3月1日に松下電器産業から発売されたポット型ミネラル浄水器の「TK-PA10」。日本各地の名水を参考に、それに近い水質を実現するよう、ミネラル添加機能を持たせた製品です。実は、ミネラル添加の効果はどの程度のものなのか気になり、発売直後のの週末に近所の量販店を何軒か回って探したのですが、展示はあったものの在庫はないという状態で、今週になってやっと購入することができました。これによって、ブリタ「リクエリ」、02クリンスイピッチャー「CSP4」をすでに持っている筆者は、ポット型浄水器3台持ちという状態になってしまいました。

ポット型ミネラル浄水器「TK-PA10」

まずは、TK-PA10の準備です。TK-PA10は、最初に使う前にカートリッジの準備を行う必要があります。まずカートリッジタンクを本体に取り付けて、タンクの底まで水を注ぎます。続いて、水洗いして取り付け20分間置いておいたあと、いったん水を捨てます。次に、カートリッジタンクの上まで水を入れて濾過を行い、本体に溜まった水を捨てます。で、それが終わったらカートリッジと本体をすすいで、これで準備完了です。だいたい、02クリンスイと同じ行程ということになります。以前も書きましたが、この辺りの作業はブリタのほうが圧倒的に簡単です。

また、TK-PA10の濾過流量は0.06L/分です。前回測定したときに、ブリタに比べて圧倒的に濾過速度が遅かった02クリンスイの濾過流量が0.12L/分で、TK-PA10はさらにその半分ということになります。中空糸膜フィルターを採用すると、濁りなどが強力に除去できる反面、濾過速度はどうしても低下してしまうようです。TK-PA10の取り扱い説明書には、濾過には、使い始めは30分程度かかることがあり、その後数回使用すると、だんだん速度が安定してくると書かれています。筆者の環境では、最初の濾過でもそこまで時間はかかりませんでした。30分というのは、水質や気温など、よほど極端な悪条件での場合でしょう。まぁ、それでも遅いことには変わりありません。

さて、準備が終わったところで、TK-PA10で水道水を濾過してみます。1Lの水を入れて濾過をスタートさせると、濾過された水が1本の細い線となって、下のタンクに溜まっていきます。見た目の判断ですが、だいたい、ペーパーフィルター式の珈琲メーカーで珈琲を抽出しているときと同じぐらいといった感じです(水出しよりはさすがに速い)。最初のうちは比較適順調に濾過されていきますが、カートリッジタンクの水量が少なくなるに連れて、だんだん進みが遅くなってきます。結局、カートリッジタンクの水が空になるまでの時間は、12分45秒でした。とはいえ、スペックの0.06L/分よりは速く、0.078L/分程度は出ています(環境によってもスピードは変わってくるでしょうが)。

準備が完了したTK-PA10

水道水を1L注ぐ。ポットの上部が扉になっていてそこから注ぐ構造になっている

カートリッジタンクの水が減ってくると、かかる水圧も減るので濾過速度も低下する

濾過完了。ここまでで12分45秒

ミネラルの違いがわかるかどうか、同じ中空糸膜フィルターを採用している02クリンスイで濾過した水と比較してみます。見た目は、基本的に変わりありません。臭いにも違いはありません。肝心の味ですが、両方とも水の味です。ただ、注意して飲むと、TK-PA10のほうは、口に含んだときに、舌の表面に、ごく僅かに水以外の味が感じられるように思えます(が、気のせいかもしれない)。

本来なら、ブリタも比較対照としたいところですが、筆者が所持しているブリタは、クラシックカートリッジ搭載のリクエリです。現在販売されているのは、新型のマクストラカートリッジを搭載したモデルです。これもを用意して比較するというのが正しいのかもしれませんが、しかし、そうすると筆者はポット型浄水器4台持ち状態になってしまいます。また、現実問題として、筆者の使っている冷蔵庫のドアポケットには、ポット型浄水器は一度に2個までしか入れることはできません。CSP4の取っ手をはずせば、なんとか3個同時に押し込むことは可能ですが、この状態では、冷蔵庫のドアが閉まりません(ドアポケットの一列が全部ポット型浄水器というのは、さすがにどうかと思う)。

こんな冷蔵庫はイヤだと思う

以上のような感じで、ミネラルの効果は微妙ですが、中空糸膜フィルターを採用したポット型浄水器に新しい選択肢ができたのはよいことでしょう。ただし、活性炭による速い濾過を取るか、それともより強力な不純物の除去能力を取るか、判断の基準はユーザーによって違ってくると思われます。

ポットの出来としては、CSP4と同様に水を注ぐときの出もよいうえ、注ぐときに蓋が落ちる心配がないというのが安心です。そしてなにより、TK-PA10には本体から飛び出す取っ手が無いため(CSP4も外すことはできるのですが)、冷蔵庫のドアポケットに入れた場合でも邪魔になりません(2Lタイプには取っ手が付いています)。この辺りはさすがに冷蔵庫も作っているメーカーの製品と言えるでしょう。