起動チェックとBIOS設定

前回までの作業で、ハードウェアとしてはPCは完成した状態になっている。今回はその先に行わなければならない作業を進めている。まずは、起動確認である。PC背面のIOパネルに、キーボード & マウス、ディスプレイなどのケーブルを接続し、電源を入れてみよう。

まずは各種ケーブルの接続。電源、キーボード、マウス、ディスプレイは必須。背面コネクタの脱着は面倒なので、LANケーブルやオーディオケーブルなども、この段階で接続してしまったほうが良いだろう

正しく起動できれば、マザーボードに設定されている起動画面が表示されるはずだ。もし、この画面が表示されない場合は、何らかのトラブルが起きている。ディスプレイケーブルの確認などの簡単な再チェックで直らない場合、最悪、いろいろなパーツを差し直して確認しなければならないこともある。一つ一つ丁寧にチェックしていこう。

今回利用するのはASUSTeKの22型ディスプレイ「VK222H」。内蔵するWebカメラを利用するためには、USBケーブルも接続する必要がある

PCを起動すると最初に表示される画面。これはASUSTeK独自の画面

PCが正しく起動した場合、まず最初に行うべきはBIOS設定画面を起動することである。BIOSとはマザーボードが実装しているPCのごく基本的な入出力を制御するもので、この設定画面から、マザーボードに搭載されている各種デバイスの動作設定など、さまざまなことを行えるのだ。

BIOSのセルフチェック画面が表示されるマザーボードも多い。初期画面で特定のキーを押すとBIOS設定画面を呼び出せる

BIOS設定画面は、マザーボードの初期画面が出ている間に特定のキーを押すことで起動させることができる。例えば、今回使用しているASUSTeKのP5Q-Eの場合は[Del]キーを押すと起動できる。多くのマザーボードは[Del]キーを押下して起動するが、Intel製マザーボードは[F2]キーを利用しているし、同じメーカーでも製品によって異なることがある。この起動方法は画面の表示を確認するか、マニュアルで確認するようにしよう。

BIOS設定の初期画面。ここで、日付と時刻を確認。1時間ずれた状態(台湾時間)で出荷されているマザーもあるので要注意だ。ここでHDDや光学ドライブが正しく認識しているかも確認できる

CPUが正しく動作しているかを確認。CPUのスペックどおり動作していない場合は、BIOSが古い可能性もある。必要に応じてBIOSのアップデートが必要になる。BIOSアップデートについては、次回以降で触れる予定だ

BIOS設定画面が起動したら、日付や時刻、CPUやHDDなど接続したパーツが正しく認識しているかなどの基本的な確認のほか、Windows VistaなどのOSをインストールし、正常に利用するために必要な設定を施す作業を行う。この設定画面は、BIOSの種類やマザーボードのメーカーによってさまざまで、設定項目の名称も異なる。ここでは、P5Q-EのBIOS画面を参考に、行うべき設定の説明を行うので、目的の設定をBIOS設定画面のどこで行えるか、手持ちのマザーボードのマニュアルを参照し作業を進めていこう。

キーボードやマウスをUSB接続している場合は、USBがレガシーモードで動作するようになっているか確認。多くの製品はデフォルトで大丈夫だが、いまだに設定が必要なマザーもある。この設定をしないとWindowsインストール中にキーボードが操作できないなどのトラブルが起こるので確実にチェックしておきたい

シリアルATAポートはデフォルトではIDE互換で動作するようになっている製品が多い。なお、AHCIモードを使えば、多少ながらパフォーマンスをアップできることもある。チップセットがAHCIに対応していて、Windows Vistaを利用するのであれば、別途インストールAHCIドライバをしなくてもBIOSの設定のみで使うことができる

マザーボードにオンボード搭載されているデバイスの設定もBIOS設定画面から行える。追加チップによるシリアルATA/IDEコントローラからHDDを起動する場合などは、そちらからの機能を許可する設定が必要になる。IDE接続の光学ドライブを利用する場合は、とくに要チェックのポイントとなる

起動順位の設定画面。Windows VistaはDVD-ROMから起動してインストールすることができるので、光学ドライブの優先順位をトップにする。Windows Vista終了後は光学ドライブからブートする機会も減るので、HDDを先頭にするといいだろう

BIOS設定画面での作業が一通り終了したら、変更内容をセーブして終了。自動的に再起動がかかる

Windows Vistaとドライバのインストール

続いては、OSのインストールである。ここでは、Windows Vistaを使用しているが、Windows VistaのインストールはGUI化されており、ウィザード形式に近い形でインストールを終えることができる。それほど悩むことはないだろう。

Windows Vistaのインストールディスクを光学ドライブにセットして起動すると、途中でこのような画面が表示される。ここで何かキーを押せばWindows Vistaのインストールプログラムが起動する

Windows VistaのインストールプログラムはGUI化されており、マウスで操作可能。画面の指示に従って作業を進めていけばOKだ

注意したいのは、HDDコントローラのドライバだ。Intel P45の場合は、IDE、AHCIのどちらを利用していても、Windows Vistaが標準で持っているドライバでまかなえる。ただ、RAIDを利用したり、ほかのチップセットを使用している場合、このドライバを自分でインストールしなければならないことがある。ドライバは、マザーボードに付属のCD-ROMなどに用意されているので、何とかほかのPCを用意して、このドライバをUSBメモリなどにコピーしておこう。

WindowsをインストールするHDD(パーティション)の選択画面。パーティションを分割してインストールするさいは、ここで[新規]を選択して、任意の容量のパーティションを作成しよう。ここにHDDが表示されない場合は、HDDコントローラのドライバが存在しない状態なので、[ドライバの読み込み]から手動でインストールする必要がある

ドライバはフロッピーやCD/DVD-R、USBメモリなどにコピーしておこう。ほかにPCが必要になる点は要注意だが、一般的にはマザーボードのCD-ROMに含まれるほか、マザーボードメーカーのWebサイトからダウンロードできる

注意点ではないが、HDDのパーティションを切ってインストールするのもお勧めだ。Windowsのシステム部分が何らかのトラブルを抱えたり、余計なアプリケーションが増えすぎてクリーンインストールをしたい場合など、システム用のパーティションとデータ用を分けておけば、データを消すことなくOSの再インストールができる。昨今の大容量HDDなら、パーティションを分けることで無駄が部分が増えても、十分なデータ領域が確保できるのも魅力だ。

インストール先の指定が終わると本格的な作業が開始される。途中で何度か再起動したり、ユーザーアカウント名を入力する必要などがあるが、画面の指示に従って進めていこう

OSのインストールが完了したあとは、各ハードウェア用のデバイスドライバを組み込む作業である。チップセット、マザーボードオンボードデバイス、グラフィックスカードなどのドライバを組み込んで行く。ドライバは、それぞれの製品に付属しているCD-ROMからインストールできる。

マザーボード付属のCD-ROM。ドライバや独自開発のユーティリティなどが含まれている。Windows Vistaインストール終了後、これを利用してドライバをインストールする

付属CD-ROMを自動実行で起動すると、使っているマザーボードに必要なドライバがリストが表示される。P5Q-Eなら、基本的には「ASUS Install」を選択すればOKだ

ASUSTeKのマザーボードは、必要なドライバを一括してインストールできる機能が用意されている。これを利用すれば、10~20分もあればチップセットとマザーボードオンボードデバイスのドライバインストールは完了だ。グラフィックスカードのドライバも、そちらの製品に付属のCD-ROMからインストールすれば良い。グラフィック統合型チップセットを使っている場合は、マザーボード側のCD-ROMに含まれている。

すべてのドライバを自動的にインストールするか、インストールするドライバを指定するかを選択。最初のインストールなら、すべてのドライバをインストールする

あとは待っているだけで自動的にインストールが完了する。10~20分程度で、この作業は完了だ

同じようにグラフィックスカードに付属するCD-ROMから、そちらのドライバをインストールする

グラフィックスカードのドライバをインストールし終えたら、液晶製品に合わせた解像度設定を行っておこう

同じく、画面デザインもWindows Aeroに変更が可能になるので、必要に応じて変更する

ちなみに、ASUSTeKにマザーボードに付属するCD-ROMはブート可能なものになっており、BIOSで光学ドライブの優先順位が高いと、CD-ROM側から起動してしまう。自動インストール中は何度か再起動も行われるので、事前に光学ドライブの起動順位をHDDよりも下げておくようにしたい。

このほか、ドライバは日々アップデートされており、最新のドライバは、マザーボード、グラフィックスカードのメーカーWebサイトに用意されている。一通り作業が完了し、インターネット接続環境が整ったら、新しいドライバを適用するようにしたい。もし、製作した自作PC以外にインターネット接続環境があるのならば、CD-ROMからのドライバインストールを行わず、最初から最新ドライバを入れてもOKだ。むしろ、こちらのほうが望ましい。

マザーボードやグラフィックスカードのドライバはアップデートが繰り返されている。メーカーWebサイトから、最新ドライバをダウンロードしてインストールしてみよう

以上で、自作PCの製作作業は一通り完了だ。あとは、マザーボード付属のツールやライティングソフトウェア、使用するアプリケーションを任意にインストールして環境を整えていこう。次回以降は、ASUSTeKのマザーボードに付属するツールや自作PCの活用を紹介していきたい。

(機材協力 : ASUSTeK Computer)