住宅は、家族が過ごす大切な空間です。しかし、住宅費用は家計の中でも大きな割合となるため、それが負担となり生活を圧迫する原因となることも少なくありません。持ち家であっても、賃貸であっても、住宅費用は適切な範囲を守り、家計に悪影響が及ばないようにしたいものです。今回は、家計に占めるバランスの良い住宅費用の割合や、その節約方法などについてまとめてみました。
バランスの良い住宅費用は家計の何割まで?
毎月の支出のうち、大きなウェイトを占める住宅費用。住宅ローンの返済や家賃の支払いが重荷となっている家計も多く見られますが、それでは、家計に負担がなくバランスの良い住宅費用は何割までなのでしょうか。
よく耳にするのが「住宅費用は収入の3割まで」というフレーズです。しかし、最近では自宅のインターネットに加えてスマートフォンを持つことが珍しくなくなり、通信費が高めの人が増えてきました。子どもがいる家庭では、成長につれて教育費がかさんでいきます。そのため、場合によっては「住宅費用は3割」と考えていると、お金がかかり過ぎているケースもあるのです。できれば、住宅費用は20~25%に納めるのが理想的でしょう。毎月の住宅費用を抑えるだけで、必要な支出にお金をかけられたり、貯金ができたりと、少し生活に余裕が生まれるものです。
20~25%が難しいとしても、収入の3割を超えないようにしましょう。住宅にかけるお金が多過ぎると、それだけで家族が困窮しかねません。家賃や住宅ローンの返済が収入に対して大きい場合は、住宅費用の節約を考える必要があります。
住宅費用を抑えるには
収入に対して住宅費用がかかり過ぎている時、どうすれば費用を抑えることができるのでしょうか。まず、賃貸物件に住んでいるなら、家賃の安い部屋へ引っ越すことを検討しましょう。一時的に引っ越し費用がかかりますが、長い目で見れば節約となります。ただし、度重なる引っ越しには要注意。インテリアや利便性にこだわるあまり、新しい家具や家電を購入し過ぎることにも気を付けましょう。
部屋の家賃を下げると不便になると思いがちですが、あまりこだわりのないポイントを妥協すると、快適さを失わずに住宅費用を節約することができます。例えば、最寄り駅が都心から離れて電車に乗る時間が長くなったとしても、その分駅に近い物件を選べば、トータルの通勤時間はあまり変わらないことがあります。
また、部屋が狭くなったとしても、引っ越し前に不要な荷物を処分しておけば必要な収納スペースが減り、実際の住み心地は悪くならないかもしれません。家賃を下げると必ずデメリットがあるとは決めつけないことが大切です。
一方、持ち家であっても住宅費用の節約は可能です。もし、今後マイホームの取得を考えているなら、無理して早いうちに買うのではなく、頭金を充分に貯めてから購入したほうが負担は減り、メリットも大きくなります。すでに住宅を購入していて長期のローンを組んでいるなら、繰り上げ返済をうまく活用することで負担を軽減しましょう。
住宅ローンの上手な返し方
マイホームを所有していると、悩みの種となるのが住宅ローンの返済です。負担を後々に残さないよう、余裕がある時に繰り上げ返済をするほか、場合によっては条件の良いローンへの借り換えも検討してみましょう。
繰り上げ返済は、毎月の支払いとは別にまとまった金額の返済を行うことで、「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。期間短縮型とは、毎月の返済額を変えず残りの期間を短くする方法で、返済額軽減型は、残りの期間を変えずに毎月の返済額を軽減する方法です。返済期間を短くしたいのか、それとも毎月の負担を減らすのかで選択することになりますが、一般的には、期間短縮型のほうが利息軽減効果は高くなります。しかし、「どちらが得」のみで判断せずに、それぞれの家計の状況に合わせた方法を選ぶことが大切です。
なお、金融機関等によっては、繰り上げ返済の金額に制限(最低返済額)を設けているところがあります。また、手数料の違いもありますので、繰り上げ返済を考えるならよく確認しておきましょう。
住環境は生活に与える影響が大きいため、「多少お金を無理しても快適に住みたい」と考える人は少なくありません。しかし、住宅費用がかかり過ぎていると、その積み重ねは非常に大きな損失となることもあります。住宅にかけるお金は抑えながらも、心地よく暮らせる工夫を大切にしましょう。
筆者プロフィール: 武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。