運転中、頻繁にカーナビの画面を確認しなければ不安になる。道を覚えるのが苦手な人には、共感してもらえるのではないだろうか。でも、できれば前を見て、クルマの周囲だけを確認しながら運転に集中したい。そんな紙ドライバーが期待を込めて試してみたのがパイオニアの「NP1」という商品だ。画面なし、音声のみで案内してくれるらしいが……。

  • パイオニアの「NP1」

    パイオニアの「NP1」を試してみた

声だけの案内で大丈夫?

NP1の本体はとても小さい。フロントガラスの内側に両面テープで取り付けて、配線をピラーに沿わせてシガーソケットに接続すれば使える。料金プランはいくつかあるが、「ベーシックプラン」は通信+サービス利用料1年分が付いて支払金額が6万5,780円(月額2,800円)から。2年目以降は年間1万5,840円となる。

今回はパイオニアの東京本社(東京都文京区本駒込)から東京ドーム周辺(東京都文京区後楽)、飛鳥山公園(東京都北区王子)あたりまで、短い距離ではあるがNP1の案内で運転してみた。

  • パイオニアの「NP1」広報車

    パイオニア広報車のトヨタ自動車「アルファード」で「NP1」を試した

  • パイオニアの「NP1」

    ルームミラーの右側に付いているのが「NP1」。本体には前後を映すカメラが付いていて、ドライブレコーダーとしての機能も果たす

NP1は話しかけて使う。例えば「NP1、東京ドーム近くのガソリンスタンドを探して」といった具合だ。そうすると「考え中です」との答えが返ってきて、数秒後には東京ドームに近い3件のガソリンスタンドを目的地として提案してくれた。行きたいスタンドを声で指定すれば、目的地設定は完了。音声でのナビが始まる。「東京ドーム」「近くの」「ガソリンスタンド」という風に、いくつも要素が入ったオーダーでも難なく応じてくれるとは、なかなか賢い。

目的地については「おいしいラーメン屋」などでも検索可能。グルメサイト「Retty」と提携しているそうで、「おいしい○○」で探せば評価の高い店を見繕ってくれる。おなかが減っているので味は二の次という場合は「近くの○○」で探せばいい。

音声での案内は「800m先、右です」「3つ目の信号、右です」「次の信号、右です」といった感じ。距離のみで指示されたり、「右折して○○通りに入って」などと地名で指示されたりすると右左折するポイントがつかみづらいのだが、信号単位で曲がるタイミングを教えてくれるのはわかりやすいと感じた。案内の声にはいくつかの種類があって、声優の悠木碧さんの声も選べる。

道中では「文京区にある歴史的な名所、六義園の近くです」など、周辺の観光情報も教えてくれる。知らない土地へドライブに行った際などに、自分でも思いもよらなかった観光地を教えてくれれば嬉しいだろう。この機能はオフにすることも可能だ。

  • パイオニアの「NP1」で撮影した写真

    運転中に「NP1、写真を撮って」とお願いすれば、撮影しておいてくれたりもする

そんなわけで、目的地には問題なくたどり着けたのだが、本当に画面を一度も見なかったのかというと、実は何度かスマホの画面を見てしまった。

NP1はスマホアプリ「My NP1」と一緒に運用すると便利だ。スマホに地図(要するにナビ画面)を表示させられるなど、いろいろな機能が使える。運転中につい見てしまったのは、このナビ画面だ。念のためにいっておくと、スマホを手に持って見たのではなく、エアコンの吹き出し口あたりに固定されていたので、つい目が行ってしまった。別に見なくても目的地には行けたのだが、画面を見ることは、もう癖になってしまっているらしい。もちろんNP1はスマホなしで運用可能だが、機能を使い切りたいならスマホとの連携は必須だろう。

  • パイオニア「NP1」のスマホアプリ

    「NP1」をスマホと連携させればいろいろな機能が使える。例えば「マイカーウォッチ」(12月22日に実装予定、画面は開発中のもの)は、駐車中に衝撃を感知すると「NP1」で映像を録画できる機能だが、スマホと連携していれば通知が届くし、「My NP1」から車室内や車外前方のカメラ映像、位置情報、速度情報など、車両が置かれている状況をリアルタイムに確認することができる。スマホ操作でNP1本体から警告メッセージを発することも可能だ

いかんせん短時間・近距離で試しただけなので、NP1だけで問題なくカーライフを送れるかどうか判断はつかないのだが、画面確認なしで運転するのが楽だったのは確かだ。ドライバーがきょろきょろしなくて済めば、きっと同乗者も安心していられるはず。古いクルマなどでナビの画面がインテリアになじまない場合にも、NP1が最適な選択肢になるかもしれない。