「婦人公論」2月7日号

婦人公論の「"不機嫌のタネ"何ですか」

2月7日号の「婦人公論」には、「ご機嫌な毎日を送る心の持ち方」という特集がありました。内容は、「心に波風を立てず、いつも笑顔で過ごしたい」けれど、そうはいかないことも多い。だから、そのための秘訣をさぐるというものでした。

特集では、まずは「"不機嫌のタネ"何ですか」ということで、その原因を探ります。100人のアンケートの結果、不機嫌のもとになっている存在のトップは夫、そしてご近所、職場の上司・同僚、姑、実母へと続きます。一緒に時間を過ごす人が挙がるのはいた仕方ないことかもしれません。

次のページでは、こんな"不機嫌のタネ"に対しての対処法を、美輪明宏さんや片桐はいりさんが答えてくれています。

美輪さんはというと、蓄積された経験値を生かして、もし困難にぶつかったときも「前にこういうことがあった。あのときだってなんとか切り抜けたんだから、今度も解決するに決まっている」と思えばいいのです。とアドバイス。

また、片桐さんは、「こうあるべき」という考えを手放したら、本当に楽になりました。「これでいいのよ」と、若い頃の私に教えてあげたいくらいです。とのことで、特に今、不機嫌というわけでもない筆者でも、読んでいて心が楽になれたような気がしました。

このほか、精神科医の和田秀樹さんのアドバイスは、「おしゃれしよう、恋しよう」「ダイエットは厳禁!」「新しいことにチャレンジする」「自分のためにお金を使う」「自分が弁護士になったつもりで、時事ネタを分析してみる」「人に優しくする」などなど。和田さんのアドバイスは、基本的には、自分の欲望に忠実にすることが大切だけど、一人ではなく誰かと共有することで、より強烈な「快」を得られるということでした。

VERYの「いつだって機嫌のいい奥さんでいる秘訣」

そういえば、「機嫌よく暮らす」という記事は、ほかの雑誌にもありました。「VERY」の2013年8月号に「いつだって機嫌のいい奥さんでいる秘訣」という特集があったのです。

こちらの特集のコンセプトは「できることなら、いつも笑っている機嫌のいい自分でいたい」そうしていたら「家族だって平和だし、まわりにも好印象だし、自分が自己嫌悪したりイライラしないでいられる」はず。でも、頑張っていると、いつの間にか「険のある人」になっていることもある。そんな自分にならないための秘訣を探そうというものでした。

特集の発端は「婦人公論」と同じと言っていいでしょう。でも、「VERY」の解決法はというと、「機嫌よくいられる服」=元気が出そうなカラーや、楽ちんな服、汚れてもイライラしない洗濯のしやすい服を着る、というものから、疲れて見えないように美容を頑張る、ストレス解消法を持つというものまでが紹介されていました。

「VERY」が提唱するストレス解消法はというと、「趣味は掃除」「主人と夜お茶時間を持つ」「フラワーショップに行く」「身の回りを無心でピカピカにする」「育児日記をつける」「黙々とアイロンをかける」などなどで、とにかく「無心になる」ことがフィーチャーされているような……。

自家発電して笑顔でいるか、無理しないで好きなようにするか

自分の欲望に忠実になろう、経験値を生かして、「こうでないと」を捨てよう、そしたら優しくもなれるよ! という「婦人公論」と、気分のよくなる服を着よう、煩悩を捨てて没頭しよう、そしたら笑顔になれるし、みんなから「剣がある」って言われないよ! という「VERY」。

もちろん、このふたつを比較したら、「VERY」のほうに無理がある! しんどい! と思ってしまいそうですが、「VERY」と「婦人公論」の読者では、生まれ育った環境や時代背景も違います。いちおう「VERY」の読者の年齢層にまだギリギリ近い自分は、「VERY」のアドバイスの通りに「機嫌がよくないのは周りのせいだけど、結局は自己責任」と割り切って頑張るのもしんどいなと思いつつも、「婦人公論」のように、欲望を解放したら、すなわち心が安定するとも言いきれないのではないかと考え込んでしまいました。

自分で自家発電して笑顔でいるか、自分に無理しないで好きなようにするか、どちらの対処法も、良い部分もそうでない部分もありそうです。

<著者プロフィール>
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。