SNS全盛時代にありながら、意外と見えない周りのお財布事情。この連載では、お金の学校ファイナンシャルアカデミーが、典型的な家計簿パターンを紹介しながら、明日から実践できる家計改善のコツを具体的に伝授します。連載2回目の今回は「リボ払いに翻弄される、28歳会社員女性の家計簿」にメスを入れます。
お金がピンチのときは、いつもリボ頼み
3年前から一人暮らしをしているBさんは、埼玉県在住の28歳会社員です。手取り収入は20万円。生活費とは別に貯蓄用口座を作り、毎月1万円を生活費用口座から自分で移して貯蓄するようにしています。
ですが、毎月月末になるといつもお金が足りなくなり、貯蓄用口座からお金をおろしてしまうので、いっこうに残高が増えないそう。また、お金がピンチのときは、クレジットカードの「リボ払い」に頼っているそうですが、これについては本人も少し気になっているのだとか。Bさんの家計の状況は次の通りです。
収入
20万円/月(手取り給与)
30万円/年(手取りボーナス)支出
21万円/月(生活費)
30万円/年(旅行など特別支出)貯蓄
48万円
お金持ちは絶対に使わない「リボ払い」
本人も薄々気付いていますが、家計簿を見る限り、クレジットカードとの付き合い方がNGです。現時点では貯蓄を切り崩すことで、支払いが滞るところまでは至っていないようですが、毎月、貯蓄を切り崩している時点で既にイエローカード!
クレジットカードはその名の通り、「クレジット=信用」があるとみなされる人だけが使えるカード。もし滞納してしまうと、信用できない人だ! とブラックリストに記録され、今後新たにカードが作れなくなったり、将来、マイホームを購入したい、不動産投資をしたい、と思ったときに融資が受けられなくなったり……といったことにもなりかねません。レッドカードに変わる前に、カードとの付き合い方を見直しましょう。
使った金額にかかわらず、毎月の請求額が一定になり、支払い残高がある限り請求がくる、というリボ払い。リボ払いには、店頭で買い物をしたときにリボ払いを選択する方法のほか、あとからリボ払いに変更する方法、リボ払い専用のカードなど、いくつか種類があります。また、月々の支払い額が定額になるタイプ以外に、支払い残高が増えればそれに応じてスライド式に請求額が増額されるタイプもあり仕組みが複雑で、よく理解しないまま使ってしまっている人も多いのも現状です。
リボ払いにしておけば、クレジットカードで大きな買い物をしたときでも支払い額が変わらないので、一見すると安心で便利なようにも見えます。ですが、支払い残高に対して払う手数料は「15%程度」とかなりの高額。もし、100万円の買い物をして、毎月2万円ずつ支払っていくとすると、手数料15%の場合、支払い手数料の合計はなんと31万円を超えることに。全く同じものを手に入れるのに、余計に31万円も払うだなんて、これではクレジットカードを使っているのではなく、逆にクレジットカードに使われてしまっています。
さらに、リボ払いの恐ろしい点は、買い物をしても毎月の支払い額が変わらないので、収入以上にカードを使って買い物をしすぎてしまうこと。Bさんの場合、手取り収入が20万円で、家賃や食費など生活に必要なお金を除いて考えると、自由に使えるお金は、5万円程度しかありません。にもかかわらず、リボ払いだと、収入にかかわらず買い物ができてしまうので、自由になるお金が実際以上にあると錯覚してしまうワケなのです。
クレジットカードが悪ではない! すべては使い方次第
Bさんにアドバイスしたことはズバリ、リボ払いをやめること。幸いにも現在のリボ払いの残高が、ボーナスですべて一括返済できるとのことだったので、思い切って返してしまうようオススメしました。
クレジットカード自体は、決して悪いものではありません。リボ払いを使わなくとも、あらかじめカードで支払う金額の上限を決めて賢く使えば良いのです。うまくコントロールできないうちは、アナログですが、月の予算を手帳やスマホにメモをし、そこから使うたびにマイナスしていくようにすると良いでしょう。あといくら使えるかを書くことで、使えるお金が意識できて、使い過ぎにブレーキをかけられるはず。どうしても予算以上に使いたい月は、翌月の予算と合わせて考えてみるのも一つです。
なお、洋服などをリボ払いで買うことが多かったようなので、そもそもの予算を増やしました。今後はこの範囲内で買い物するよう心がけることが重要です。また貯蓄に関しても、自分で別口座に移すのではなく、自動的に積み立てられ、かつ、引き出しにくい預け先に変えると貯まりやすくなります。Bさんの場合は、会社に財形積立の制度があるようなので、それを利用するのも良いかもしれません。
ファイナンシャルアカデミー
お金の教養を身につけるための「総合マネースクール」。2002年の創立以来、東京校・ニューヨーク校・オンライン校を通じて19年間で累計61万人以上が、貯蓄や家計管理といった生活に身近なお金から、資産運用、キャリア形成、人生と社会を豊かにするお金の使い方までを学んでいる。人生と切っても切れないお金の知識が丸ごと学べる『お金の教養スクール』では、WEBで受講できる無料体験セミナーも実施している。