温泉好きなら一度は訪れたいのが有馬温泉(兵庫県神戸市北区)。地下60キロから湧出するプレート直結温泉は世界的にも珍しいのだとか。鉄分と塩分を含む赤茶色の「金泉」と、炭酸やラドン泉を含む無色透明の「銀泉」がある。温泉街を歩いてきた。

  • 有馬温泉は日本三古湯にも名を連ねる名湯で豊臣秀吉が愛したことでも知られる

日帰り温泉の代表「金の湯」「銀の湯」

まずは日帰り温泉施設「金の湯」「銀の湯」(2館券 金の湯・銀の湯/850円)。金の湯では、日本一塩分が濃いことでも知られる「金泉」に入れる。金泉は、湧き出す際には無色透明だが、湯に包まれた鉄分が空気に触れることで赤茶色に濁るという。

  • 日帰り温泉施設「金の湯」

  • 入り口には無料の足湯も

  • その足湯で。赤茶色でとろりとした濁りが特徴の金泉

銀の湯では、銀泉とラジウム泉が楽しめる。太閤さん(豊臣秀吉)が入った岩風呂をイメージした浴室で、うたせ湯や蒸し風呂をイメージしたスチーム式サウナも完備。

  • 日帰り温泉施設「銀の湯」

最古の宿で半混浴の湯に挑戦

有馬温泉最古の宿といわれる「陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう)」でも日帰り入浴ができる(1,650円)。金泉が湧き出る源泉掛け流しの大浴場「金剛泉」は、男湯と女湯が背の低い柵と岩で区切られた半混浴・半露天式。この半混浴が可能なのも赤茶色に濁った金泉ならでは。肩まで浸かっていればお互いに裸は見えない。

  • 有馬温泉最古の宿といわれる「陶泉御所坊」(全14室)。始まりは1191年

  • 歴史とモダンさの両方を感じられる宿内

  • 有馬温泉を愛した文豪・谷崎潤一郎の作品『猫と庄造と二人のをんな』には宿が実名で登場している。小説に登場した部屋にも宿泊可能

  • 室内には谷崎関係の本や書も展示されている

  • 谷崎潤一郎が愛したという、神戸らしい異国情緒あふれる部屋

  • 金泉が湧き出る源泉掛け流しの大浴場「金剛泉」

  • 宿の裏で湧出した金泉「御所泉源」

温泉通をうならせる濃厚な湯

超濃厚な金泉に浸かれるのが、老舗旅館「上大坊(かみおおぼう)」(立ち寄り入浴1,000円)。お湯がとにかく濃いのが、見た目の湯の色や体の温まりぐあいではっきりとわかる。レトロな浴室で湯船も広くはないが、その雰囲気がまた味わい深い。

  • 老舗旅館「上大坊(かみおおぼう)」

「小宿」で温泉を味わうシンプルステイ

宿泊したのは「小宿 八多屋」。テレビもない部屋でシンプルに過ごすのも、温泉旅にぴったり。

  • 宿泊した「小宿 八多屋」。江戸時代末期に有馬温泉で見られた自炊滞在型の宿「小宿」を現代版にアレンジしたとか

  • お部屋もアメニティも最小限

  • 浴衣と草履で温泉気分が高まる

  • ルームキーもかわいい

  • 温泉で温まった体に必要なのはふかふかのお布団だけ! 心地よい眠りだった

藤井聡太の勝負メシ「神戸牛すき鍋膳」

必食の温泉グルメは老舗旅館「中の坊瑞苑」内に併設された和食レストラン「旬彩 猪名野(いなの)」の名物「神戸牛すき鍋膳」(3,520円)。将棋の第61期王位戦で藤井聡太棋聖(現在は五冠)の勝負メシにもなった。

  • 和食レストラン「旬彩 猪名野(いなの)」

  • 藤井聡太棋聖の勝負メシにもなった名物「神戸牛すき鍋膳」

驚きのなめらかさ! 日本一のジェラート

カフェ併設のジェラテリア「アリマジェラテリアスタジオーネ」では、「ジェラートワールドツアージャパン2019 横浜」で優勝した日本一のジェラートが味わえる。

  • カフェ併設のジェラテリア「アリマジェラテリアスタジオーネ」

店内奥の厨房で手作りされるジェラートには、六甲山麓の酪農家限定の濃厚な牛乳のみを使用。生の果実をそのままジェラートにした、鮮やかな色にフレッシュな味わいが特徴だ。ジェラートにとって最適な温度管理で、最高になめらかな質感!

  • ショーケースに並ぶ美しいジェラートたち

  • 「味の組み合わせ、五味の調和にこだわっています」「ジェラートは科学。数字で配合しています」と代表取締役の片山圭介さん

  • 「ジェラートワールドツアージャパン2019 横浜」で優勝! 日本一に

  • 「3FLAVOR(トリプル)」(590円)で、ジェラートワールドツアージャパン2019 横浜優勝の「塩マスカルポーネ きんかん香る甘酒仕立て」、人気NO.1「六甲プレミアムミルク」、ご当地「ありまサイダー ピンクグレープフルーツ」をチョイス

芸妓さん文化に触れるカフェ

芸妓cafe「一糸(いと)」は2015年、置屋をまとめる組合「有馬検番(ありまけんばん)」の1階をリニューアルして生まれたカフェ。現役の芸妓が常駐し、舞台での踊りを観覧できるほか、お座敷あそびなどを体験させてもらえる。普段なかなかお目にかかれない敷居の高い世界を気軽に楽しめる。

  • 芸妓cafe「一糸(いと)」

  • 店内に舞台があり芸妓の踊りを観覧できる

  • 「お抹茶と和菓子のセット」(数量限定/2,300円/踊り観覧席料・写真撮影料金含む)をはじめ、コーヒーや紅茶、お酒とおつまみなどがいただける

  • 太鼓や小鼓など和楽器の演奏体験も

  • 扇子の扱い方のレクチャーもしてもらった

  • 「お座敷あそび」を体験! リズムが難しい

  • 芸妓さんの身につけているものや料金など興味深い話が続々

メイクから着付けまで現役の有馬芸妓が行う「有馬芸妓変身体験」(3万3,000円)、夜は現役の有馬芸妓と過ごせる貸切プラン(完全予約制)もある。

歴史深い温泉街をそぞろ歩き

天神泉源と呼ばれる金泉の泉源が湧く神社「有馬天神社」は、観光客から撮影スポットとしても人気。98度の熱湯が吹き出し湯煙を上げる姿が見られる。

  • 御祭神は学問の神様として知られる菅原道真公。温泉街の厄除け神社として厚い信仰を受けている

  • 案内してくれたのは、有馬温泉最古の宿「陶泉御所坊」若女将でモロッコ出身の金井ラミアさん。19歳で日本に留学し、大学で出会った同宿の長男だったご主人と結婚したそう

  • 温泉で人々を病から救おうと行基上人が742年に建立した「温泉寺」

  • そぞろ歩きが楽しい温泉街

  • 名物「炭酸せんべい」は食べ歩きにもお土産にも

  • レトロでかわいい「ありまサイダー てっぽう水」

  • 有馬川の親水広場で散歩するのも気持ちがいい