「ちょっと待って。大学受験にどうしてそこまで習い事や学校活動が必要なんだ?」

富裕層たちの苛烈な受験を描いた『SKYキャッスル~上流階級の妻たち』を見ていて、ふと疑問に思ってしまいました。どう見ても、『SKYキャッスル』の子どもたちは勉強以外のことで忙しそうなのです。成績はすでにいいから? じゃあもう余裕じゃない? ……と思ったら、最近の韓国の受験の実情は変わっていたのです。

一昔前のニュースでは、韓国のセンター試験にあたる大学修能試験の日に遅刻しそうな子を白バイが送ったり、朝の混雑緩和のために公務員は通勤時間をずらしたりという様子が流れていたじゃないですか。あれ、もう古かった。

  • イラスト/みつほし

現在では、大学修能試験で進学する学生は30%ほど。ほとんどの学生は、先生からの推薦書、読書記録やさまざまな受賞記録などが反映される推薦で大学が決まるのです。

そうなると、勉強以外の才能がある子に希望が増える一面もありますが、一流大学を目指す子からしたら大変なこと。みーんな勉強はできるわけで、学校での評価が低かったら合格できないっていうことになる。ドラマで「昔は成績さえよければソウル大に行けたのに」というセリフがあるのはそういうことなんですね。

ところで“SKY”は韓国のトップ3であるソウル大、高麗(コリョ)大、延世(ヨンセ)大の頭文字をとったもの。そしてその3校はもちろん、韓国には幼稚園や小学校からのエスカレーター式の一流学校というのはないようです。さらにいうと、韓国には高校受験もない。こちらも中学のときの内申などをもとに通える範囲の高校に振り分けられるそうです。一部、芸術関係や大学受験に特化した進学校はあるようですが、そこに入るのはこれまた難しい。

なので、教育熱心なご両親はそこに一点集中して熱くなるわけです。一流大学を目指すご家庭の子が、幼いころから勉強はもちろん、内申がよくなるような習い事やボランティアなどにも忙しいのはそういう理由。そして大学受験前には入試コンサルティングの登場です。本当にいるんですね、そういう職業の人たちが。

ちなみに財閥ともなると、幼い頃から海外で教育を受ける人も多いようです。ドラマでも、アメリカやヨーロッパあたりから帰ってくるお坊ちゃん&お嬢ちゃんをよく見ますよね。あれは苛烈な受験回避の一面もあるんじゃないでしょうか。

『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』のように、普通に育てようと思っていたお母さんが周りに影響されて受験に目覚めるということもあるようです。でも、勉強だけでSKYクラスの大学に合格しようとしても塾での競争がまず激しい。内申は高校3年間の結果なので、高校入学のときから意識してないと無理。韓国ではビリギャルは生まれないっていうことですか……。一発逆転、どこですればいいの。

で、苛烈さを極めると不正が横行する。『未成年裁判』で描かれた試験問題の流出は、実際の事件をヒントにしているそうです。大統領の側近が子どもの不正入学で実刑を受けたというニュースも話題になりましたね。

ということもあってか、近い将来、韓国ではまた大学修能試験の比率が高い受験制度に変わるようです。社会の要望に合わせて制度が変わる柔軟さと、それに振り回される子どもたちと。新しい制度で問題が起きれば、それもまたドラマで見ることができるのかもしれません。

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