8月もあと10日ほどで終わり。暦の上ではディセ……もとい暦の上では季節は秋なのだが、まだまだ猛暑日が続いており、エアコンがフル回転しているという家も多いだろう。エアコンの効率的な運転のためには、室内機に装備されているフィルターのクリーニングは欠かせない。

フィルターのお手入れしてますか?

室内機は、部屋の中の空気を取り込んで、熱交換器を通すことによって温度を下げ、吹き出し口から室内に戻すという構造になっている。熱交換器は、細かなフィンが集まったもので、そのなかのパイプに冷媒(現在は新冷媒と呼ばれる代替フロンが主流)が通っている。フィンにホコリが詰まると、熱交換器の効率が低下するので、その前にフィルターを置いてホコリを除去する。それが室内機のフィルターの役割だ。

フィルターにホコリがたまると、抵抗が強くなり、風の流れも悪くなる。室内機の送風ファンにかかる負担も増え、同じパワーでファンが回転していても、送られる空気の量は減少し、部屋の温度を効率良く下げることができなくなるのだ。このような理由から、フィルターの定期的なクリーニングは欠かせない。

最近の家庭用エアコンでは、フィルターのオートクリーニング機構が搭載されている機種が増えてきている。しかし、メーカーの担当者に聞いたところ、エアコンの標準的な買い替えサイクルは11年だそうだ。さらに、フィルターのオートクリーニング機構が搭載されているエアコンはミドルクラス以上で、例えば、低コストであることが優先される賃貸物件に据え付けられているエアコンなどでは、そういった機構が搭載されていることは少ない。全体的にみると、まだまだフィルターのオートクリーニング機構を装備していないエアコンは多いといえるだろう。

ミドルクラス以上には標準的なフィルターのオートクリーニング機構だが、スタンダードモデルには搭載されていない場合が多い。例えばパナソニックでは、X/SX/EXシリーズのルームエアコンには「フィルターお掃除ロボット」が搭載されているが、T/J/Fシリーズでは非搭載だ(写真はFシリーズ)

エアコンの取扱説明書には、室内機のフィルタークリーニングは、「クリーナーで汚れを取る」「汚れがひどいときには水洗いをする」と書かれている場合が多い。しかし、フィルターが乾くまでエアコンが使えない水洗いは、この時期、なるべくならば避けたいところだ。

フィルターの手入れに適した掃除機

さて、ここからが本題だ。キャニスタータイプのクリーナーでは、ハイグレードなモデルには、さまざまなブラシやアタッチメントが付属しており、フィルターの掃除も楽にこなすことができる。ところが、スタンダードクラスのモデルでは、床用のヘッドと隙間ノズル程度しか付属していない場合が多い。床用のヘッドも隙間ノズルも、エアコンのフィルター掃除には不向きだ。

床用のブラシや隙間ノズルは、エアコンのフィルター掃除には向いていない

一方、スタンド型のクリーナーでは、標準でさまざまなブラシが付属している場合が多い。以前にこのコラムで「新生活にピッタリ(?)なスティック型クリーナー」として紹介したシャープの「EC-ST20」の場合、先端にブラシが付いたホースノズル、ホースブラシの2種類のブラシが装備されている。このホースブラシが、フィルターの掃除に非常に使いやすい。同じようなブラシを使える、東芝の「VC-Y70C」、日立の「PV-SU3」でも、おそらく効率的なフィルター掃除が可能だろう。

ホースブラシで、効率的にエアコンのフィルター掃除を行うことができるスタンド型クリーナー(写真はシャープの「EC-ST20」)

しかし、エアコンのフィルターを掃除するためだけに、クリーナーを新規導入するとのはちょっと……と、二の足を踏む人も多いだろう。要するに、ブラシの問題だけなのだ。自分が使用しているクリーナーに床用のヘッドと隙間ノズルしか付属していない場合、それよりも上のグレードの製品に付属しているブラシを、部品として取り寄せてしまうというのもひとつの方法だ。カタログや取扱説明書はWeb上から閲覧できる場合が多いので、部品の型番などは、それを参照すれば良いだろう。

また、部品としてではなく、最初からオプションとして販売されているブラシを購入する方法もある。下の写真は、近所の量販店に置かれていたものだ。

東芝がクリーナーのオプションとして販売しているブラシ「VJ-M1」。筆者は740円で購入した

本来の用途はAV機器のクリーニング用ということで、毛が少々長く柔らかい。また、キャニスター式のクリーナーでは、延長管の長さがあるため、手元にブラシがあるスタンド型クリーナーほどの使いやすさではない。しかし、床用のヘッドや隙間ノズルに比べると、効率的にフィルター掃除を行うことが可能だ。

床用のヘッドや隙間ノズルに比べると、効率的にフィルター掃除を行うことができる