連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
長女が今年の4月から小学校1年生になりました。私は会社勤めをしており、昨年まで長女は保育園に通っていましたが、小学1年生は帰ってくるのが早いので、長女は放課後、民間の学童や習い事などに通わせています。公立なので小学生になると学費がかからないと聞いていたのですが、民間の学童や習い事など放課後の予定を埋めていたら、逆に保育園のときより学費がかかるようになってしまいました。このまま習い事等を続けていたら、子どもの学費が貯められるかどうかちょっと心配です。どのようにしていったらいいのか、アドバイスお願いします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • お子様が小さいため、将来どんな進路に進まれるのかはまだわからないと思いますが、高校3年生までに大学にかかる費用の半分程度(200~300万円)を目標に貯めていくようにしましょう。学費の準備でよく利用されているのが「こども(学資)保険」です。親が途中で亡くなった場合、その後の保険料の払い込みが免除となるため、万が一の時の保障にもなります。ただ元本割れするものもあり、また金利の状況によっては必ずしも有利になるとはいえません。千葉様の場合は、ご主人が1000万円の定期死亡保険に加入されているので、積立をメインに考えていけばよいでしょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


習い事にかかるお金、どうする?

上のお子様が公立の小学校に入学し、保育園代がかからなくなったものの、放課後の時間を埋めるための学童や習い事で保育園時代よりも教育費が月1万9千円も多くかかるようになってしまったとのこと。確かに月7万円の教育費は、家計の中で住宅費に次ぐ大きな支出となっていますね。

小学校低学年のうちは比較的お金を貯めやすい時期ではありますが、奥様は現在、時短勤務で10:00~16:00まで働かれており、お子様も小さいため、放課後の学童や習い事にお金がかかってしまうのはある程度仕方ないことだとは思います。ただ習い事に関しては、お子様が本当にやりたがっていることなのかどうかをしっかり見極める必要があるでしょう。時間を埋めるためだけの習い事では、お子様の負担になるだけでなく、お金の無駄にもなってしまいます。

高校卒業までは生活費の中でやりくりを!

では、これからどれくらい教育費がかかるのか確認しておきましょう。

下の表は、文部科学省が2年に1度行っている「子どもの学習費調査(平成24年度)」の結果です。学校教育費は公立か私立かによって金額が大きく変わりますし、塾や習い事など学校外活動費については、各家庭によってかけ方がかなり違うとは思いますが、今後の教育費の目安にはなります。

さらに大学4年間にかかる費用は、学費だけで国立大学約250万円、私立文系約420万円、私立理系約545万円となっています。それ以外に、通学するための交通費や教科書代なども必要となります。(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令、「平成25年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果」文部科学省)

千葉様のご家庭では、現在お子様2人分の教育費で年間84万円(毎月7万円)を毎月の生活費から出されていますから、公立であれば、高校を卒業するまでは生活費の中でやりくりしていけそうです。ただ私立高校を選ぶ場合には、公立高校が3年間で約116万円なのに対し、約2.5倍の290万円程度の学費がかかるため、ボーナスからの支払いや貯蓄を切り崩す必要がでるかもしれません。

大学入試の際の受験料や併願校への納付金なども大きな負担になります。また最近では、推薦入試やAO入試などで大学が決まる学生も多く、一般入試と比べて早い時期に入学金や授業料などを払い込む必要がある場合もあります。

学費は時間をかけてコツコツと積み立てていく

お子様が小さいため、将来どんな進路に進まれるのかはまだわからないと思いますが、高校3年生までに大学にかかる費用の半分程度(200~300万円)を目標に貯めていくようにしましょう。

では、具体的にどうすればいいでしょうか。

学費の準備でよく利用されているのが「こども(学資)保険」です。親が途中で亡くなった場合、その後の保険料の払い込みが免除となるため、万が一の時の保障にもなります。ただ元本割れするものもあり、また金利の状況によっては必ずしも有利になるとはいえません。千葉様の場合は、ご主人が1000万円の定期死亡保険に加入されているので、積立をメインに考えていけばよいでしょう。

現在の家計の中で教育費が多めとはいえ、その他はしっかりやりくりをされていて、月間の収支は約5万円の黒字になっていますから、大学のための費用もなんとか捻出できそうです。高校3年生になるまでに、上のお子様は11年、下のお子様は15年あります。今から仮に1万円ずつ(年間12万円)積み立てた場合、11年間で132万円、15年間で180万円貯まることになります。毎月の積立金額を1万5千円(年間18万円)にできれば、11年間で198万円、15年間で270万円と目標に近づきます。お子様が大きくなって学童が必要なくなったら、毎月の費用2万2千円も上乗せして積み立てるようにしましょう。すこしでも早く始め、時間をかけてコツコツと積み立てていくことで、無理なく確実にお金を貯めることができます。

ただ、1つの口座にお金をまとめて入れておくと、別のことに使ってしまいがちなので、2人のお子様それぞれの口座を開いて、お給料をもらったらすぐにその口座にお金を入れるようにしましょう。残ったものを貯蓄にまわすのでは、なかなかお金は貯まりません。ポイントは「先取り」で貯めていくことです。ある程度まとまった金額になったら、普通預金よりも金利が高く、簡単にはお金を下ろせない定期預金にすることをおすすめします。口座を分けて管理することで、どれくらい学費が貯められているのかが見えるため、不安も減ると思います。

また現在普通預金に400万円ありますが、教育費の不足や物価上昇に備え、特に大きな買い物のご予定がなければ、緊急資金として生活費の半年分は残したうえで、定期預金よりも金利が高い個人向け国債変動10年などを検討してもいいでしょう。元本保証で、半年ごとに金利が見直されるため、金利が上昇する時には受け取れる利子は増えることになります。

学費とともに老後資金もしっかり準備しよう

上のお子様が大学生になる12年後から下のお子様が大学を卒業されるまでの8年間は教育費がピークとなります。下のお子様が大学4年生になると、正太郎さんは60歳になります。定年後も希望すれば65歳まで働けるようになるとはいえ、毎月の収入は現役時代よりも大きく減るため、学費と同時に老後資金についても早めに準備するよう心がけてください。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 白子里美

大学卒業後、大手総合商社に勤務。退職後、FP資格を取得。現在webにてコラムの執筆の他、教育費や生命保険、老後資金などに関するセミナーなども行っている。(株)プラチナ・コンシェルジュ所属