第2回の「ビジネスパーソンのための神社選び」では、八百万の神さまの中には「願望実現」系を応援してくださる神さまと、「引き寄せ」系を応援してくださる神さまがいらっしゃるというお話をしましたが、今回はそこから一歩踏み込み、神さまと願いごととの相性について解説したいと思います。

  • 「神さま」と「願いごと」には相性がある

前回は、特にビジネスに効果のある住吉大社への参拝方法について説明しましたが、住吉大社は「願望実現」には適していますが、苦しみから逃れたいという「引き寄せ」系に適しているのは、出雲大社です。

住吉さんと出雲の神様はちょうど対構造になっています。出雲の神さまは完全なる「上位構造」へのアプローチであり、私たちが下界で困っている悩みを、出雲神と関係性を結ぶことで何でも叶えてくださるという方向性です。ところが住吉さんは、欲望の権化のような「お金」や「出世」、「商売繁盛」の現世ご利益ウエルカムですよと謳いながら、その本質は「神聖なるものの気づき」と「目覚め」によってすべてが叶い、実現していくという方向性です。そして、そうした悩みや願望を通り越してすべてに絶望し、「もう無理」と泣いている状態のときは、「出雲・伊勢の神さま」の出番です。

「自信」と「確信」の状態が最適な神さまを決める

願いごとには性質があり、それによっても合う神さまは変わってきます。その性質を決めるうえで鍵となるのは、「自信」と「確信」です。自信というのは、「我」の状態の評価。状況も運も悪く、トラブル続きで困っているけれど、私には何とか解決する自信があると思っている状態です。一方の確信というのは、「我」の外、つまり「世界」に対しての評価。言い換えれば、「そうなるよ」という予感のようなものがある状態です。

具体的には「我」が○で自信はあるけど、「世界」が×という人には、出雲大社が向いています。あなたを取り巻く世界がよい状態になるように、縁結びをしてくれるからです。 「我」が×で「世界」が○という人には、住吉大社が向いています。世にある引き寄せ本には「まず自分を高めて自信をつけましょう」と書かれていることが多いようですが、それができないから悩んでいるというのは、「我」が×の状態です。しかし、「世界」が○だと思えるならば、自分がヘタレでも、何とかなってしまうものなのです。

「我」も「世界」も○、あるいは「我」も「世界」も×という人には、お伊勢さんが向いています。両者は真逆ですが、前者は、お伊勢さんの「陽」の引き寄せバージョンです。自信に満ち溢れ、何もかもがうまく行っている状態ですから、いま与えられている豊かさへの感謝をお伝えするために、伊勢神宮にお参りをしましょう。

自信も確信も失っている「か弱い女子系」である後者の場合は、お伊勢さんの「陰」の引き寄せバージョンでうまくいきます。すべてをお任せするという「素直さ」を持つことがポイントです。伊勢においては、あなたがどんな状態でも、そして世界がどんな状態でも、引き寄せの法則が発動するのです。

伊勢の神様はいちばんダメな人を救ってくださるので、叶えたいことを求めすぎてはいけません。伊勢神宮の内宮に鎮座していらっしゃいますのは、八百万の神の頂点に君臨している「天照大神(あまてらすおおみかみ)」さまです。最高神なので、何も頼まずともすべてをご存知です。ただ「神恩感謝」の気持ちをお伝えするだけで、すべてを察して救いの手を差し伸べてくださるのです。

ただし、引き寄せの法則には重要なポイントがあります。それは、被害者意識を持ってはならないということです。「どうして私だけがこんな目に遭うの?」と不平不満で心がいっぱいになっている人を、誰が助けたいと思うでしょうか。逆にいえば、こうした思いをまったく持たない「よい人間」がいたら、神さまや世間が放っておくはずはありません。この点に注意しながら、自分の願いごとの「我」と「世界」の状況に合った神社へお参りに行きましょう。