寝苦しい夜が続く今日この頃。真夏の暑さを吹き飛ばすべく、3人のお笑い芸人に奇妙な体験について語っていただきました。涼しさとともにほかのなにかがやってこないよう、ご注意ください……
今回の語り手は、お笑いコンビ「マテンロウ」の大トニー。彼が初めて霊を見たときの体験を語ります。
『女の子の霊……』
僕が初めて霊を見たときの話をします。
中学2年生のとき、教室で廊下側の席に座っていて、よく廊下を向いて腕を枕に居眠りしてたんです。
ある日、「誰かに見られてるな」と思って目を開けたら、廊下に幼稚園児くらいの女の子が体育座りして、僕のこと見てたんですよ。
「中学校なのにおかしいな」と思った瞬間金縛りにあって、その女の子と目が合ったまま、動けなくなったんです。
しばらくしてチャイムが鳴ると金縛りが解けて、女の子もいなくなっていました。
それから何年かして芸人になった僕は、ある日ほかの芸人仲間にこの女の子の話をしたんです。
その帰り、通っていた中学校の前を通ったんですが、ふと見ると、なぜか学校が赤く光っているんですよ。
気味が悪いけど、そこを通らないと帰れないので自転車をこいでいると、中学生のときに女の子を見た教室のあたりの窓から、あの子が手と顔を出してこっちを見下ろしてるのが見えてしまったんです。
そのあと、怪談ライブとかに呼ばれるようになって、とあるライブでこの話をしようとしたんです。
話し始めようとして、ぱっと顔を上げたら、劇場の2階の音声ルームでその女の子がこっちを見ていました。
それから、その女の子の話をしようとするたびにその子が現れるようになって、僕もだんだん怖くなってきて……。実は僕の姉がとても霊感が強いんですが、その姉に相談してみたんです。
すると姉が、ちょっと笑いながら「やっと気づいたんだ?」って。
「中学校のときからずっとそばにいるんだよ」って言ったんですよ。
その話をしなくなってしばらく経つと、女の子が現れなくなったんです。それでまたこの話をライブでするようになったんです。「もう見えなくなっていなくなったから大丈夫なんですけどね」っていう終わり方で。
ある日ライブが終わったあとに、まったく知らない女性のお客さんに話しかけられたんです。
するとその人、僕の目を見ながら言いました。
「あの女の子、絶対かえってくるから気を付けて……」
いつ戻ってくるかは、わかりません。
マテンロウ・大トニー
お笑い芸人。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。東京都出身。2010年に相方のアントニーと「マテンロウ」を結成。2016年、芸名を「大野大介」から「大トニー」に変更した。中学生の頃から心霊体験をするようになり、怪談ライブやイベントなどにも数多く出演している。