連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。
【相談内容】
ずっと独身でしたが、来年結婚することになりました。今住んでいる中古マンションは自分でローンを組んで購入したもので、結婚後は彼が千葉の郊外に住んでいるので、このマンションをどうするのか、会社を辞めて転職をしなければいけないのかなど問題がでてきます。そのため、結婚後1年くらいは別居婚にしようと話しているところです。今まで家計のやりくりなどもしたことがなかったので、専業主婦になれるかどうかも心配です。家計のやりくりについて、アドバイスをお願いします。
【プロからの回答です】
結婚のご予定ということでおめでとうございます。また、同時にいろいろと考えなければならないことができて大変ですね。これを機に明るい未来に向けて一つ一つ解決をしていきましょう。
(※詳細は以下をご覧ください)
マンションの時価を確認
今住んでいるマンションを売却希望とのことですが、まだローンが1,300万円残っています。いくらで購入されたのかわかりませんが、中古マンションということで築年数も経っていますので、売却してもローンを返したらほとんど残らないかもしれません。否、物件によってはマイナスになってしまうかも。マンション売却については、どこの不動産会社でも相談にのってくれますので、現在のマンションの時価を調べてもらってください。
結婚後しばらくは別居婚との話ですので、今すぐ売却ということにはならないのであれば、賃貸を考えてみるのはいかがでしょうか? 賃料は、今払っているローンの金額くらいに設定できれば、持ち出しもなく最終的には自分の財産になります。結婚をしてローンを支払っていくのは、大変なのでマンションを売却するか、賃貸に出すのか悩むところだと思います。まずは、お近くの不動産会社でマンションの時価そして賃料の相場を聞いて、また結婚する相手の方の意見も参考にして考えてください。
共働き夫婦の家計管理
共働き夫婦の場合、お財布をどうするのかが重要な問題。共働きには、お財布が2つあります。何かものを買うときに、なるべく自分のお財布を使いたくないので、どちらのお財布を使うかで大バトルに。ここは結婚前に話し合いが必要です。オススメは、共通の財布型。夫婦で予め決まった額を毎月だして共通の財布を作り、そこから生活費をやりくりします。さらに貯金に関しても、夫婦別々に貯金をしてしまうといくらあるかわかりませんし、お互いに相手が貯金してくれているからと安心して無駄遣いをしてしまう可能性もあります。最終的に夫婦2人とも貯金が一銭もなかったということにもなりかねません。貯金は、将来の大きな支出や老後に備えて、お互いにオープンにして共通の貯金口座を作る必要があります。
夫婦で上手に家計を管理するポイント
上記の家計管理を踏まえて夫婦で上手に家計を管理するポイントを記載しますので、今後の参考にしてください。
(1)夫婦で家族の夢と目標を話し合う
子どものことやマイホームの取得など、どんな暮らし方をしたいのか、将来どんな夢を実現したいかなどを時期や資金について、夫婦でしっかりと話し合い、ライフプランとマネープランを立てます。
(2)夫婦で自分のお金を開示する
夫と妻の両方がお互いの給与明細を見せ合い、家計の収入を把握し、現在の貯蓄額についても開示をします。
(3)家計の予算を決める
現在の家計収入や貯蓄額から今年はどのくらいの貯蓄をするのか、何にいくら使うのか予算配分を決めます。
(4)家計の管理方法を決める
家計管理と費用分担方法は、2人の1番やりやすい方法を選び、夫が管理するお金、妻が管理するお金を決め、役割分担を明確にします。
(5)2人で定期的に家計をチェック
支出にムダはないか、計画的に貯蓄ができているかなど、夫婦が一緒に定期的にチェックをします。
家計のやりくり
今までは自分一人なので余裕をもって家計のやりくりができていたかもしれませんが、結婚後は、自分のことだけでなく相手のこともあり、自分の思い通りにお金を使えるわけではありません。また、転職をした場合は、お考えの通り一般的には賃金が下がるのが普通です。そこできちんと計画を立てることが必要となります。収入と支出のバランス、そして将来のための貯金です。まずは、お互いの収入をオープンにして、その収入から何割かを貯金します。いくら貯金をするかは話し合いですが、少なくてもお子さまがいない間は、3割は確保してほしい。また支出ですが、現在独身ということもあり食費が高いので、今後はこれも抑えてください。今からなるべく外食は控えて、料理の勉強がてら自炊をするのもいいかもしれません。
これからは一人ではなく、二人で考えて
結婚後は、欲しいものがなかなか買えないかもしれません。旅行も何度も無理かもしれません。また、自分で稼いだものは自分のものという考えも変えていく必要があります。2人の収入の高低はあるかもしれませんが、2人で働いて、2人で話し合って家計をやりくりしていくことが大切です。自分の欲しいものを買うために、それぞれに一定額のお小遣いを決めておいといいでしょう。そのお小遣いからは何を買ってもいいことにして、自由に使います。自分のへそくりを作ることも可能かもしれません。いろいろ話し合うことが2人の絆を強めていくでしょう。1+1=2ではなく、1+1=4を目指して明るい未来を築いてください。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
<著者プロフィール>
(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵
大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。