かつて、空気清浄機が注目される季節は、花粉が多く飛来する春が中心となっていた。しかし近年では、PM2.5の危険性が知れ渡るようになり、空気清浄機は年間を通して注目される製品となってきている。

シャープのプラズマクラスター加湿空気清浄機「KI-DX85」

家庭用の空気清浄機は大きく2つのタイプに分類される。1つは、ファンとフィルターを使用するもの。ほとんどの家庭用空気清浄機がこのタイプだ。そしてもう1つが、対象となる粒子を帯電させて電極に集める電気集塵式だ。かつては電気集塵式のみを使用したファンレスの空気清浄機が、パナソニックなどからリリースされていた。しかし、ファンレスではやはり広範囲の粒子の吸着には限界があったのか、最近では単体での製品化は少なくなっている。

電気集塵式は、粒子を静電気でまとめてキャッチするため、細かな粒子でも集塵できるというメリットがある。そのため、一部のメーカーでは、ファンとフィルターを使用する空気清浄機に電気集塵式の機能をプラスした製品をリリースしている。

ここでは、1番目のタイプの空気清浄機について取り上げていきたい。このタイプの空気清浄機は、室内の空気をフィルターに通すことで、そこに含まれているハウスダストや微粒子を取り除く仕組みになっている。掃除機に近い構造だ。かつて三洋電機が発売し、現在はパナソニックが販売している空間清浄サイクロンクリーナー「airsis」シリーズは、この両方の機能を併せ持つ製品だ。

パナソニックの空間清浄サイクロンクリーナー「airsis MC-SXD430」

風量だけでは空気清浄機の性能は測れない

空気清浄機の性能はどのようにして見極めたらよいのだろうか。最近の空気清浄機には、イオン発生機能や加湿機能などが組み合わされているものが多いが、本稿ではそれらについては置いておき、純粋に空気清浄能力についてのみ考えてみる。

仕組みが似た機器である掃除機については、いくつかの指標がある。なかでもよく知られているのは「吸い込み仕事率」だ。これは、搭載されているファンモーターのパワーを示すもので、大きければ大きいほど高性能とされている。

空気清浄機の場合でも、ある程度これに近い比較は可能だ。ほとんどの空気清浄機では、運転時の風量を公開されている。単位は「m3/分」で、1分間に何立方メートルの空気を吸い込むことができるかを示している。この数値が大きいほど、多くの空気をフィルターに通すことが可能で、家庭用の空気清浄機では、9m3/分程度のものまで存在するようだ。

しかし、この表記だけで空気清浄機の性能を判断することはできない。風量だけでは、フィルターの性能の違いが分らないからだ。コーヒーのフィルターに水を注ぐと、流れ落ちるまでにある程度時間がかかる。一方、ザルに水を注ぐと、流れ落ちるのは一瞬だ。どちらの動力も重力の「1G」だ。

空気清浄機でも同様のことが起こる。フィルターの目が粗ければ、モーターのパワーがそれほど大きくなくても、風量を増やすことができる。しかし、それでは実際の空気清浄能力は高くはならない。一方、フィルターの目が細かければ、より微細な粒子をキャッチすることができるが、そうすると、風量も減ってしまうことになる。

では、目の細かいフィルターと、より強力なモーターを組み合わせたらどぷなるのだろうか。以前、家電メーカーで空気清浄機を開発している方に話を聞いたことがあるのだが、「騒音が大きくなる」というのがその答えだった。あまりに騒々しい空気清浄機は部屋の中には置きたくない。

いずれにせよ風量は、空気清浄機の性能の一部を示す目安でしかない。では、全体的な性能を示すのは何か。それが「適用床面積の目安」と「フィルター寿命」だ。この2つつについては、長くなるので次回に回したいと思う。

次回に続く