連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。
【相談内容】
無駄遣いしているつもりはないのですが、家計はなぜか毎月赤字になってしまいます。毎月の家計をできれば黒字にしたいです。どこを見直せばいいでしょうか? また、教育費も貯めていきたいのですが、何歳までに、どれぐらいを目標に貯めていったらいいでしょうか?
【プロからの回答です】
- まずは、固定費で減らせるものはないかを検討し、その後、食費や光熱費などの変動費で節約できるところはないか見直しましょう。教育費は、高校3年生になるまでに300万円を目安に貯めていくと良いでしょう。まだライフプランが固まっていない時期かもしれませんが、マイホームやお子様の教育のことを考慮し、収入を増やす道を考えてみましょう。
(※詳細は以下をご覧ください)
収支を年単位でとらえてみよう
毎月赤字になってボーナスで補てんしているという中島さんですが、よく見ると月に2万円の積立貯蓄をしています。財形貯蓄や積立貯蓄、学資保険などできちんと貯蓄している結果、毎月の給料だけで足りなくなりボーナスで補てんするという家計は意外と多いようです。このような場合、視点を変えて収支を年間でとらえてみましょう。家計データを計算すると、年間貯蓄額は59万円で、年間収入393万円(児童手当含む)に対する割合は約15%になります。お子様がまだ小さく、お金がかからない時期ですので、貯蓄額はできれば年間収入に対して20%程度の約80万円を目標にしたいですね。
まずは固定費から見直す
家計を見直す際は、住居費や保険料などの「固定費」から見直します。支出割合の高い家賃や駐車料金については、住居費が安い所への引っ越しができないかを検討します。生命保険料は夫が会社員、お子様が1人ですので、公的遺族年金を考慮すると死亡保障は3000万程度で良いでしょう。10年ごとに更新があるタイプの保険ですと年齢が上がるたびに保険料もかなり増えてしまいます。まだ若く健康なうちに、更新が無いタイプに見直すことも検討してみましょう。定期保険部分は、年齢が上がるにつれて保障金額が減るタイプや、毎月一定額をお給料のように受け取るタイプですと比較的安い保険料で済みますので、複数の保険会社の見積もりを取り、比較検討すると良いでしょう。
貯蓄目標に届かないようでしたら、食費や光熱費などの「変動費」の減額に取り組みます。買い物やメニューを工夫して食費を月に3000円でも減らすとか、携帯電話に無駄なオプションはないか、また、通話中心なのかネット中心なのか使い方によってプランを見直す、というような所に気を付けてみましょう。九州への帰省にかかる交通費も、お盆や正月のピーク時を避ける、飛行機の運賃が半額になる株主優待券をチケットショップで購入するなどの工夫で数万円減らすことも可能でしょう。このような見直しで年間20万円の貯蓄額アップを目指しましょう。
教育費はどう貯める?
お子様の教育費を貯めるため積立貯蓄を始められたのは賢明です。高校までの教育費は家計から賄うとしても、大学に進学する場合、国公立でも約250万円、私立大学でしたら学部にもよりますが450万円以上(どちらも4年間合計)の授業料が必要になります。大学進学のための教育費は高校3年生になるまでに300万円を目標に貯めましょう。3年生になると受験対策の塾の費用もかさみますし、推薦入試やA.O.入試で合格が決まり、入学金などを早めに支払わなければならないこともあるためです。中島様は月に2万円の貯蓄をされていますので、このままのペースで続ければ目標は達成できそうです。但し、お子様が成長するにつれて教育費がかかるようになりますし、食費や被服費も増えますので貯蓄が難しくなるかもしれません。しかし、そこで積立貯蓄をやめてしまうと大学進学資金の確保が難しくなります。教育費の確保のためには、中島様が働くことが必要になってきます。
節約だけでなく収入を増やすことも大切
今、働いても保育園代で消えてしまうかもしれないと躊躇してしまうお気持ちもわかります。しかし、ブランクはなるべく少ない方が再就職には有利です。保育園に入ることができないか、順番を待ってみるのも良いのではないでしょうか。
保育園を断念して幼稚園に入れるとしても、現在、在宅でできる仕事は無いか探してみるのも良いでしょう。少しでも収入が得られれば、自分で自由に使えるお金も増えますし、前向きな気持ちになれます。得られたお金で再就職が有利になるような資格の勉強をするのもお勧めです。節約だけでなく収入を増やす道を考えることも必要です。
現在は賃貸ですが、今後マイホーム購入を考えていらっしゃるなら住宅購入資金のことも考えなくてはいけませんし、お子様が増えるとすればパートにしてもフルタイムで働く位の金額が必要になります。ご家族がどのようなライフプランを望むのか、何を優先するのかで妻の働き方も変わります。まだ年齢も若くいろいろな選択肢がありますので、ご夫婦でじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
<著者プロフィール>
(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 福島佳奈美
金融系SE(システムエンジニア)からファイナンシャルプランナーに転身。Webサイト中心にマネーコラム執筆を行うほか、教育費やライフプランニング、保険、家計見直しなどのセミナー講師、個人相談などの活動を行っている。