新しいiPhoneが発売されると、中古スマホや白ロムスマホの市場が大きく動くといわれています。最新のiPhone 11シリーズの販売が始まった数週間後、中古スマホや白ロムスマホを扱うイオシス アキバ中央通店を訪ね、中古&白ロムスマホの売れ行き動向を取材しました。
店長の高野裕太氏は「iPhone 11シリーズの発売直後の3連休は、買い取りセンターに行列ができたほどです。値崩れしないうちに旧製品を売りたい、という人が集まったんだと思います」と振り返ります。
ただし、今年はiPhone 11シリーズの販売開始以上に、ミドルレンジスマホの需要の高まりが目立っているとのことです。総務省が推し進めた分離プラン義務化の影響もあり、端末の実質的な価格が上がったことが関係しているそう。「国内外問わず、多くのメーカーがミドルスペックの製品に力を入れていこうとしていますし、お客さんも自分が求める性能や機能を見定めて堅実な機種選びをする傾向が強まっていると感じます」
売れ筋が大きく変動するなかで、これから中古スマホや白ロムスマホを選ぶポイントを3つ挙げてもらいました。
- ミドルクラスは機能と性能の幅が広い。重視する機能やスペックの優先順位をつけて選びたい。
- キャリアの大幅値引きが難しくなり、中古市場も価格の変動が抑えられる傾向にあることは留意したい。
- 自分の使用用途を意識することが、コスパの高い製品を選ぶ最大のコツ。
それを踏まえて、直近の売れ筋を見ていきましょう。純粋に固有の人気で選ばれている端末(シリーズ)を見るという意図から、未使用の白ロム端末で1万円台後半以上の価格帯のものに絞ってもらいました。
※原稿と写真で掲載している価格は、2019年10月16日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1~2位:“どうしてもiPhoneが欲しい”で安定人気の「iPhone 7/8」
6月に掲載した「中古スマホもiPhoneが圧倒的人気、ファーウェイは?」では売れ筋ベスト7でしたが、今回はベスト10まで集計してもらいました。
1位と2位は変わらず、アップルの「iPhone 7」と「iPhone 8」が並びました。税込み価格は、SIMロック解除済みの未使用品(最低容量モデル)がそれぞれ4万2800円と5万2800円でした。
「iPhoneは旧世代をミドルクラスに充てることが多く、7も8も『ハイエンドまでのスペックがいらないけどiPhoneが欲しい』という需要で安定した人気があります。微妙な価格変動で8が一番になることもあります」
第3位:国内勢のミドル覇権機「AQUOS sense 2」
次いで売れているのは、シャープの「AQUOS sense 2」。未使用品の税込み価格は2万3800円でした。
「国内メーカーにおけるミドルクラスの覇権機種ですね。ミドル機種のなかで目立つポイントは、防水仕様になっていること。あとはおサイフケータイが使えることや、国内メーカーという点を重視する人にも人気があります」
第4位:コスパの高さで勢いよく売れる「P30 Lite」
AQUOS sense 2と僅差でAndroid一番人気を競っているのは、ファーウェイの「P30 Lite」です。メインにトリプルカメラを搭載するモデルで、未使用品の税込み価格は2万7800円でした。
「基本性能やカメラ性能などを比較すれば、ミドルクラスではコストパフォーマンスがぶっちぎりの存在です。昨今のミドルクラス人気の盛り上がりと、ファーウェイショックが落ち着いたのも手伝って、勢いよく売れています」
第5位:7&8と近い需要を担う「iPhone XR」
5位は、再びiPhoneとなります。前世代のミドルハイ機種「iPhone XR」で、税込み価格は最低容量の未使用品が6万7800円となります。
「8月までは7や8に匹敵する勢いがありましたが、アップルから値下げの発表があって少しだけ落ち着きました。それでも、ミドルクラスのiPhoneでカメラ性能を重視したい人や長期間使いたい人に指名買いされることが多いです」
第6位:後継機の発表後も勢い衰えぬ「Pixel 3/3XL」
6位は、グーグルの「Pixel 3/3XL」です。ひと回り大きいPixel 3 XLの未使用品が税込み5万9800円でした。
「背面はシングルカメラですが、ボケ味の表現や暗がりでの撮影が本当に優秀で、総合的に評価の高い機種です。それが5万円台で買えるということで、Pixel 4シリーズが発表されたあとも勢いよく売れ続けています」
第7位:前世代のハイエンドiPhone「iPhone XS/XS Max」
前世代のハイエンドiPhone「iPhone XS/XS Max」は7位に食い込みました。ひと回り大きいXS Maxの最低容量の未使用品は税込み10万7800円となります。
冒頭で触れたiPhone 11シリーズ発表直後の買い取りの行列により、中古在庫が多く集まったのがこのシリーズとなります。「中古品の在庫が大量に入ったことで売値が安くなって、お買い得感の高まりから順調に売れています。この価格帯ではあり得ないほどの勢いを維持していますね」
第8位:基本性能を重視する人に人気の「nova lite 3」
8位に入ったのは、ファーウェイの「nova lite 3」です。未使用品の税込み価格は1万9800円。
「機能面は控えめですが、CPUがオクタコアのKirin710というミドルハイクラスを採用していてこのお値段、というところが魅力です。基本性能重視で選ぶなら、ダントツでコスパが高いんですよ。そのあたりを分かっている方に指名買いされますね」
第9位:バッテリーの持ち重視で人気のOPPO「R15 Neo」
9位は、OPPOのミドルクラス「R15 Neo」がランクインしています。RAM 4GBモデルの未使用品は税込み1万9800円でした。
「2枚のnanoSIMでDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)ができる機種ですが、それ以上に4230mAhの大容量バッテリーを重視する人も多いですね。通話専用にしていたら、3日間使ってもバッテリーが50%近く残っていたという話も聞きますから」
第10位:赤丸急上昇で売れている「AQUOS R2」
ラストの10位は、シャープの「AQUOS R2」です。昨年の同社のフラッグシップモデルで、未使用品の税込み価格は3万5800円となります。
「現役でバリバリ使えるハイエンドモデルがミドルクラス並みの価格で手に入るということで、最近値下げしたタイミングから人気に火がつきました。10位ですが、赤丸急上昇のモデルです」
はみ出し情報…香港版iPhone 11シリーズの人気も熱い!
日本の技適マークが付いていない機種のため番外編となりますが、香港版のiPhone 11シリーズの勢いも目を見張るものがあるといいます。最低容量の未使用品の税込み価格は、「iPhone 11」が10万4800円、「iPhone 11 Pro」が15万9800円、「iPhone 11 Pro Max」が16万4800円でした。
国内で流通しているiPhone 11シリーズはグローバル仕様で、eSIMとnanoSIMが挿せる構造となりますが、中国・香港・マカオ版はnanoSIMが2枚挿せます。この仕様を求めて探しに来る人は後を絶たないそうです。
「一番上の容量のモデルは20万円を超えたりもしていますが、それでもすごく売れています」
著者プロフィール
古田雄介
フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。