突然ですが、妊娠しました
なぜか気持ち悪い。とにかく眠い。だるい。めまいがする。なんとか無理やり起き上がっても、ムカムカしてくる。いったいどうしちゃったの? と思っていたら、なんと! 妊娠していました。私事で恐縮ですが、現在、妊娠4カ月。30代後半の私は、いわゆる「マル高(高齢出産)」での初産になります。結婚して7年目、我が家にはコウノトリは来ないのかなとあきらめていたのでビックリ。夜明けとともに起き、お日さまの下で嫌というほど体を動かし、北海道の大地から収穫した野菜などをおなかいっぱい食べてぐっすり寝るという「ドタバタ」スローフード暮らしのおかげなのかもしれません。
"ツワモノかあさん"ぞろいだぁ!
この「おめでた」のニュース、特におおっぴらにしたわけではないのにもかかわらず、口コミで情報が伝わるのが田舎のすごいところ。みなさん「待ってましたぁ! 」とばかりにいろいろな体験談を教えてくれます。「私はね、つわり中も草取りしたのよ」「私なんか、お産直前まで、豆を積んでた(=豆の収穫作業のひとつ)っけ」「私のばあちゃんのときはね、子ども4人抱えて、背中に1人おんぶして畑仕事しながら臨月を迎えたのよ」「○○さんは、40過ぎて6人目産んでたわよ。全然心配いらないから」……ムムム、なんとたくましい。みなさんの猛者(もさ)ぶりに耳を傾けながら、すでに具合悪くなっている私。こんな駄目な妊婦で、ゴメンナサイ。
「少子化」は関係ありません!?
日本の「農村」といえば、「過疎化」「嫁不足」というマイナスイメージがあるけれど、私の住んでいるこの地域は違います。ほとんどの農家に後継者がいて、その後継者に嫁いだ女性も20代半ばで結婚し、子どもを産んでいます。新婚ホヤホヤのころは、親と別居するケースもありますが、基本的には2世代、3世代同居は当たり前、場合によっては4世代同居もあり、世間で言われている「少子化」とは逆行している感じがします。
そのうえ、私が出会う同世代のお嫁さんたちはみな驚くほど美しい! メイクもばっちりきまっていて、体つきもスマート。流行の服も着こなしてしまう。どうみても子どもが3人も4人もいるとは思えない。家事も畑仕事もやりながら、どうしてこの美しさを保つことができるのか不思議でなりません。そういうお嫁さんの1人から「4人も子供を産んだから、そろそろ(出産は)いいかな、って思ってるのに、周りから『次はいつ? 』って聞かれちゃうのよねぇ。ほんと、どんだけ産めばいいのさ」と明るい笑顔で話されると、「こんなにジタバタしていちゃいけないんだなぁ」と気持ちが楽になりました。
あくまで「自然」の流れ
都会で働いていれば、「仕事はどうする? 」「出産休暇・育児休暇は取るの? 」「保育園はどこに通わせる? 」「妊娠したら水道水を飲んでは駄目なの? 」「大気汚染の母体に与える影響が心配! 」などと、妊娠する前はしていなかった心配事がたくさん頭をよぎります。
でも、農村では妊娠・出産を「自然現象のひとつ」として捉えているんです。春になれば雪が溶け、大地から草が芽吹き、花を咲かせて実を結ぶ……。その流れの中のひとつとして、男と女がいれば愛し合って赤ん坊が生まれ、人手が足りなければお年寄りが孫の面倒をみる。ですから、妊娠が発覚したときには高齢出産ということでかなり気負っていた私ですが、このところようやく自然の流れに身を任せる覚悟ができてきました。きっとあと何年か経てば、初めて妊娠したというお嫁さんをつかまえて、「私のときはこうだったわよ!!」と嬉しげに話す"肝っ玉かあさん"になっているんでしょうね。あー、そうなっていたらいいな(まだ先は長い……)。
トマトと夏野菜のやさしいスープ
さて、今回はつわりがひどい私でも食べることができたさっぱり味のスープをご紹介。この料理は、帯広市内にある「ホテルノースランド帯広」の総料理長だった西野英利シェフから教えていただいた料理をベースにしています。これから暑くなる季節、さっぱりとしていながら、栄養満点のスープを作ってみてはいかがでしょうか?
<材料>(4人分)トマト 2個、タマネギ 1個、キュウリ 1本、アスパラガス(細めがよい) 5本、スイートコーン(缶詰のホールコーンでも可) 2分の1本、オリーブオイル 適量、スープ(コンソメスープなど) 1000cc、自然塩 適量、粉チーズ 適量
<作り方>- トマトは湯むきしてざく切り。タマネギは粗くみじん切りに。キュウリは8mm角くらいのさいの目に切る。アスパラガスは根元の「はかま」をとって斜めに薄切り。スイートコーンはゆで、粒を外してばらばらにする。
- 鍋にオリーブオイルを熱し、タマネギをいれて炒め、色が変わったらアスパラガス、キュウリを入れてさらに炒める。最後にトマトとスイートコーンを入れて、ざっくりと混ぜる。
- スープを注ぎ、アクをとりながら弱火で15分ほど煮込んで野菜の酸味と甘みを出す。自然塩を入れて味を調え、仕上げに好みで粉チーズをふる。
スープに使用する野菜は、ここに書いたもの以外にもナスやズッキーニ、カブなどでも構いません。入れる野菜によって甘みや酸味などが微妙に変化するので、いろいろ試してみるのもいいかと思います。野菜の分量はおおまかで結構ですが、野菜の旨みを引き出すために、自然塩やオリーブオイルは、こだわって良いものを使ってみましょう。また、スープは市販の顆粒コンソメを溶かして使ってもいいのですが、できれば野菜の皮や芯を使った「野菜のスープ」を使ってみてください。「野菜のスープ」を作り方は次の通り。タマネギやニンジン、ジャガイモの皮、スイートコーンやキャベツの芯などをよく洗って鍋に入れ、適量の水でひと煮立ちさせます。野菜の色や旨みが染み出してきたら、ザルでこしてできあがり。この「野菜のスープ」を覚えれば、"くず"だと思っていた野菜の皮も"宝物"に見えてきますよ!
もりたまめこ(農家フードコーディネーター)