留萌本線留萌~増毛間は日本海沿岸を走り、車窓の風景も魅力的。しかし利用者の減少が著しく、災害の多い区間で多額の防災工事費がかかることも理由となり、鉄道事業廃止が決まった。最終運行日は今年12月4日を予定している。

留萌本線瀬越駅に停車中のキハ54形500番台。529・504号車の2両編成

途中の瀬越駅は、留萌市の市街地から徒歩圏内にありながら、目の前に海が広がり、黄金岬や海水浴場も見える風光明媚な駅。ここで列車を待っていると、しばらくして増毛発深川行の普通列車がやって来た。キハ54形500番台の2両編成で、先頭の529号車のみ、車体側面上部に赤帯が施されている。留萌~増毛間の廃止が迫っていることもあり、車内は鉄道ファンらが多く乗っている様子だった。

キハ54形は国鉄時代末期に投入されたディーゼルカーで、500番台は二重窓を採用した酷寒地向けの車両として登場。かつて宗谷本線を走った急行「礼文」に使用された車両もあり、529号車もそのうちの1両だったという。現在は急行用・一般用の区別なく運用され、留萌本線の他に宗谷本線・石北本線・釧網本線・根室本線(花咲線)などで快速・普通列車に使用される。鹿笛の設置にともない、車体前面にあったタイフォンは撤去されている。

瀬越駅に到着する増毛行の列車。奥に見える黄金岬は夕日で有名だという

駅付近に海水浴場もあり、夏は多くの海水浴客でにぎわう

JR北海道の路線は今後、利用者が極端に少なく、優等列車の運行もないローカル線を中心に廃止が相次ぐことが予想される。留萌本線留萌~増毛間に続き、8月17日に石勝線新夕張~夕張間(夕張支線)の廃止についても発表された。他にも災害による運転見合わせが続く日高本線鵡川~様似間、今年3月のダイヤ改正で1日1往復のみの運行となった札沼線(学園都市線)浦臼~新十津川間など、今後が気になる北海道のローカル線は多い。