灯油価格が上昇している。資源エネルギー庁の石油製品価格調査によると、2013年12月18日時点で灯油の店頭小売価格は全国平均で1,858円。昨冬のピーク時の価格である1,826円を既に上回っている。なお、昨冬にピークを迎えたのは2月18日と2月25日の調査だ。

効率のよい暖房を……ということになると、どうしてもエアコンを中心とした話になってしまうが、暖房に求められるのは効率だけではない。今回は、効率の件はひとまず置いておいて、快適性を中心とした話をしていきたい。

電気で快適な暖房を行うのならオイルヒーターは有力な選択肢

エアコンでも、センサー技術や気流制御などにより快適な暖房が行えるようになってきてはいる。しかし、電気を使用した暖房で快適性を追求するのならば、オイルヒーターは有力な選択肢だといえるだろう。

「デロンギ デジタルラディアント オイルヒーター」

オイルヒーターは風を起こさないため、ハウスダストを巻き上げることがない。熱くならず、やわらかな暖かさを届けてくれるオイルヒーターの特徴は、エアコンにはないものだ。しかしオイルヒーターは、部屋の広さや気密性に対してセンシティブな暖房器具でもある。

オイルヒータの場合、設定温度にまで達するとヒーターの電源がオフになるので、1,200Wのモデルでも、常に1,200Wの電力を消費し続けているというわけではない。しかし、部屋の環境に合っていないオイルヒーターの場合、常にヒーターがフルパワーで稼動し続けているのに、さっぱり暖かくならないということにもなりかねない。

オイルヒーターで暖められる部屋の広さの限界は、メーカーが公表している適用畳数とユーザーとしての感覚が必ずしも一致するわけではない。だが、一応の目安は「流れる電流×0.8(畳)」程度のようだ。1,000W(10A)のオイルヒーターならば「10A×0.8(畳)」で8畳、1,500W(15A)のオイルヒーターならば12畳程度までは、なんとか暖められる。ただし、これは気密性の高い部屋の場合で、部屋によってはこの半分の広さでも熱量が足りない場合がある。ここがオイルヒーター選びの難しいところだ。

部屋の環境に合ったオイルヒーターを使用している場合、オイルヒーターの電気代は、世の中で言われているようにひどいものではない。筆者は、冬場の暖房をオイルヒーターのみで行っていた時期があった。しかし、エアコンを使用していた時期に比べて電気代が極端に高かったという記憶はない。せいぜい、2~3割程度の差でしかなかったはずだ。それと引き換えに得られる快適性を考えれば、十分に納得できるものだと思うのだが……。

表面が熱くならないパネルヒーターはオイルヒーターに近い使い勝手

パネルヒーターには、手で触れないほど表面が熱くなるものと、50°C程度までしか上がらないものの2種類の製品が存在している。両方ともパネルヒーターとして販売されているが、使い勝手や安全性でいえば、前者は電気ストーブに近い製品で、後者はオイルヒーターと同様に考えてよい製品だ。

オイルヒーターは、部屋を暖める前に内部に詰められたオイルを温める必要がある。比熱の高いオイルを使用していないパネルヒーターは、オイルヒーターに比べると暖かくなるのが速い。インテリア的にはオイルヒーターのほうが優れているのだが、快適な暖房という面では、パネルヒーターもなかなか捨てがたい製品だ。

やはり火が一番快適なのでは……?

電気以外にも視野を広げると、火を使った暖房がやはり快適だ。直接感じることができる暖かさがまったく違う。効率や手軽さを考えれば石油ファンヒーターということになるのだが、反射式や対流式の石油ストーブも快適さという面では捨てがたい。燃焼時に電気を使用しないため、停電になっても使用できるというメリットもある。

しかし、灯油のニオイが苦手という人もいるだろうし、賃貸物件では、灯油の使用が禁じらている場合もある。そのような環境では、木炭の使用を考慮してみるというのはどうだろうか。

室内用の木炭ならば、燃焼時にいやなニオイは発生しない。また、賃貸物件で木炭の使用が禁じられているという話を筆者は聞いたことがない。燃料としての木炭は、灯油に比べ危険性が低く、扱いも楽だ。注意すべき点はせいぜい素手で触ると手が黒くなる程度だ。また、いまどき木炭を使う人間などそれほどいないという点も、禁止されていない理由のひとつだろう。

室内で木炭を使用するということになると、火鉢を使用するのが一般的だ。なかなか風情があってよいし、ちょっとした食材を焼くこともできる。ただし、使用するにはある程度の慣れが必要だ。また、部屋が暖かくなるまでに、オイルヒーター以上に時間がかかる。炭火を起こすのに20分程度、火鉢に炭を移して部屋が暖かくなるまでにさらに30分以上という感じだ。

部屋に火がある生活はなかなか快適

なお、火鉢には、石油ファンヒーターや石油ストーブなどとは異なり、一酸化炭素を減少させる仕組みはないので、換気にだけは注意する必要がある。