連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
現在社会人1年目です。現在は社員寮に住んでいますが、2年以内に寮をでてアパートで一人暮らしをしたいと考えています。家賃や家具家電など、一人暮らしに必要な額が分からず、それに向けてしっかりと貯金ができるか不安があります。一人暮らしをするためには今後の家計管理はどうしていったらいいでしょうか?

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 住居費も光熱費も食費も安い寮から出て一人暮らしをするということで、支出が増加しても生活していけるか気になりますね。でも1つ1つをきちんと見直していけば心配していることも解決していきます。まずは、支出の項目をチェックしていきましょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


支出について

レジャー費が高いことを気にされていますが、社会人になりたてで、同僚との付き合いや、学生時代の友人との交流など、今は出費がかさむ時期だと思います。その分はボーナスを多めに貯めることでフォローしていきましょう。そうはいっても、ボーナスは会社の業績によって金額も変わってくるので、毎月の支出に関しては月々の収入からやりくりするのが基本。毎月の支出の補てんに、ボーナスをあてるのは厳禁です。

被服費も家計調査の平均(単身世帯・女性の支出金額)8千円から見ると高いですが、学生から社会人になると服も変わってきますし、短くても1年は季節が巡らないと支出は減らないのではないかと思います。質がよく長く着られる服を選ぶ目を養って、寮を出るころには平均の8千円に収まるようにしていきましょう。

交通費ですが、現在は補助があってもさらに5千円かかってしまっています。新居は職場の近く、もしくは補助内で収まる地域で探していきましょう。物件が動く卒業・入学の時期を見越し、先回りして物件を探すといいでしょう。

家賃補助はいつまで出るかわかりませんので、田村さんの収入から計算すると、現状からいえば家賃は5万円といいたいところです。ですが、女性のひとり暮らしで、住む地域の治安なども家賃込みとして考えるのであれば6万円が妥当でしょうか。7万円を超えると補助があったとしても生活を圧迫してくるので、レジャー費を削ってでも毎日暮らす所にこだわるか、多少駅から遠いとか、急行が止まらない駅の物件など、条件を緩和して、固定費となる家賃を安くするのか、ご自身のライフスタイルは何に重きを置いているか照らし合わせて検討してみましょう。

また、できるだけ自炊をして食費はなるべく抑えましょう。寮を出たとしても、食費は4万円以内に抑えてほしいところです。水光熱費も1万円以内で抑えるようにしましょう。

貯蓄について

一人暮らしをしていても、収入の2割は貯蓄したいところですから、田村さんの場合は年間60万円が目標になります。

※(月収20万円×12カ月+ボーナス60万円)×0.2=60万円

財形で月に4万円ずつ貯めはじめているので、残りはボーナスで最低限12万円は貯めていきましょう。

引っ越し費用について

31回の相談でも回答していますが、敷金礼金、家電の購入費用などを含めた引っ越し費用は53万円かかるようです。(マイナビ調べ)

http://chintai.mynavi.jp/contents/hitorikurashi/point2/

現状の生活のまま、3年目の春に引っ越し、ボーナスの半額の15万円を貯めたと仮定して計算してみましたが、使い込まなければ引っ越し費用は貯められていると思います。

保険について

独身の今であれば、病気やけがで入院した時に保障される保険に1つ入っておくと安心でしょう。医療保険はシンプルなものでも、1日当たりの給付金額、1回の入院の限度日数、保障はいつまでか(10年更新、一生涯保障など)、手術の保障はついているか、などの条件の違いで保険料が変わってきます。あくまで判断材料の一部ですが、目安となる表を作ってみましたので、自分はどこにこだわるかチェックしながら保険を選んでみてください。

1日の入院給付金額は高ければ高いほど、日数は長ければ長いほど良いですが、その分毎月支払う保険料は高くなります。入院1日当たり5000円から1万円程度で保険料は5000円以下が目安でしょう。

女性の医療保障に特化したものや、がん保険とセットになったような保険、闘病中の収入を保障してくれる保険などもありますし、保険料でいえば、一生涯の保障を退職時までに払い込んでしまう方法や、保険を使わなかったら○歳の時点で払込保険料全額を戻します、なんていう保険も出ていますので、インターネットなどを上手に利用して、自分に合った保険をじっくり選んでいきましょう。

共済も安くていいのですが、60歳以降の病気での補償が低くなってしまう保障が多いので、若いうちの補完的な位置づけとして加入するほうがよいと思います。

寮には何歳までいられるかわかりませんが、寮にいる間はお金を貯められる時期でもあります。お金を貯めたいと思ったら、目標金額を決め、その金額が貯まるまで引っ越しの時期をずらすなど、上手に利用していきましょう。

すでに財形を始められているということや、財形以外に貯蓄がすでに40万円あるということから、就職前から貯蓄の習慣がついているのだと思います。堅実な性格がうかがえますので、今の調子で頑張ってください。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 内田まどか

「万が一」のためだけではない、生きていくための保険の入り方から、住宅取得、転職、早期退職など、夢や希望を叶えるためのライフプランニングなど、シミュレーションを活用してアドバイス。個人相談を中心に活動している。