「2015年新生活、家電はどう選ぶ?」では、新生活向けの家電製品を数回にわたって紹介していく。また、どういう基準で選べば失敗しないかについても簡単に説明していこう。1回目は、冷蔵庫の選び方についての話だ。

一人暮らしならどのサイズを選ぶべき?

冷蔵庫を選ぶ際にポイントになるのが、サイズ、消費電力、動作音だ。

どのサイズの冷蔵庫が適しているかは、キッチンの冷蔵庫設置スペースと、その人のライフスタイルで決まってくる。本格的に自炊を行う場合、自炊も時々するが外食中心の場合、まったく自炊しない場合で、それぞれ必要なサイズは異なる。

170Lクラス以下の小型の冷蔵庫は、耐熱100度の天板を採用しているモデルが多い。写真はシャープの「SJ-D14A」

まったく自炊をするつもりがないなら、冷蔵庫はなくてもかまわないくらいだろう。せいぜい、飲み物を冷やせればOKなので、1ドアタイプの冷蔵庫でも問題はない。時々自炊をするなら、内容積が140Lはあったほうが安心だ。120Lクラスでも問題なさそうだが、冷凍室が狭くなり、作り置きなどの際に不便になる。

140Lクラスと170Lクラスでは、冷凍室のサイズはほとんど同じくらいだ。本格的に自炊をするなら170L以上のサイズが望ましいが、より大きな冷凍室がほしい場合は、200L以上のモデルを選択したほうがよいだろう。ただし、天板が耐熱構造になっているのは170Lクラスまでなので、冷蔵庫の上にオーブンレンジを設置したければ170Lクラスまでのものを買う必要がある。

200L以上のクラスになると、3ドアのモデルも選ぶことができる。野菜の長期保存機能に魅力を感じるならばこちらのタイプがオススメだ。また、このクラスには自動製氷などが使える高機能モデルもある。

大型冷蔵庫のほうが、年間消費電力量が少ない場合が多い。写真のパナソニック「NR-F510V」は、定格内容積501Lで、年間消費電力量は200kWh/年

冷蔵庫は年間の消費電力で選ぶべし

冷蔵庫は1年中動作させておく機器であるため、消費電力は非常に重要だ。資源エネルギー庁がまとめている「家庭のエネルギー消費の実態」によると、家庭で消費される電力のうち、冷蔵庫が占める割合は14.6%。エアコンの7.4%、照明器具の13.4%などを抑えて、家庭内の電力消費のトップとなっている。一人暮らしでは他の機器の電力消費が少なくなるぶん、多人数世帯に比べて、冷蔵庫が消費する電力の全体に占める割合は高くなる。

冷蔵庫は、庫内の温度が一定以下に冷却されると、それ以上は冷やさない。つまり、電力の消費がほとんどなくなる。コンプレッサーが動作している、すなわち冷却している時の電力消費量で比較するよりも、年間消費電力量で比較したほうが実態に即した結果になるのだ。年間消費電力量の少ないモデルを選ぶことが一つのポイントになる。

140L~170Lクラスの冷蔵庫の年間消費電力量は300kWh/年前後のものが多い。それに対して500Lクラスの冷蔵庫の年間消費電力量は200kWh/年前後のものが中心だ。内容積が大きければ消費電力も大きい、というわけではない。

この差は断熱材の量や性能、センサーによる運転の最適化などが影響しており、コストをかけているモデルのほうが実は効率がいい。概して、定格内容量200L台~300L台の冷蔵庫が最も年間消費電力が高く、100L台のパーソナル向け冷蔵庫でもそれほど大きな差はない。

気になる冷蔵庫の動作音

最後に動作音についてだが、現在のパーソナル向け冷蔵庫の動作音は、昔に比べるとかなり改善されてきている。多くの冷蔵庫は動作音が25dB(目安として、深夜の郊外が30dB程度だとされている)以下で、ワンルームでは多少気になるかもしれないが、ドアを隔てたキッチンに設置しているなら、それほど気にならないはずだ。

なお、冷蔵庫には動作音の表示が義務付けられていない。そのため、メーカーによっては冷蔵庫の動作音を公開していない。ただし、これには理由がある。現在の冷蔵庫のほとんどが採用しているインバーター制御では、コンプレッサーの動作が可変となる。日立アプライアンスでは、動作音は状況に応じて変化し、「いつの動作音を表示するべきか」という基準がないため非公開としているとのことだ。