このところ、LED電球が、節電のためのグッズとしてあちこちで取り上げられていますが、これからさらに注目を集めそうなのが、直管LEDです。直管LEDは、直管タイプの蛍光ランプと同じスタイルを持つLEDランプ。現在のところ、40型を中心に各メーカーが新製品を発表しています。40型は、一般の家庭ではまず使われることはないサイズで、あくまでもオフィスなどでの需要を見込んだ製品です。これらに混じって、20型のタイプもいくつか製品化されていますが、昨年行われた次世代照明技術展で話を聞いたところ、20型の直管LEDは、マンションなどの公共スペース(階段や通路など)に使用することを想定しているとのことで(同展示会に出展していた機器は、それらを意識した防水仕様となっていた)、やはり一般家庭をメインのターゲットとしたものではないようでした。

家庭用の器具に、そのまま使える直管LED「ELESHINING」シリーズ

これらの直管LEDには、いくつかのタイプがあります。まずは、既存の照明器具に何らかの加工が必要なタイプです。一般的な蛍光灯には、安定器と呼ばれる、点灯のための高電圧を発生させる装置が使用されていますが、直管LEDでは、点灯に高い電圧は必要ないので、これをバイパスするための加工を行うというものです。このタイプの直管LEDの多くは、ランプ内に電源回路を持っていて、100VのAC電源で動作します。既存の器具を使用するので、口金はG13/R17dタイプを使用することになります。続いて登場したのが、JEL801:2010で規定されている「GX16t-5」口金を使用するタイプです。これは、器具の交換、あるいはベースユニットの交換といった工事が必要になるのですが、上のタイプとは異なり、直管LED専用の口金を使用しているため、直管LEDを普通の蛍光ランプ用の器具に取り付けたり、またはその逆に直管LED用の器具に普通の蛍光灯ランプを取り付けたりといったトラブルを防ぐことができます。また、この方式では、電源は器具側にあるため、上の方式に比べてランプは軽量化しており、落下なども起こりにくくなっています。さらに、これら以外にも、G13/R17dタイプの口金をランプの保持のみに使用して、電源は専用のコネクタで供給するというタイプも提案されています(これも、間違えて取り付けた際にトラブルが発生しないうえ、重量面でも安全性が高い)。現在一般的な直管LEDは、だいたいこれらの3タイプということになります。

さて、ここからが本題です。今回どうしても紹介したかったのが、エレコムが発表した「ELESHINING」シリーズの直管LEDです。同シリーズは、上記の3つの方式とは異なる方式を採用したランプです。その方式というのが、家庭に普通にあるグロースターター式の器具に、そのまま取り付けるという方式です。既存のG13口金にランプを取り付けるだけで、とくに、器具を改造する必要はありません。このようなスタイルの直管LEDは、個人輸入が必要な海外メーカー製や、通販以外に流通ルートを持っていないメーカーの製品では、いくつか発表されていますが、普通に量販店にルートを持っているメーカーでは国内初となります。用意されているのは、20型の「LED-FL2008N01」と、15型の「LED-FL1508N01」の2種類。洗面所やキッチンなどによく使用されている20型15型というサイズ展開からもわかるように、ELESHININGは、家庭での使用をメインに考えた製品です。色は昼白色相当で、全光束は、20型が750lm、15型が690lm。一般的に、20型の蛍光ランプの全光束は1400lm程度、15型では1000lm弱程度です。しかし、全光束は、言葉の通りに、全方向に発する光の量です。ELESHININGシリーズでは、下方向に向かう光のみで、これだけの全光束ということになります。ちなみに、LED電球で白熱電球60W相当というと、全光束が810lm以上ということになっています。蛍光ランプの消費電力は白熱電球の約1/3ですので、20型の直管LEDで750lmというのは、ほぼ、蛍光ランプ相当の明るさということなのではないでしょうか。直下照度は、20型が226ルクスで15型が179ルクスです。消費電力は、20型が10Wで15型が9.5W。設計寿命は5万時間となっています。発売は5月下旬。価格は20型が9,870円で、15型が8,400円です。さて、確かにこのようなスタイルは便利なのですが、これをなぜ、照明器具やランプのメーカーではなく、PC用周辺機器やサプライ製品のメーカーであるエレコムが、という疑問を持つのはもっともなことでしょう。

同社によると、なにしろ後発なので、大手メーカーと競合するような製品、つまり、オフィスなどで使用される40型は難しいというのが、第一歩だったそうです。そこで目をつけたのが、大手メーカーが手がけていない家庭向けサイズの直管LED。また、器具に手を加えずに、そのまま使用できるようにした点に関しては、一般家庭向きの製品なので、とにかく手軽に付け替えられるような製品を目指したとのことでした。また、ELESHININGシリーズでは、ランプは、本体内に電源回路を持っており、背面には放熱版が取り付けられています。このようなスタイルの場合、ランプの重さが気になるところですが、40型に比べると小型の20型/15型では、新規格の口金を利用せずに、既存の口金を使用しても、強度を十分確保できるとのことでした。なお、ELESHININGシリーズが利用できるのは、あくまでもグロースタート式の照明器具のみです。同じ形状でも、インバーター方式の器具には使用できないので注意が必要です。

ランプには電源や放熱版などが使われているが、20型/15型なので重さ的には大丈夫

さて、今回発表されたELESHINING。一般家庭では、白熱電球よりも蛍光灯を使用している場所の方がやはり多いわけですし、そういった場所で手軽に取り替えが可能というのは、もしかすると、家庭での直管LED普及の起爆剤となるのではないでしょうか。