連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
2014年から消費税が上がると聞き、消費税が上がる前に車を買い替えるかどうか悩んでいます。今乗っている車は父から譲り受けたもので、もう11万キロ走っているので、次回の車検を通すかどうか悩んでいます。どうせなら2014年3月までに車を買い替えようかと思っていますが、まだ車の購入資金が貯まっていません。車の買い替え時期についてのアドバイスをお願いします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 今の時期、消費税が上がる前に車を買うべきか悩まれている方は、多いのではないでしょうか? 3%と聞くとわずかな率と思われる方もいるかもしれませんが、高額商品であれば大変な3%です。車は、近年制度がどんどん変わっています。エコカー補助金も再び補正予算で実施する可能性がないとは言えません。実は昨年から消費税増税前の「駆け込み需要」を当て込んで新車購入時の値引きが悪くなっているのです。消費税アップだけに目を奪われるのではなく、トータルによく考えることが必要です。

(※詳細は以下をご覧ください)


自動車取得税について

車を買う時には、自動車取得税がかかります。これは現在取得価格の5%の税率ですが、2014年度の税制改正で2014年4月1日以降は、3%に引き下げられることになりました。

消費税が3%アップしても、自動車取得税の減税で実際の負担は1%ということになります。

しかし、実はこの自動車取得税はすでにエコカー減税として、エコカー対象車には75%減税しているのです。さらに2014年4月1日からは80%とさらに引き下げられます。また、消費税が10%になった場合には廃止と言われています。自動車取得税に関しては、後になるほどお得ということでしょう。

マイカーローンは、金利が大変

現金が足りない場合には、マイカーローンを利用するのが普通でしょう。よくあるのが販売会社と提携している会社のローンを利用する方法です。例えば、A自動車販売会社の車を購入した場合、Aオートファイナンス会社のローンと組むというものです。銀行のマイカーローンとの大きな違いは、申し込みが簡単であり、金利が低いということ。

豊嶋様の場合、240万円の車を希望ですが、マイカーローンを組む場合、なるべく金利負担を減らしたいことから貯金で不足する90万円を組むことになるかと思います。

この月々の負担額であれば、今の毎月の残高から考えればそれほど負担なく返せるかと思います。しかし、いくら銀行のローンと比べて低い金利といっても、10万円近い利息を払わなければいけません。ローンを組むのは、よく考えてください。

ローンを組むより貯金をして1年後に購入を

消費税増税前に車を買えば消費税アップ分72,000円(240万円×3%)安くなります。

また反対に現金がないためローンを組むことになり、ローン利息として91,000円必要です。金額をみるとローンの場合の方が、約2万円余分に必要となります。

消費税アップ分よりもローンの利息の方が高いのです。また今後自動車取得税は廃止になり、さらにエコカー補助金等様々な施策が行われると思われます。ただし、今回の購入に関しては、自動車取得税はすでのエコカー減税で低くなっていますので、それほど金額に影響はありません。

そこでここは目先の消費税増税に惑わされないで、貯金に精をだしてはいかがでしょうか? 今から、少なくとも100万円は貯めなければいけません。現在月々2万円貯金されていますが、月間収支から月35,000円は貯金可能かと思います。また、食費は外食中心のためでしょうか月5万円もかっていますが、ここは1年間倹約を心がけて45,000円にして下さい。車を買うためと心に決めれば自炊も可能でしょう。そこで、浮いた5,000円を貯金に回します。すると1年後には

これにボーナスを足して約100万円になるかと思います。これで今から1年後の2014年2月か3月に現金で購入が可能に。自動車会社は3月決算のところが多く、少しでも売り上げを伸ばすためにこの時期は購入価格の値引きが大きくなります。あわてて、今買えば、駆け込み需要が多いので値引きはわずかばかり。それどころか消費税5%に合わせるため、先にお金だけ払って実際の納入は半年後と言うことも。

このように、わざわざローンを組んで今車を買うよりも、1年間貯金に精をだして、現金で払う方が、ローンの利息や自動車取得税の軽減、さらには大幅な値引きと結局は得をする可能性が高いと思います。また、現在乗っている車の車検費用が必要にはなりますが、購入時に下取りしてもらえばその分も上乗せされて安くなると思われます、もし気になるようであれば、一度自動車販売会社に出かけて、マイカーローンを組んだ場合の利息や、車を下取りに出した場合、車検の前と後ではどのくらい査定が異なるのか聞いてみるのもいいでしょう。とにかく今は消費税増税に惑わされないことが肝要です。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵

大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。