掃除に洗濯にと幅広く使える「重曹」。この連載では、重曹を使って住まいを快適にするテクニックを紹介する。今回は、油性の「クレヨン」や「油性ペン」を消すときにも重曹は使えるのか検証してみた。これまで、さまざまな汚れ落としに有効だった「重曹」だが、油汚れとは異なる種類の汚れにはどれほどの効果を発揮するのだろうか。
フローリングのクレヨン落書きは重曹で消せる!?
「子どもが大人しくお絵かきをしているな」と安心していたら、目を離したすきに、床や壁、家具などにも"お絵かき"が広がっていた……。小さな子どもを持つ人の中には、このような経験がある人もいるのではないだろうか。
今回、「重曹」で挑戦するのは、フローリングや家具などに描かれてしまったクレヨンや油性フェルトペンの落書きである。これまで頑固な油汚れを落としてきたのだから、油性のクレヨンやフェルトペンも落とせるのではないか、と推測しているのだが、果たしてどうだろうか?
最初に試すのは、フローリングに描かれたクレヨンの落書きである。床に画用紙を広げて描いていると、勢いづいて紙からクレヨンがはみ出してしまう、というのはよくやりがちだ。
重曹を水で溶かした「重曹スプレー」(→作り方はこちら)を落書きにスプレーし、ボロ布で拭き取ってみる。これは、あっけないほどすぐに落ちた。
もしかするとクレヨンの色によって落ち方が異なるのかもしれないと、白や茶色、ぐんじょう色などさまざまな色でも試してみたが、すべて軽くこするだけで落ちた。冷蔵庫や合板の家具などでも試してみたが、クレヨンの汚れはどれも重曹スプレーだけできれいに落とすことができた。
油性ペンには思わぬ苦戦?
続いては、油性ペンの汚れに挑戦。「クレヨンが軽く落ちたのだから油性ペンも大丈夫だろう」と楽観視し、大胆にも筆者が直接フローリングに描いてみた。重曹スプレーを吹きかけて拭き取ってみると……。あれ? あまり落ちていない……。
では、重曹クリームクレンザーではどうだろうか? 重曹クリームクレンザーは重曹と水・液体せっけん・酢を混ぜてペースト状にしたもので、これまでも数々のしつこい油汚れを落としてきた(→作り方はこちら)。
スポンジにクリームクレンザーを付け、ちょっと力を入れてこするとだんだん落書きが落ちてきた。ホッとしたものの、きれいなぞうきんで拭き取ると、うっすらと落書きのあとが……。目立たなくはなったが、完全に落としきれたとは言いがたい。
次は、カラーボックスの側面に描いてしまった油性フェルトペンの落書き落としに挑戦。フローリング同様、重曹スプレーでは全く歯が立たない。
重曹クリームクレンザーでこすると、汚れは薄くなってきたが、フローリングと同じように完全に落書きを落とすことはできなかった。それどころか、スポンジでこすっているうちにカラーボックスの塗装がはがれてきた部分もあった。クレンザー効果もある重曹の細かな粒子が、カラーボックスの薄い塗装をはがしてしまったのだろうか。
金属面の油性ペンにはお手上げ!
まだ挑戦は続く。わが家には、金属製の家具に描かれた油性フェルトペンの落書きがある。「ツルツルした面だから楽勝」と思い重曹スプレーを試してみたのだが、予想に反して全く汚れが落ちてくれなかった。
そこで、今度は重曹クリームクレンザーを不織布タワシに付けてこすってみた。白いクレンザーが油性フェルトペンの色に染まっていく。汚れは少しずつ落ちているようだ。
そうしてこすり続けること5分。健闘むなしく、油性フェルトペンの色が若干薄くなったと感じる程度で、落書き自体はくっきりと残ってしまった。
壁紙の落書きは大変なことに……
連載のためとはいえ、家中のあらゆるところに落書きを残してしまった筆者。このままでは家族にしかられてしまう……。しかし、まだ次の難関「壁紙に描いたクレヨンの落書き」が残っている。果たしてこれは、落とすことができるのだろうか。
思わぬところでぶつかった重曹の限界に焦りを感じ、冷や汗がタラリ。「これまで頑固な油汚れも落としてきたではないか」と期待を込め、重曹スプレーをスプレーしてみる。しかし、なんということだ! 落書きが落ちるどころか汚れが広がるばかりで、余計に汚くなってしまったではないか!
もはや取り返しがつかない状態まで汚れてしまった壁紙。「重曹クリームクレンザー」に望みを託し、歯ブラシに付けてこすってみた。汚れがどんどん浮き上がって来て、これはいけるかも、と期待が高まる。
かたく絞ったぞうきんで拭くと、落書きがかなり薄くなっていることが確認できた。しかし、壁紙の凹凸部分に入り込んだクレヨンまで落とすことはできなかった。はじめに重曹スプレーを使って汚れを広げず、最初から重曹クリームクレンザーを使っていれば、もしかしたら汚れ落ちは違っていたかもしれない……。
プラスチック面には有効
これまで、換気扇やガスレンジなど頑固な汚れ落としに抜群の存在感を見せてきた重曹。クレヨンはともかく、油性ペンの汚れにはかなり分が悪いようだ。落胆しながらも、最後にプラスチックに描いた油性ペンの文字消しに重曹クリームクレンザーを使ってみた。壁紙に描いたクレヨンの反省を生かし、スプレーで様子見はしない。
木製品や金属とは異なり、プラスチックに描いた油性ペンの汚れはスルッと取れた。目を近づければ、うっすらと描いた文字は読み取れるが、気にならない範囲だろう。
プラスチックに描かれた油性ペンの落書きは重曹で消せる
今回の検証で、重曹はプラスチックに描いた油性ペンの汚れや、フローリングや金属、木製品などに描いたクレヨンの汚れには有効であることがわかった。壁紙や塗装した金属製品への落書き消しには、かなり課題が残る。万能と思われた重曹だが、得手不得手があるようだ。
なお、今回、金属の塗装面に油性ペンで描いた猫の落書きだが、「ピカール」という液状の金属磨きで消すことができたことを補足としてつけ加えておきたい。
※今回試したクレヨン・油性ペンの落書きは、書かれてから1日以上経過した状態のもの