夏に多い電気製品のトラブルのひとつが、熱の影響によるものだ。多くの家電製品は日の当たる場所に設置して使うようにはなっていないし、そうでない場合でも極端に高温の場所では、動作が不安定になることがある。
あまりにも高温になる場所では、ユーザーのほうが先に不快になってしまうので、エアコンを入れるなり、何らかの暑さ対策が行われると思う。ところが、家電製品だけが高温になってしまう場合がある。それがホコリの影響だ。
デジタルレコーダーのファンに溜まるホコリにご注意
家電製品、なかでもPC的な要素を持った機器の多くには、クーリングファンが搭載されていることが多い。例えば、たいていのデジタルレコーダーにはクーリングファンが搭載されている。
クーリングファンは、外気を強制的に取り入れて機器の熱を下げるためのものだ。クーリングファンの空気取り入れ口がふさがれてしまうと、本体内に熱がこもってしまい、動作が不安定になってしまう場合がある。
デジタルレコーダーがテレビラックの中に設置されている場合、ホコリの影響は受けにくい。しかし、部屋の壁際に直置きされていたりすると、クーリングファンが多くのホコリを吸い込んでしまう可能性がある。
何しろ、壁際はホコリが集まりやすい場所だ。掃除機を定期的にかけていても大丈夫とは言い切れない。掃除機は床の上のホコリは吸い取るが、掃除機をかけるのは週に何回だろうか。それ以外の時間、ホコリはクーリングファンに吸い込まれてしまうことになる。
当然のことだが、機器のなかのホコリは、床に掃除機をかけても取り除くことはできない。ホコリは機器の中に溜まったり、ファン自体に付着したりする。もちろん、この現象は短期間に起こるのではなく、数年をかけて起こることだ。なお、家電製品なので、いきなり燃えてしまうようなことはないとは思うが、ホコリがあまりにも溜まると、熱によって動作が不安定になることがある。
ホコリが溜まってしまったらどうするか?
そういった場合、修理を依頼するのが一般的だ。デジタルレコーダーの場合、たいていは出張修理になる。依頼してから修理が行われるまでの間はレコーダーを使用できない。それよりも小さい機器の場合、ショップやサービスセンターに持ち込んで修理依頼という形になるが、それも日数がかかる。
トラブルの原因がホコリだけならば、ユーザー個人でもある程度のことはできる。ただし、どの方法にしても、別の新たなトラブルを引き起こす可能性がある。また、保証期間中の場合、ユーザーが機器に手を加えると保証の対象外となってしまうこともある。あくまでも自己責任でお願いしたい。
さて、一番簡単なのが、吸い込み口から掃除機で吸い込むというものだ。ただし、あまり効果的ではないうえ、非常に強力な掃除機を使用した場合には、配線へのダメージなどといったトラブルの元にもなりかねない。
効果的なのは、機器のケースを開けて、中にたまったホコリやファンに付着したホコリを掃除機で取り除くという方法だ。どのネジを外せばカバーを開けられるのかが分かるような機器の場合、試してみる価値はあるだろう。もし、開け方がわからないケースの場合には、その段階で手を出すのはあきらめるべきだ。
生兵法は大怪我のもと
可能ならば、ファンも取り外して掃除してしまったほうがより効果的だ。ファン自体は、何箇所かのネジで止められているはずだ。また、ファンの配線はたいていの場合、基板上に設置してあるコネクタに接続されている。この2つを外せばファンを取り外すことが可能だ。
だが、ここで重要なのは、家電製品の多くはユーザーにこういったことをさせるようにはできておらず、また、基本的に構造が公開されていないブラックボックスだという点だ。そのため、決して余計なことをしてはならないない。関係ないコネクタを外して元に戻せなくなってしまうといったことは絶対に避けなければならない。また、使用されているコネクタの強度も、PCに使用されているものより弱い場合がある。力をかけすぎて壊してしまった場合、個人で修復することは難しい。
取り外したファンをクリーニングして、再び組み付け、元通りコネクタを差し込んでふたを閉めれば終了だ。これで動作が安定しない場合、トラブルの原因はホコリによる影響だけではないことになる。一般ユーザーが手を出す領域ではないだろう。