家庭にあると便利な工具について、前回はドライバーの基本的な種類について説明した。今回はドライバーの使い方と、前回紹介した以外のもので、家庭にあると便利な工具について話を進めていこう。
ドライバーの使い方の基本は、7:3の割合で力を入れるということになっている。グリップを垂直に押す力が7で回す力が3だ。これが、ネジ頭をなめない、正しい使い方とされている。
ラチェット式のドライバーでは、それに加えて少々違った使い方が求められる。ラチェット式のドライバーの場合、力を入れるのは、ネジを締める際は最後の半周。逆に緩める際は、最初の半周程度。あとはラチェット機能を使って、軸だけをクルクル回してやればよい。これで、作業効率は大幅に向上する。
さて、以上がドライバーの正しい使い方なのだが、注意力が散漫だったり、ドライバーが斜めに当たっていたりすると、ネジの頭をなめてしまうことはある。そういう時にはどうするか。ネジを締める時に起こったのならば、慎重にネジを逆回転させて取り除き、新しいネジを使えばよいだけだ。それほどの問題ではない。
しかし、ネジを緩めようとして頭をなめてしまった場合は問題だ。ネジ頭の形状によってはペンチなどで回すことができる場合もあるのだが、そう都合のよいネジばかりというわけではない。
困った時の貫通ドライバー
そういう時に役立つのが、貫通ドライバーだ。ドライバーには、グリップ部分がすべて樹脂や木材などで覆われているタイプと、写真のように軸が貫通しているタイプがある。貫通しているタイプが貫通ドライバーだ。これをネジの頭に当てて、グリップをハンマーで思いっ切り叩く。すると、ネジの頭に新しい溝ができて、何とか外すことができるようにるわけだ。もちろん外したネジは捨ててしまって、新しいネジに交換しておこう。上の写真のドライバーは、トーコマ製のエアロビック・ドライバーだ。使わずに済むのならばそれに越したことはないのだが、それでも持っていると安心度が高い1本だ。
これ以外に、家庭にあると便利な工具に、六角レンチというものだある。組立式のラックなどに良く使用されているうえ、前回も述べたような薄型テレビのスタンドの取り付けにも使用されるケースが多い。
そういった製品の場合、たいていは使用されている六角ボルトに合わせた六角レンチが付属してくるのだが、それらの精度や耐久性はあまりよいものではない。できれば、専用の工具を揃えたいところだ。
なお、家電製品や組み立て家具などで使用されている六角ボルトの径は最大でも6mmまでのものが多い。そのため、ホームセンターなどでセットで販売されている六角レンチも、最大で6mmというケースが多いのである。
自動車やオートバイ用では、それよりも径の大きいものが使われることがあるが、それに対応した六角レンチは、1本でも家庭用のセット全体よりも高価だったりする。なお、自動車用品店やオートバイ用品店で販売されているセットには、サイズの大きい六角レンチが含まれているものが多いので、もし小さいサイズだけでは困るという場合はそちらを探してみるとよいだろう。
いざという時にはレンチやスパナもあると便利
家電製品で必要になるケースは少ないのだが、レンチやスパナも、家庭に常備しておくといざという時に役立つ工具だ。
レンチとスパナは、基本的にはどちらも同じように、ボルトを回すための道具だ。両者に違いはないのだが、国内ではオープンエンドのものをスパナ、クローズエンドのものをレンチと呼ぶケースが多い。
写真は左がもっとも一般的なタイプのメガネレンチで、右が片方がオープンエンドスパナになっているコンビネーションレンチだ。
ボルトを回す際に、最も安全にトルクを掛けられるのはどういったレンチかというと、次の写真のようなTレンチということになる。
ただし、場所によっては入らない場合もある。そこで、Tレンチが使えないようなところでは、メガネレンチやソケットレンチを使用することになる。Tレンチやメガネレンチ、ソケットレンチでは、ボルトの6面全てに力が掛かる。それに対して、オープンエンドスパナでは、基本的に2面にしか力がかからない。そのため、ボルトを傷つけるケースもある。なお、モンキースパナはエマージェンシー的な使用にとどめるべきで、これで日常的にボルトを回すというようなことは避けるべきだ。
家庭で使用するには何が良いか
さて、実際に家庭で揃えるのならば、ホームセンターで販売されているような、ソケットレンチのセットがオススメだ。1,000円前後で、ハンドルとよく使用されるようなソケットも付いてくる。ただし、ラチェットレンチでは、ソケットを取り付け部分のサイズ「差込角」のサイズが何種類かある。一般的にホームセンターなどで売られているものは9.5mmと12.7mmが多い。自分の持っているセットに目的のソケットがない場合、ソケットだけを購入することになるのだが、その際に差込角のサイズを間違えると使用できないので注意が必要だ。