阪急電鉄は昨年秋以降、いろいろと新しい動きがありました。まず11月28日、新型車両1000系がデビュー。新時代の低騒音、乗り心地、省エネルギーを追求したモデルだそうで、最初に神戸線に導入され、年末からは宝塚線でも走り始めています。これについてはまた改めて紹介したいと思います。
そして12月21日、新駅「西山天王山」が開業。同時に三宮駅が「神戸三宮駅」になるなど、全4駅で駅名の変更もありました。今回はこの西山天王山駅について、開業当日の様子をレポートしたいと思います。
新駅開業を祝い、空には虹が!
阪急京都線の電車に乗り、高槻市駅で乗り換え。大山崎駅と長岡天神駅の中間あたりに、この西山天王山駅があります。ホームに降りると、当然のことながら床も壁も真新しく、なんとなくうれしい気持ちになってしまいます。鉄道ファンも多く、皆さん大きなカメラを手に、あちらこちらと写真を撮っておられます。まあ、大きなイベントですもんね、新しい駅ができるなんていうのは。
北側の出口はホームを降りてすぐの同じ階にありますが、東側の出口はエスカレーターを下り、1階下に改札口があります。とりあえず北出口から外へ出ると、冷たく細かい雨が顔に当たりました。新駅の開業当日は、日のさすときもあるものの、曇天でときおり雨の混じる空模様。でも、ふと見上げた北の空に、大きな虹がかかりました。これは案外、絶好の「取材日和」ではありませんか。
高架の線路をくぐり、駅の南側へ出ます。頭上を横切る高速道路へ向かって、四角い柱のようなエレベーターの建物がそびえています。ご存じの通り、西山天王山駅の真上の高速道路上に高速バスストップがあり、駅と直結しているのです。関東方面へ、あるいは天橋立など日本海側への高速バスとの乗継ぎ駅として、「バスと鉄道のコラボレーション」を狙った、全国初の新しい試みなのだそうです。
高速バスストップに上がってみると、駅の様子をよく見渡せます。このあたりは明智光秀と羽柴秀吉が戦ったことで知られ、「天下分け目の天王山」という言葉の語源となった天王山の登山口にも近く、駅付近からも山々の様子が見えます。
「長かったです。この駅ができるまで」
開業当日は、11時半から記念セレモニーがあるというので、南口のバスターミナル前にしつらえられたくす玉の前でしばらく待機していました。知事さん、市長さん、議員さん、そして宝塚歌劇のスターのお姉さん……、VIPの方々が次々と大型バスでやって来ます。
会場は高速道路の真下で、なかなか日が当たらず、「寒いなあ」と思いながらセレモニーが始まるのを待っていると、隣に立っていたおじさんに話しかけられました。「いやー、長かったです、この駅ができるまで。計画出てから40年ですよ。地元の悲願でした」。新しい駅ができるというのは、やっぱりたいへんなことなのですね。
セレモニーでは、VIPの方々が左右に分かれて紅白の紐を引っ張り、無事にくす玉が割られました。筆者はその様子を見届け、駅から引き上げることにしました。
帰りのホームで電車を待っていると、向かいのホームに先ほどのVIPの方々が続々と上がって来はりました。帰りだけは電車に乗るのでしょうか? 皆さんきちっとしたスーツ姿で、それだけにかなり寒そうでした。