この掲載ペースで、読者の方々が実際に新生活の準備に入るまでに間に合うのか……一抹の不安が残るが、3回目でやっと製品の紹介に入る。今回紹介するのはパナソニックと日立アプライアンスの、22Lクラスまでのオーブンレンジだ。
手軽さを追求した堅実なコンパクトモデルを揃える - パナソニック
高機能モデルでは「3つ星 ビストロ」、普及価格帯モデルでは「エレック」ブランドを展開するパナソニックは、このクラスでは「NE-M154」「NE-T154」の2製品を発売している。2製品とも庫内容量は15Lで、今回紹介するオーブンレンジのなかでは、もっとも小さい。どちらもターンテーブル式で、NE-M154は角皿スチーム機能を搭載している。レンジの最高出力は、NE-T154が850Wで、NE-M154が950Wだ。ただし、この出力が使用できるのは自動メニューだけで、手動でレンジ加熱を行う場合の最大出力は、両モデルとも500Wまでとなる。冷凍食品やレンジ用の加熱容器などでは、600Wのレンジを基準にして温める時間が書かれていることが多い。500Wの場合、加熱時間を1.2倍にする必要がある。本体サイズは共通で、W455×D352×H293mmだ。脚間寸法は、W381×D232mmだ。
脚間寸法という、あまり聞かない言葉が出てきたが、これはオーブンレンジの底にある脚の左右と前後の幅で、冷蔵庫の上に置く場合などに問題になってくる。例えばパーソナル向け冷蔵庫では、天面が耐熱テーブルになっており、上にオーブンレンジを置けるようになっている製品が多い。ただし、冷蔵庫天面の幅と奥行き全てが、オーブンレンジを置けるスペースとして利用できるわけではない。冷蔵庫の耐熱テーブルは、お盆のような形状になっていることが多く、周囲の縁の部分は出っ張っているため、物を乗せられない。オーブンレンジを冷蔵庫の上に置こうと思ったら、自分が使用している冷蔵庫の耐熱テーブルの上に置けるレンジのサイズと、オーブンレンジの脚間寸法を把握しておく必要があるわけだ。今回はオーブンレンジの話なのであまり詳しくは触れないが、現行製品で、天面が耐熱テーブルになっている大手メーカー製のパーソナル向け冷蔵庫は、パナソニックの「NR-B174W」「NR-B144W」と、シャープの「SJ-17W」「SJ-14W」、三菱電機の「MR-P17T」「MR-P15T」といったところが挙げられる。耐熱テーブルに置けるオーブンレンジの脚間寸法は、パナソニックのNR-B174W・NR-B144WがW447×D429mmで、シャープのSJ-17W・SJ-14WがW410×D340mm、三菱電機のMR-P17T・MR-P15Tではこの数値は公開されていない。
話を元に戻そう。NE-T154は、14個のオートメニューを搭載している。メニューの内容は、「トースト(1枚/2枚)」「フライあたため」「お弁当」「全解凍」「半解凍」「牛乳・コーヒー」「酒かん」「ゆで葉果菜」「ゆで根菜」「たらこパスタ」「焼きうどん」「あんかけラーメン」「ミネストローネ」「豚キムチ丼」だ。日常的に使いそうなものと1人用メニューを中心としている。NE-M154では、これにスチーム機能用のメニュー「茶碗蒸し」「とろけるプリン」が加わっている。
さて、NE-T154・NE-M154とも、センサーは重量センサーのみを採用している。オートメニュー使用時に、食品の重さによって加熱時間や加熱の強さを調節する方式だ。最近では、コンパクトサイズのレンジでも、温度センサーや赤外線センサーを採用する製品が増えてきている。温度センサーは庫内の温度を測定するためのもので、赤外線センサーは食品の表面温度をダイレクトに測定するためのものだ。重量センサーだけのモデルに比べて、温度センサーや赤外線センサーを搭載したモデルの方が、より高精度だといえる。しかし筆者は以前、重量センサーだけを搭載したオーブンレンジを使用していたが、それほど料理に失敗したという記憶がない。もちろん、たいして凝ったものを作らない(作れない)というのも大きな理由だが、実際のところそのメニューを何度か使用すれば、「仕上がり調整ボタン」で何とかなってしまうというのが、個人的な意見だ。もちろん、いくつかの加熱方法を組み合わせたオートメニューを使用したり、そういった調整も含めて、すべてオートでやってほしかったりする場合は、より精度の高いセンサーを搭載したモデルを選ぶべきだろうが。
コンパクトサイズでもしっかりと料理をしたい人向け - 日立アプライアンス
日立アプライアンスは、このクラスに、「MRO-JS7(コンパクトヘルシーシェフ)」「MRO-JF6」の2モデルをラインナップしている。庫内容量は、MRO-JS7・MRO-JF6ともに22Lだ。本体サイズは、MRO-JS7がW483×D386×H340mm、MRO-JF6がW483×D386×H330mm。脚間寸法は、MRO-JS7がW326×D246mm、MRO-JF6がW377×D279mmとなっている。
MRO-JS7は独立した水ボイラーを装備する過熱水蒸気モデルで、MRO-JF6は角皿スチーム機能を搭載するモデル。いずれも庫内がフラットなタイプだ。レンジの最高出力はいずれも1,000Wだが、これはオート調理の場合の出力で、手動加熱の場合にはMRO-JS7とMRO-JF6とも最大800Wとなる。
オートメニューは、MRO-JS7が33種類で、MRO-JF6が28種類だ。MRO-JS7のオートメニューは、「鶏のハーブ焼き」「鶏のから揚げ」「ヒレカツ」「オーブン天ぷら」「焼き魚」といった過熱水蒸気で余分な脂や塩分を落とすヘルシー系と、「茶碗蒸し」「たいの塩釜焼き」といったスチーム調理メニューが充実している。MRO-JF6のオートメニューもMRO-JS7のものに近いが、MRO-JS7で過熱水蒸気調理だった部分は通常の焼き料理となる。なお、両機種とも取扱説明書は料理集と兼用になっており、80種類以上のレシピを収録する。オートメニューが充実した両モデルでは、搭載しているセンサーも、温度センサーと赤外線センサーの2種類だ。
この2製品は明らかに、真剣に料理を行う人向けのモデルだ。過熱水蒸気機能を搭載したオーブンレンジは、従来はファミリー向けの30Lクラスを中心としていたが、このところパーソナル向けサイズでも売り上げを大きく伸ばしており、MRO-JS7はその動きを牽引するモデルの1つとなっている。
--次回に続く--