今回は、ビックカメラ有楽町店にドローンの売れ筋を取材しました。同店では、ドローンの売り上げが毎年伸びており、20代から30代の男性を中心に購入層が広がっているそうです。

家電量販店に並ぶドローンには、改正航空法の規制対象外となる200g未満のモデルと、屋外でのフライトが規制対象となる200g以上のモデルがあります。同店で売り場を担当する長谷拓映氏によると、売れ行きの割合は6:4で200g未満が多いとのことです。

「200g以上の大きなドローンを持っている人でも、練習用や遊び用に小型タイプも手に入れることが多く、販売台数ベースでは200g未満が主流となりますね」

  • ビックカメラ有楽町店 地下2階にあるドローン売り場。試用スペースも備えている。DJIインストラクター資格を持つ長谷拓映氏にガイドしてもらった

入門機を中心に、長谷氏にドローン購入のポイントを3つ挙げてもらいました。

  • 細かな制御は、スマホアプリよりも専用コントローラーのほうが有利。本格的に練習するなら、最初から導入を検討したい。
  • 軽重問わず、安定してホバリングできるモデルが制御しやすい。気圧センサーやGPS付きがおすすめ。
  • カメラ性能だけでなく、飛行時間の長さや障害物感知センサーの数や配置も比較したい。

それを踏まえて、最近の売れ筋ランキングを見ていきましょう。

※原稿と写真で掲載している価格は、2019年7月24日13:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:80gで13分飛べる入門定番モデル「Tello」

もっとも売れているのは、RyzeTechの200g未満モデル「Tello」です。重量わずか80gのコンパクトなモデルで、500万画素カメラと気圧計、距離計などを内蔵しています。税込み価格は1万1340円。

「コンパクトながら最大飛行時間が13分と比較的長いうえ、気圧計と2つのカメラで自分の位置を常に把握しているので、ホバリングが得意なのがポイントです。飛行が安定しやすくて長く遊べるということで、定番モデルとなっています」

操作は、スマホアプリと別売のコントローラーが選べますが、「大型タイプを見据えて操作を練習したいという人は、専用コントローラーを購入して使う方が多いですね」とのことです。

  • RyzeTech「Tello」

第2位:プロ御用達の4K動画対応モデル「Mavic 2 Pro」

2位には、重量907gのDJI「Mavic 2 Pro」が入りました。フル充電で約31分の飛行が可能で、ジンバル搭載カメラによりなめらかな4K/30fps動画が撮れます。GPSを搭載し、障害物検知センサーは前後左右上下に組み込んだ全方位仕様。税込み価格は18万511円でした。

「仕事で空撮する方に指名買いされることが多いモデルです。カメラのセンサーサイズが1インチと大きいうえ、ハッセルブラッド製のカメラを採用しているので、画質がすこぶる良いです。サイズが大きいので安定性も抜群に高く、全方位センサーにより森林など障害物が多い場所でも使いやすいなど、褒めるポイントがたくさんあります」

  • DJI「Mavic 2 Pro」

第3位:200g以上のホビーユースで人気の「Spark」

3位は、DJIの300gモデル「Spark」でした。ジンバル搭載カメラを採用しており、約16分の飛行が可能。付属のコントローラーやスマホアプリ以外に、手のひらを使ったジェスチャーだけで操作するユニークな機能も備えています。税込み価格は7万2770円。

「200g以上の入門機的なモデルですね。GPSと前後の障害物検知センサーを備えているので、風があってもその場に留まりやすく操作しやすいです」

  • DJI「Spark」

第4位:海外旅行での人気が高い「Mavic Air」

4位もDJI製品です。重量430gの「Mavic Air」で、税込み価格は8万9100円。ホビー用途の200g以上モデルという位置づけは3位のSparkとよく似ていて、手の平ジェスチャーでの操作機能やGPS搭載などの仕様も共通しています。しかし、こちらはより持ち運びを重視する人に人気があるとのことです。

「プロペラを折りたたんで持ち運べる独自の特徴があります。付属のコントローラーは、アンテナ部などを折りたたんでコンパクトにできるので、専用バッグなどがなくてもドローン本体と一緒に持ち運びしやすいんですよ。海外旅行で空撮したいという人に人気ですね。約21分飛ばせますし、前後と下に障害物検知センサーがついているので扱いやすい、という強みもありますから」

  • DJI「Mavic Air」

  • 本体を折りたたんだところ

第5位:コントローラー付属の200g未満モデル「DRH810」

5位には、1位のTelloと同じ200g未満のモデルがランクインしました。SACの79gモデル「DRH810」です。最大飛行時間は8分で、スマホアプリには非対応ながら、専用のコントローラーを同梱しています。プロペラ部を折りたたんで収納できるのもポイント。税込み価格は8,078円。

「コントローラー付きでお手ごろ価格のモデルということで人気がありますね。低価格ながらも気圧センサーを搭載していてホバリングが安定しやすいので、こちらも入門機に向いていると思います」

  • SAC「DRH810」

はみ出し情報…建築現場のニーズも高い「ANAFI」

売れ筋トップ5には入らなかったものの、指名買いが多いモデルとしては、Parrotの320gモデル「ANAFI」も目立つ存在といいます。4K/24fps動画が撮影できるジンバルカメラを採用したドローンで、カメラを上下180度動かせるのが特徴。飛行時間は約25分。税込み価格は11万9793円となります。

「ホビー用途でも人気がありますが、天井や橋の高架下などが撮りやすいということで、建築業界の方に指名買いされることが多いです。自身より上の映像が撮れるドローンは意外と少ないんですよね」

  • Parrot「ANAFI」

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。