前回の「買うなら猛暑&増税前 エアコンの注目機能や売れ筋を聞く」に引き続き、今回は夏に向けたクール家電のトレンドをジョーシン浦和美園イオンモール店で取材しました。

クール家電が爆発的に売れるようになるのは、真夏日や寝苦しい夜が続くこれからの時期。暑さを感じたらポケットマネーでサッと買える額ということで、2万円までの予算で今夏の注目株を5つセレクトしてもらいました。

季節家電担当スタッフの富永拓真氏は「クール家電を含む季節家電は『売り切れたら次は来年』ということが多く、夏真っ盛りの時期になると選択肢はかなり少なくなります。品ぞろえが豊富ないまのうちに検討するのがおすすめです」と語ります。

  • ジョーシン浦和美園イオンモール店の季節家電売り場。季節家電担当スタッフの富永拓真氏にセレクト&解説してもらった

    ジョーシン浦和美園イオンモール店の季節家電売り場。季節家電担当スタッフの富永拓真氏にセレクト&解説してもらった

それらの点を踏まえ、クール家電を購入するための3つのアドバイスは以下の通りです。

  • 遅くとも梅雨が明ける前までに買うのが理想。人気商品の在庫は6月中に枯渇することも。
  • まずは、手持ちのクール家電をいまのうちに試運転させて現状を把握するのが肝心。
  • いまの時期は、扇風機やサーキュレーターの購入時に古い製品を無料で引き取り可能。必要なら持参しよう。

それでは、今夏のおすすめクール家電セレクト5を見ていきましょう。

※原稿と写真で掲載している価格は、2019年5月23日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

セレクト1:エアコンのない部屋に向く「冷風扇」

2018年の夏は記録的な猛暑だったこともあり、クール家電の売れ行きも例年以上となりました。そのなかで、ジャンル全体で大きく伸びたのが冷風扇だといいます。

「水に風を当てて飛ばすことで清涼感が得られる家電です。昨年は、エアコンの取り付け工事が2~3週間かかることがザラにあって、その間に使うためにと買われていく方がとても多かったです」

室内の湿度を高めてしまう欠点もありますが、エアコンが設置できない部屋用にするなど、今年もピンポイントでの活躍が期待できそうです。特に、大容量タンクを備えたモデルが人気とのことで、富永氏は5Lのタンクを備えるシィー・ネットの「CRF104」をプッシュしました。同店での価格は税込み9,158円となります。

  • 冷風扇売り場。中央の「13」の製品がシィー・ネットの「CRF104」

セレクト2:若年層にもヒットしている「ハンディー扇風機」

昨夏に勢いよく売れたクール家電には、ハンディータイプの扇風機もあります。乾電池や充電池で駆動する小型扇風機で、3,000円程度で買える値ごろ感から世代を問わず売れているそうです。

「何より低価格なので、学生さんにも浸透していますね。職場で卓上用として使うためにスタンド付きのモデルを買う人もいます。数年前の製品と比べてかなりハイパワーになっていて、実用性がグンと高くなっているのがポイントだと思います」

昨年の猛暑で利便性に気づき、今年も新モデルを買い求める人がすでに多くいるそうです。ジャンル全体で伸びていますが、なかでも売れているのはドウシシャの「ディズニーキャラクター ハンディファン(FWSU-94B)」だとか。手持ちと横置き、首かけの3wayで使えるのがポイントです。税込み価格は2,894円。

  • ドウシシャ「ディズニーキャラクター ハンディファン(FWSU-94B)」(左)

セレクト3:部屋干し用としても人気の扇風機「PJ-J2DS」

クール家電の定番といえば扇風機ですが、3,000円を切る安価なモデルがもっともよく売れているとのこと。一方で、省エネ性能の高いDCモーターを採用し、サポート期間が長いメジャーメーカーのハイスペックモデルを指名買いする層も増えているといいます。

その典型例が、シャープのコンパクトモデル「PJ-J2DS」。8段階の風量調節ができるDCモーターモデルで、プラズマクラスター7000により部屋干しの衣類を消臭する効果も期待できます。税込み価格は2万1384円と2万円オーバーになりますが、売れ行きのよさを考慮してピックアップしてもらいました。

「普通の扇風機としても優秀で、部屋干し用の乾燥機としても使えるということで喜ばれています。クール家電は梅雨対策という側面もありますからね。使用目安(設計標準使用期間)が10年と長いのもポイントです」

  • シャープ「PJ-J2DS」

セレクト4:組み立ていらずの扇風機「HEF-DL300A」

扇風機では、日立製作所のDCモデル「HEF-DL300A」も注目されています。減灯&消音モードを備えていて、就寝時に邪魔にならない点が好まれているそう。税込み価格は1万5984円。

加えて、すべて組み立てた状態で箱に入っているのも魅力となっています。「羽根をロックしてガードを付けたり、スタンドを立てたりする手間がいらないということで、『組み立て済み』というアドバンテージが最後の決め手になることもありますね」

  • 日立製作所「HEF-DL300A」

セレクト5:サーキュレーターもDCモーターが人気

最後のセレクトはサーキュレーターです。最近は、エアコンの効果を高める道具としてだけでなく、扇風機の代わりに購入を検討する人も多いそうです。「昨夏、扇風機の売り切れが目立つようになった時期、『じゃあサーキュレーターにするか』ということで買われていく方も多かったです」

なかでも人気があるのは、細かな風量調整が可能なDCモータータイプ。「音も静かで就寝中も安心して使えます。電気代も抑えられるので、つけっぱなしにできる強みもありますね」

売れ筋は、山善のジョーシン専売モデル「YAR-PD203J」。ベースとなっているのは「YAR-AD234」とのことです。税込み価格は9,698円でした。

  • 山善の「YAR-PD203J」

はみ出し情報……価格度外視で安定人気のダイソン扇風機

クール家電のなかでも、ダイソンの空調家電「Pure」シリーズは別格の売れ方をしているといいます。「固定ファンがいて指名買いするイメージが強いですね。新築の家に移られるタイミングで若いご夫婦が買われていくことも多いです。見た目のデザインが優れているうえ、ブランドも浸透していますからね」

クール家電としては、空気清浄もできるタワーモデル「Pure Cool TP04IBN」が一番人気とのこと。税込み価格は6万2640円です。

  • ダイソン「Pure Cool TP04IBN」(もっとも背の高い製品)

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。