDE HDDにも対応していることは冒頭で述べたとおり。こちらのコネクタもそれなりに固いので、頻繁にSATA / IDE HDDを交換する可能性がある場合は、それなりの覚悟が必要だ。また、IDE←→SATAコンバータとしての機能はなく、IDE HDD搭載時はeSATAポートは使えない点にも留意しておくべきだろう。

共振に注意すれば静粛性はバッチリ

外付けHDDを常用するユーザにとっての一大関心事が、ケースの冷却効率と静粛性。大容量化に比例し、HDDの熱対策も重要な昨今、寿命を延ばすためにも外付けHDDの熱対策は必須だ。熱対策には放熱効果に優れる素材が望ましく、ファンを備えているほうがベター。しかしファンは騒音発生源になりやすく、静かな環境を好むユーザには敬遠されがちだ。

ガチャポンパッ! の持つもう1つの特徴が、冷却効率のよさと振動の少なさ。アルミ成形のボディは見た目ヒンヤリ、触れてもヒンヤリ。側面に配置された8cmファンは、回転数が2,500rpm、動作音は30.2dbと、かなり静かなレベル。20分ほどかけて250GBのSATA HDD(Hitachi Deskstar T7K500 HDT725)に約30GBのデータを書き込んだが、ファンの反対側がかすかに生暖かくなる程度で、全体的にはヒンヤリした状態を維持できた。静粛性も上々、この薄さでこの音はかなり満足できるレベルといえる。

ケース側面を上から眺めたところ。赤いファンに黄緑の縁取りが気になるものの、静粛性は○

ケースの周囲には吸気用の穴がいくつも開いている

強いて言えば、付属の縦置き用スタンドが惜しい。ただアルミボディを載せるだけの構造で振動を伝えやすく、設置場所によってはブーンという共振音を招くことがあるからだ。スタンド下部に防振ゴムを置くなど、ユーザ側の一工夫でより快適に使えるはずなので、入手した暁には試してほしい。

○オウルテック
「3ステップケース ガチャポンパッ!」
機能 ★★
価格 ★★★
楽しさ
怪しさ ★★★
衝動買い ★★★★
TOTAL ★★★